世界最高の白ワイン生産者を考える時、常にその名が候補に挙がる生産者。
コシュ・デュリ、ルフレーヴと並んで世界最高峰の白ワイン達を生産しており、ムルソーにおいてはコシュ・デュリと双璧をなす2大巨匠として君臨し続けている生産者のワインの紹介です。
穏やかで手頃な価格帯のワインを生むヴィレ・クレッセは、高級ワインを生むブルゴーニュ北部ではなく、南部側のマコネ地区の村名ワイン。
そんなヴィレ・クレッセにおいて、日本の一般消費者の方々に多く飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうと客観的視点から調べてみた結果、
■ドメーヌ・ド・ラ・ボングラン
■ドメーヌ・ド・ロアリー
■ドメーヌ・サント・バルブ
■コント・ラフォン
以上の生産者が、そのような条件を満たしていると感じました。
今回はその一つであるコント・ラフォン、世界でも屈指の白ワイン生産者の手掛けるヴィレ・クレッセの紹介です。
ここで簡単に歴史です。
初代ジュール・ラフォン氏に始まるムルソーに本拠地を置くドメーヌで、
3代目のルネ・ラフォン氏の代で不動の名声を確立、
現当主は4代目のドミニク・ラフォン氏でさらなる進化を遂げ、ムルソーの偉大な巨匠として君臨し続けています。
今回紹介するコント・ラフォンは本家のドメーヌ・デ・コント・ラフォンではなくレ・ゼリティエール・デュ・コント・ラフォン。
1990年にマコンに設立され、気軽に楽しめるワインを造るという想いが込められたドメーヌで、エリティエールは「後継者」を意味しており、本家の意志をしっかりと受け継ぐことを目指しているという事です。
以上です。
世界屈指の白ワイン生産者のコスパワインは、あなたの選択肢の幅を広げてくれるのではないかと感じています。
《ワイン名》 レ・ゼリティエール・デュ コント・ラフォン ヴィレ・クレッセ
《価格》
【4000~5000円】
《ブドウ品種》シャルドネ
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>マコネ>ヴィレ・クレッセ
《生産者》 レ・ゼリティエール・デュ・コント・ラフォン
《特徴》
リッチさとエレガンス
を併せ持つ
優れたバランス感覚
このワインの特徴は、豊かな果実味に由来するリッチさと、美しい酸に由来するエレガントさ、また豊富なミネラルに由来する凛とした品の良さが、バランス良く融合した味わいにあります。
若くしても楽しめる品質に仕上げられていますが、数年(5年~8年)の熟成によっても丸みを帯びた深さのある味わいを楽しむこともできます。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■ヴィレ・クレッセの個性■
ブルゴーニュ地方においては豊富な日照量があり温暖である事から、果実はよく熟し、厚みのある果実味をワインにもたらします。
また、ジュラ紀には海であったとされるヴィレ・クレッセは、シャブリ同様に貝殻などの化石を多く含んだ石灰質土壌になっており、塩気や鉱物的なミネラル感を持った上質なワインが生まれます。
■コント・ラフォンの哲学■
ドミニク・ラフォン氏が大切にしている事は、エレガンスやバランス感覚。
完熟ブドウを使用する傾向の強いヴィレ・クレッセにおいても、美しい酸よってもたらされるエレガントさも重視するため、果実味はもちろん、適度な酸も持ち合わせたタイミングで収穫を行っています。
■ビオディナミ農法■
無農薬・有機肥料で天体の動きも考慮したビオディナミ農法の採用で、微生物の働きなどにより健全で成分豊かな土壌が育ち、ヴィレ・クレッセの豊富なミネラルなどの成分を吸い上げた上質なブドウが育ちます。
【外観】
輝くイエローゴールド
【香り】
グレープフルーツやオレンジの柑橘系の爽やかさに白い花の華やかさ、ラフランスやパイナップルなどのフルーティな果実香も広がりを見せ、そしてほんのりハチミツやナッツ類のニュアンスも複雑性を高めます。
【味わい】
ボリューム感のある果実味が広がり、豊富で美しい酸は味わいをまとめバランスを整えます。
塩っぽい旨味や鉱物的なニュアンスを感じさせるミネラル感は、上品なブルゴーニュらしい味わいを表現しつつ、ほのかな蜜のニュアンスや樽の風味を伴った長い余韻へと導いてくれます。
《飲む時の適正温度》
【8℃~14℃】
冷やし気味にすれば軽快さが増し、エレガントさのある飲み口になります。
温度を上げるほど穏やかな風味の広がる優雅な味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から2~8年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ白のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2010年 5
