フランスで最も権威あるワイン誌メイユール・ヴァン・ド・フランスで最高評価3ツ星を獲得している数少ないドメーヌ。
1800年代後半からの歴史あるドメーヌで、第一次世界大戦などの低迷期もありましたが、世界各地でワインを学んだ現当主のジャン・ルイ氏が1995年から跡を継ぐことで名声を取り戻したドメーヌです。
ジュヴレ・シャンベルタンを中心にワインを生産しており、今回紹介する村名ワインのオストレアは、通常のジュヴレ・シャンベルタンよりも樹齢の高い古木(ヴィエイユ・ヴィーニュ)のブドウを使用しており、より豊かで肉厚な味わいです。
実際飲まれた方々の口コミ評価も高く、美味しいジュヴレ・シャンベルタンを選ぶ時に選択肢に入れたほうが良いと感じたので、紹介させていただく事にしました。
あなたのワイン選びの一助になれば嬉しく思います。
《ワイン名》 ドメーヌ トラぺ ジュヴレ シャンベルタン オストレア
《価格》
【9000~15000円】
※ヴィンテージによって価格は変動します。
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ジュヴレ・シャンベルタン
《生産者》 ドメーヌ・トラぺ
《特徴》
ピュアで豊潤かつ優雅
熟成で深まる円熟味
ジャン・ルイ氏はブルゴーニュの他の偉大な生産者同様、【ブドウの出来がワインを決める】という信念のもと、高品質なブドウによる成分豊かで雑味の無いワインを生んでいます。
そのようなワインを生むための栽培・醸造方法を挙げましょう。
・1995年にジャン・ルイ氏が当主になってすぐにビオディナミ農法に転換。
農薬を使わず有機肥料のみを使うなどの取り組みで健全な土壌が育まれ、それによって育ったブドウは、土地の特性をよく反映したピュアな果実を実らせます。
・成分豊かな上質なブドウを実らせる樹齢の高い古木(ヴィエイユ・ヴィーニュ)を使用しています。
・面積当たりのブドウの収穫量を制限し、余計な房は剪定してしまう事で、残されたブドウに成分が集中し充実感のあるワインが生まれます。
・破砕(ブドウを潰す工程)を軽めに行い、マセラシオン(果皮や種の成分の抽出)を低温で行う事で、タンニンなどの成分が過度に出すぎる事のない造りをしています。
・樽の風味を強めに反映する新樽の使用比率を低くし、古樽を主に使う事で、樽香は程々でブドウのピュアな風味を感じやすい造りをしています。
・ブドウのありのままを感じるために、濾過や清澄は基本的に行いません。
以上のような事が主な取り組みで、土地の特性を反映した純粋なブドウの味わいをそのままボトルに詰め込みたい、という思いが伝わってきます。
【外観】
透明感のあるガーネットがかったルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
イチゴやラズベリーにカシスなどの果実香に、スミレやバラの華やかさに樽のニュアンスも感じられます。
熟成が進むほど果実香は落ち着きある甘やかなニュアンスが強まり、土や革製品などの熟成香も加わり複雑性も強まります。
【味わい】
チェリーやベリー系果実の凝縮感のある果実味は豊かでコクもあります。
ほどよいタンニンはなめらかで、美しい酸味は味わいを引き締め、複雑な風味を伴った余韻が続きます。
熟成が進むほどタンニンや酸味などの成分は溶け合い、円熟味を感じさせる滑らかな質感になり、力強いというよりはエレガントな印象に成長していきます。
《飲む時の適正温度》
【16℃~18℃】
その風味豊かな香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5年~30年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 3
1992年 2
1993年 4
1994年 2
1995年 4
1996年 5
1997年 3
1998年 3
1999年 4
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
美しい香りと豊かな味わいを持ったワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がり甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
天然うなぎのかば焼き
和牛ステーキ
など、上質な素材でコクのある味わいの料理に合わせる事で、優雅で豊かな風味の広がる上質なマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
【上質なジュヴレ・シャンベルタンを選ぶ時】
トラぺはジュヴレ・シャンベルタンの優良生産者です。
アルマン・ルソーやクロード・デュガほどの評価はありませんが、上質なワインを生んでいる事に変わりなく、上記のトップ生産者に比べれば価格も手軽なところが嬉しいところです。
【贈り物などに】
ワインに詳しい方ならば、トラぺのジュヴレ・シャンベルタンをもらったら嬉しいと思います。
ブルゴーニュのピノノワールが好きなあの人に贈ってみてはいかがでしょうか。
《飲んだ人の口コミ》
【良い口コミ】
「32年も経過した村名ワインがこれほど美しく熟成するとは驚きだ。1983。」
「2007というややオフ気味なヴィンテージだけあってか、7年目の今は飲み頃のようです。ベリー系果実に加え土を感じさせる香りも広がり落ちつきがある。味わいもよく馴染んでおり、スルリと飲めてしまうようななめらかさがあり秀逸ですね。」
「4年目の2014です。若々しい赤系果実の軽やかな香りにしなやかなタンニン。美しい酸味が味わいをまとめて心地よい。熟成させても楽しみなワインですね。」
【悪い口コミ】
「期待していただけに枯葉っぽい香りで・・。6年でこのニュアンスは2011は難しい年だったのでしょうか。」
「12年熟成のトラぺは枯れた印象は全く感じないが、かと言って惹きつけるような魅力も乏しい印象。2005のビッグヴィンテージだがそこそこのワインかな。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 0%
美味しい 60%
普通 37%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
価格もそこそこな事もあり、そこそこのジュヴレ・シャンベルタンという印象で、感動的な美味しさやスケールを感じた方はいないものの、それなりに信頼できるワインで好感を持っている人も多い印象でしたが、ヴィンテージによっては期待以下と感じた方もちらほらでした。
最初の口コミで、32年熟成させたこのワインがとても美味しかったというものがあり、そんなにも熟成に耐えるのかな!?という興味も湧きました。
(古酒好きの方は試してみる価値もありそうです)
比較的手頃で美味しい村名ジュヴレ・シャンベルタンをお探しの場合、候補に入れても良いのではないかと思えるワインでした。
以上です。
1万円前後で美味しいジュヴレ・シャンベルタンを選びたい時は、スタンダードなジュヴレ・シャンベルタンらしく上質なこのワインを候補にしても良いのではないでしょうか。
お酒の飲める元気なうちに、美味しいワインをできるだけたくさん口にしたいと思うこの頃でした。
あなたのワイン選びの一助になれれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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