「お値打ちな極上ワイン」にこだわる生産者のブルネッロ。
確かにブルネッロにしては値打ちな価格設定で、口コミ(vinica)を見る限り、味わいへの満足度は同価格帯のブルネッロの中でも目を引くものがありました。
6000円までの価格帯でブルネッロを選ぶなら、イルコッレ、イル ポッジオーネ、イル ヴァレンティアーノと並んで候補に入れるべき銘柄ではないかと感じています。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》ブルネッロ ディ モンタルチーノ ラ レッチャイア
《価格》
【5000~6000円】
《ブドウ品種》サンジョベーゼ(ブルネッロ)
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 イタリア>トスカーナ州
《生産者》 ファットリア ラ レッチャイア
ファットリア ラ レッチャイアはトスカーナ州モンタルチーノにあるワイナリー。
マウロ パチーニ氏によって1983年に設立され、「お値打ちな極上ワイン」にこだわるコスパワイン生産者として知られています。今回紹介しているブルネッロはワイン誌『ジェームズサックリング』で以下の高評を獲得しています。
・2013ヴィンテージが95点
・2015ヴィンテージが94点
《味わいの特徴》
複雑でバランス良い
コスパブルネッロ
このワインの特徴は、良質なブルネッロらしい充実した果実味やスパイスや革製品などの複雑な風味に、上質な酸や骨格あるタンニンがバランス良く溶け合った味わいにあり、そのようなバランス良いブルネッロが比較的手軽な価格である事も嬉しい特徴です。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
ブルネッロはサンジョベーゼの別名で、厳密にはサンジョベーゼの亜種にあたるサンジョベーゼ グロッソを指します。
フレッシュで軽快な味わいを生む傾向のサンジョベーゼと比較して、サンジョベーゼ グロッソは分厚い果皮がある事からタンニンも豊富。
繊細さと力強さを両立し、長期熟成に耐えるワインを生みます。
■畑の恵まれた環境■
レッチャイアの畑はモンタルチーノの丘の中心付近の南側の斜面で、特に優れた生産者の畑が集中し『正統派ブルネッロ』を生む恵まれた環境があり、その一例は以下の通り。
- 豊富な日照に恵まれた南側斜面はブドウの熟度を高め、おおらかで充実感ある果実味を持ったワインを生みます。
- 南側斜面は北側斜面よりも肥えた土壌があり、その成分を反映した豊かなワインを生みます。
- 風通しの良さは湿度によるブドウ病害を防ぐ効果があり、健全なブドウが育ちます。
■収量制限■
剪定などにより収穫量をあえて抑え、優れたブドウだけを選別。
また残されたブドウに成分が集中することで充実感あるワインが生まれます。
■大樽での熟成■
熟成には伝統的な大樽を使用します。
モダン(現代的)と呼ばれる小樽(バリック)は樽の風味が反映されやすく、酸やタンニンが穏やかになる効果があります。
それに対し大樽は適度な樽の風味がが反映され、酸やタンニンを残す効果があり、熟成によって円熟しまとまりある味わいを生む傾向があります。
【外観】
透明感のあるガーネットを帯びたルビーレッド
熟成するほど淡いレンガ色に近づきます
【香り】
ブラックベリーやプルーンなど熟した果実の香りに、ブラックペッパーやシナモンなどのスパイスのニュアンス。樽に由来するバニラやコーヒーの風味は適度で革製品のような熟成香も加わり、それらが一体となり複雑で豊かな芳香が広がります。
【味わい】
熟した果実に由来する肉厚で豊潤な果実味。豊富なタンニンは骨格ある味わいを表現しますが、キメは細かくなめらかで、適度な酸と相まって気品ある優しい飲み口。スパイスや革製品などの複雑な風味とコクを伴った長い余韻へと導かれます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~20℃】
少し冷やし気味にすれば引き締まった印象。酸やタンニンが際立ちエレガントな飲み口に。
温度を上げるほど穏やかな印象。甘味や複雑な風味の広がりが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から6~20年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
参考までに、モンタルチーノのヴィンテージチャートも載せておきます。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2000年 4
2001年 5
2002年 2
2003年 3
2004年 5
2005年 3
2006年 5
2007年 5
2008年 4
2009年 4
2010年 5
2011年 4
2012年 4
2013年 5(95点JS)
2014年 3
2015年 5(94点JS)
2016年 5
※JS=ワイン誌『ジェームズサックリング』