2011年 4
2012年 3
2013年 4
2014年 5
2015年 3
2016年 4
2017年 5
《適正グラス》
【ふくらみのあるシャルドネグラス】
少し温度を上げることで広がる風味を楽しめますから、香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、ふくらみのあるグラスを選ぶことをおすすめします。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
チキンのグリル
鮮魚のカルパッチョ
など、ほどよくコクのある料理などと合わせることで、やさしい風味とコクの広がりある優美なマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
上質なブルゴーニュ白を、なるべく手頃に購入したい時の候補にしても良いのではないでしょうか。
世界を代表する白ワイン生産者の作品であり、他のコント・ラフォンのラインナップと比較すると、かなり手頃な価格も魅力的です。
ちょっとしたプレゼントや手土産にしても、喜んでいただけそうなバランス型上質ブルゴーニュと言えるでしょう。
《こんな場合には不適切!?》
不適切という観点とは少しズレるかもしれませんが、他のコント・ラフォンの格上ラインナップのように長期熟成に向くワインではありませんので、何十年も保存するのはやめましょう。
何十年楽しみに待って、開けてみたら劣化では残念すぎますね。
ただし数年の熟成(5年~8年)によって、丸みを帯びた円熟味を楽しめるワインでもあるので、その場合は適切な保存は意識した方が良いでしょう。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「4年熟成の2012は飲み頃であります。もちろん悪くはありませんが、高いと感じてしまう私もいます。」
「美味しいのに・・なぜ?頭痛くなって来た~。コント・ラフォンとは相性悪いのかな・・・。残念。」
【良い口コミ】
「何て言えばいいかよくわからないけど、このワイン美味しいです。3年熟成の2012はミネラルがあって深い味。マコンは平凡な印象でしたけど、これはいいですね。」
「2年熟成の2014はプチ・ムルソーといった佇まい。粘性のあるリッチな味わいは、白桃に柑橘類に蜂蜜が感じられ、火打石のようなミネラリーな風味も心地よい。」
「2年熟成の2015。トロピカルフルーツや白い花の華やかさが広がり、ミネラリーな風味は奥深さもある。キメの細かい酸に、苦味がアクセントとなり旨味も十分。豊潤さと芯のある気品を感じられるミディアムボディであり、時間経過で現れる優しい甘味も心地よく、さすがコント・ラフォン、納得の出来栄えと思いました。」
「2年熟成の2015。グリーンを帯びた濃い目のイエローゴールド。ライチにナッツなどの芳香性は程良く、果実味がいっぱいに広がりますが、甘いわけではなく、上品さが上回る感じ。単体でも食事に合わせてもマッチしそうな、万能型ワインです。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 0%
美味しい 50%
普通 47%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
流石コント・ラフォンで、一流生産者が手掛けるお手頃ワインという第一印象です。
原因不明のコント・ラフォンアレルギー?の方と、ちょっと高いと感じた方のコメントが唯一マイナスイメージを感じるものではありましたが、品質自体を悪く評価するものではなく、マコネ地区らしい豊潤な味わいと、コント・ラフォンらしいバランス感覚に優れた美しい品質に、感動まではいかないまでも高い満足感を得た方が最も多い傾向でした。
マコネの中では比較的高額ではありますが、コント・ラフォンのラインナップの中では圧倒的にお手頃価格という事で、高くもあり安くもあるこのワインは、相撲で言ったら【高安】だと、意味不明な事も思いついてしまいました。
以上です。
ヴィレ・クレッセの穏やかでコスパの良い特徴と、コント・ラフォンの洗練度の高いバランス感覚が融合した品質のイメージは広がりましたでしょうか。
知名度があまりない生産者の優れたワインは、掘り出し物感満載でとても興味深いですが、コント・ラフォンのような有名生産者のワインも、安定感と安心感があり、多くの方に評価されるのにも納得のクオリティーが感じられる良さがあります。
様々なワインとの出会いは経験値を高め、より深いワインの世界を楽しめるのではないかと感じています。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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