「しっかりめの上質ブルゴーニュピノで、手頃なのありませんか。」
私がこう聞かれたなら、選択肢の一つにこのワインを挙げるでしょう。
コート・ド・ニュイの最南端プレモー村に本拠地を置くドメーヌで、ジャン・ジャック・コンフュロン氏がブルゴーニュの老舗造り手シャルル・ノエラの孫娘と結婚し、互いの相続した畑を合わせて始まったドメーヌです。
因みに、コンフュロンと聞いてピンと来た方もいらっしゃると思いますが、ジャッキー・コンフュロン・コトティドのジャッキ―氏とジャン・ジャック・コンフュロン氏は兄弟という事です。
1988年にジャン・ジャック・コンフュロン氏の娘ソフィーと婿のアラン・ムニエ氏が2代目として継承、ワイン造りの経験の無かったアラン氏は妻から学び、その頃から評価は上昇し、ロバートパーカー氏に5ツ星生産者の評価を与えられたことをきっかけに人気ドメーヌになりました。
とは言っても、私がこのワインを紹介しようと思ったのは、実際に多くの方に選ばれそして口コミ評価の高かったという客観的視点によるもので、ニュイ・サン・ジョルジュのワインの中では目を引く存在のワインであると感じたからです。
《ワイン名》 ジャン ジャック コンフュロン ニュイ サン ジョルジュ
《価格》
【7000~10000円】
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ニュイ・サン・ジョルジュ
《生産者》 ドメーヌ ジャン ジャック コンフュロン
《特徴》
力強さとエレガンスを両立し
テロワールを感じさせる
このワインの特徴は、豊かな果実味と酸やタンニンなどの成分がハッキリと感じられる質感でありながら、雑味の無いエレガントさを感じさせる品質で、ニュイ・サン・ジョルジュらしい土っぽさや野性的なニュアンス、つまりテロワール(ブドウを取り巻く自然環境)を感じる事ができる品質にあります。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■立地■
ニュイ・サン・ジョルジュは大きく北部と南部で品質が異なり、ヴォーヌ・ロマネ寄りの【北部】では肉厚さや複雑さに加え華やかでエレガントなニュアンスのワインが生まれる傾向。【南部】ではより肉厚で骨太な印象のワインが生まれる傾向があります。
このワインは南部らしい肉厚で力強さを感じさせる品質であり、ニュイ・サン・ジョルジュらしい土っぽさや獣っぽさを持っています。
■ビオロジック農法■
化学肥料や農薬を使用しないことで微生物の働きが活発になり、健全で成分豊かな土壌が育ち、その豊かな成分を吸い上げた土地の特徴を反映したブドウが得られます。
■遅い収穫■
ブドウの完熟を待ち糖度の高い果実を使用するため、厚みのある果実感を感じられます。
■ほどよい樽香■
樽のニュアンスの反映しやすい新樽の使用比率を低めにし古樽を使用することで、ブドウの繊細な風味を感じられ、樽のニュアンスもほどよく感じられる品質です。
【外観】
深いルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
ラズベリーにプラムなどの豊かな果実香にバラ華やかさ、土やハーブに樽のニュアンスも心地よく感じられます。
熟成するほど果実香は円熟を感じさせる熟した果実や、ドライフルーツの甘やかさが現れ、腐葉土や紅茶に革製品といった熟成香も広がりを見せます。
【味わい】
厚みのある果実味は心地よい甘味と旨味を感じ、ほどよくキメの細かいタンニンはしなやかに構造を形成します。
生き生きとした酸味は美しく味わいをまとめ、複雑な風味を伴った余韻があります。
熟成するほどタンニンや酸などの成分は溶け合う事でなめらかな質感になり、円熟を感じさせる上品な旨味を伴った果実味を感じます。
そして熟成によって生まれた複雑な風味を伴った余韻が長く続きます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
その豊かで複雑な香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
少し冷やし気味にすれば酸味が際立ち軽快さのある飲み口になりますし、温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、甘味や豊かな風味の広がりある味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~20年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
豊かな香りと、力強さとエレガンスを両立した味わいを持った良質なワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
牛肉の赤ワイン煮込み
天然うなぎのかば焼き
など、上質な素材を使用しコクのある味わいの料理に合わせる事で、豊かで複雑な風味の広がる上質なマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「3年熟成の2015はやや早いのか、還元的なニュアンスを感じます。」
「6年目の2013の香りは広がって良かったんだけど、味わいのまとまりがいまいちかな~。時間が経ってましになったけど、まだ早かったのか!?本来はもっと力のあるワインなんだろうけどね。普通だ。」
「濃い目の色調に濃い目の味わいで複雑でバランスもいいけど、時間が経ったら味わいにトゲを感じたね。良いワインだという事はわかるけどね。5年熟成2013。」
【良い口コミ】
「なかなか手に入れにくい造り手を入手。4年目の2014は檜のような上品な香りにハーブの清々しさが加わり、充実感のある果実味で粘性もある。肉料理に合わせたら、引き締める酸が心地よくマッチして楽しいひとときを過ごせたよ。」
「5年熟成の2011はニュイサンらしい黒果実や土っぽい香りが広がります。タンニンはシルキーで強めの酸が味わいを引き締めますね。時間が経つほど風味や旨味は増してきて、とっても美味しくなりました。」
「JJコンフュロンは力強さを感じるブルゴーニュを造ってくれるからお気に入り。7年熟成の2010はやはり骨格を感じさせる質感で、初めはやや硬い印象でしたが、30分もすれば果実の甘やかさが広がりだし旨味も十分で、美しい酸が味わいをまとめ、ほんのり苦味がアクセントになって、やっぱりいいな~という感じでした。この強さ故に飲み頃になるには少し時間が必要ですが、やっぱり好きですね。」
「深いガーネットには紫の色調も含んでいる。生き生きとした果実香に、雑味の無い豊かな果実味でタンニンと酸のバランス感覚にも非常に優れている。時間が経つほど樽のニュアンスも優しく広がりなめなかな口当たりになる。2014は4年目で若いのだがバランス良くニュイサンらしい力強さもあり、村名ワインの出来としては素晴らしい。熟成後も楽しみな一本だ。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 3%
美味しい 64%
普通 33%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
そこまで口コミの多いワインではありませんでしたが、非常に経験豊かな方々がこのワインを選び、そして力強さが特徴的なこの生産者のニュイ・サン・ジョルジュらしさを感じる造りに、感動するほどまではいかないまでも、村名ワインとしては非常に良いのでは!?というようなニュアンスの評価傾向を感じました。
時にその力強さは悪いとまではいきませんが、エレガントさを求める方にはやや合わない傾向や、若い場合成分の溶け合いが浅いと感じる方も少数いらっしゃいましたので、そのような特徴も理解しておいた方が良さそうです。
以上です。
「よき料理とよきワインがあればこの世は天国」
アンリ4世はこう言ったらしいですね。
ワインは人生を豊かにする飲み物だという事は、昔から多くの方がそう感じていたのでしょう。
そして、アンリ4世の言葉にもう1つ加えるとするならば、一緒に共感し楽しめる人の存在ですね。
アンリ4世がそのように共感し楽しめる人がいたかどうかは定かではありませんが、もしアンリ4世が現在に蘇ったとしたら、おいしいワインの口コミを投稿しまくり共感を得て楽しんでいるかもしれませんね。
私は何を言っているのでしょう。。。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
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