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
適度な複雑さがある心地よい香りとバランス良い味わいを楽しむには、香りが取りやすく甘味を感じやすいバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
鴨鍋
キノコのリゾット
適度なボリューム感と複雑性を持ち合わせたバランス良いワインです。
合わせる料理も適度なコクを持ったものが適切で、ワインの複雑な風味は野性味のあるジビエ料理ともマッチします。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
7年熟成の2010はバランス良く美味しいですが、パワフルなのが好きな私には少し物足りなくも感じたかな。。。
【良い口コミ】
ワインが主役を張れるという意味を教えてくれた銘柄。9年熟成の2010は繊細でありながら存在感のある果実味とタンニン。酸は上品に味わいをまとめており、スパイスの風味が複雑性を高めている。これは料理に合わせずとも、ワインだけで完成された味わいが楽しめるのですよ。
7年熟成の2010は最初ちょっと硬い感じがしたけど、だんだんと開いて甘美さが増し美味しくなる。3日目でも良かったですね~~♪これならコスパ良しでしょう!!
当りハズレの幅が大きいイタリアワインですが、このブルネッロは大当たりですね♪6年熟成の2013は透明感のある美しいルビーレッド。チェリーに革製品、少しのシナモンのニュアンス感じる香りで、豊潤な果実味を角の取れたタンニンと穏やかな酸がまとめます。とても近づきやすく親しみある味わいで美味しいですね♪
デュカをまぶしたエゾ鹿とのマリアージュが素晴らしく涙級!!8年熟成の2010は鮮血を思わせる鮮やかな色調で、充実した果実味にほんのりスパイス香が広がります。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 10%
美味しい 67%
普通 23%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
コスパやバランスの良さで人気を集めているブルネッロというのがが第一印象。
唸るような充実感や風格があるブルネッロではないので、やや物足りないと感じるコメントもありました。
しかし、適度な深みを持ちつつ親しみやすさも持ち合わせた、バランス良い味わいに好感を持つ方が最も多く、感動的評価もチラホラ。そしてコスパの良さに満足するコメントも少なくありませんでした。
また、抜栓直後よりも時間経過、あるいは数日置くことで風味が向上する傾向も読み取れます。
比較的手軽な価格帯のコスパブルネッロとして、イルコッレ、イル ポッジオーネ、イル ヴァレンティアーノ(なぜかイルばかり)と並んで押さえておきたい銘柄だと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ブルネッロ ディ モンタルチーノ ファットリア ラ レッチャイアは
【価格】
5000~6000円
【味】
熟した果実に由来する肉厚で豊潤な果実味。豊富なタンニンは骨格ある味わいを表現するが、キメは細かくなめらかで、適度な酸と相まって気品ある優しい飲み口。スパイスや革製品などの複雑な風味とコクを伴った長い余韻へと導かれる。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から6~20年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
モンタルチーノのヴィンテージチャートは以下の通り。
5点秀逸な年
4点良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2000年 4
2001年 5
2002年 2
2003年 3
2004年 5
2005年 3
2006年 5
2007年 5
2008年 4
2009年 4
2010年 5
2011年 4
2012年 4
2013年 5(95点JS)
2014年 3
2015年 5(94点JS)
2016年 5
※JS=ワイン誌『ジェームズサックリング』
【口コミ】
唸るような充実感や風格があるブルネッロではなく、やや物足りないと感じるコメントもある。
しかし、適度な深みを持ちつつ親しみやすさも持ち合わせた、バランス良い味わいに好感を持つかたが最も多く、感動的評価もチラホラ。そしてコスパの良さに満足するコメントも少なくない。
また、抜栓直後よりも時間経過、あるいは数日置くことで風味が向上する傾向も読み取れた。
以上です。
良質なバランス型コスパブルネッロでした。
レッチャイアはブルネッロに限らず、ロッソ ディ モンタルチーノや優良年のみ造られるミレニウムでもコスパ良く好評で、下のリンク先でも登場しますから参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント