良質なオレンジワインを比較的手頃に楽しみたい方に提案したい銘柄。
フリウリ州にはグラヴネルやラディコンを筆頭に、優れたオレンジワインの生産者達がいますが、おおよそ価格帯は5000~1万程度とやや高額。
そんな中でも5000円でお釣りがくる場合もあり(2021年現在)、しかも良質で口コミ満足度も高いと感じたのがカステッラーダと今回紹介するロンコセヴェロ。
いくつかあるラインナップはどれも好評の印象ですが、今回はオレンジワインらしい複雑さと、スルスル飲めるような心地よい飲み心地で人気の高いピノグリージョをピックアップします。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》ロンコ セヴェロ ピノ グリージョ
《価格》
【5000前後】
《ブドウ品種》ピノ グリージョ
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 イタリア>フリウリ ヴェネツィア ジューリア州
《生産者》 ロンコ セヴェロ
ロンコ セヴェロはフリウリ州の優れた自然派生産者のひとつ。 2021年現在当主であるステーファノ ノヴェッロ氏の父が1972年に設立したワイナリーで、1990年から実質的に運営を任されたステーファノ氏は、それまでの父とは違った自然な栽培と醸造を選択。
父のワインを好んでいた大半の顧客を失ってしまう事態を招きますが、徐々に新たな顧客を獲得していきます。
しかし、「自身の力だけでは成長できず何かに欠けてしまうかもしれない」と感じたステファノ氏は、同州の代表的自然派生産者であるラディコンをはじめ、グラヴネルやダリオプリンチッチなどから学ぶ事で品質は向上。
現在では星付きレストランにオンリストされるなど、同州の優良生産者のひとつに数えられるようになりました。 ちなみにエチケットに描かれた椅子の上で遊ぶ子供の絵には意味があり、
『ワイン造りはバランスが大切。椅子の上でバランスをとるのは難しい。危険を冒してでも難しい事に挑戦すべき。そうすれば高い位置に目線がいき、将来を見渡す事ができる』
このように考えるステーファノ氏の思いが込められているとの事です。
《味わいの特徴》
凝縮感と上品さを両立
飲み心地なめらかな
オレンジワイン
このワインの特徴は、オレンジワインらしい渋味や複雑な風味を持った凝縮感ある味わいでありつつ、滋味深い旨味を伴た味わいはスッと舌の上を流れるような上品さも合わせ持っているところです。
【外観】
赤みを帯びた深いオレンジ
【香り】
ラフランス、オレンジ、ブラックチェリー、アプリコットなどの果実香にハーブや鉱物的なミネラル香。紅茶のニュアンスも仄かに加わり、複雑で落ち着きある芳香があります。
【味わい】
少しの甘味を伴ったフルーティーな果実味を、滑らかなタンニンと程良い酸がまとめるバランス良い味わい。滋味深い旨味の広がる飲み口は非常にスムースで、複雑な風味を残した余韻があります。
それでは、そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
このワインに使用されるピノ グリージョのグリージョとは灰色(グレー)の意味で、果皮が灰色を帯びた紫色をしていることが名前の由来の白ブドウです。
そのため平均的なオレンジワインよりも赤みを帯びた色調になります。
そしてトロピカルフルーツ、メロン、マンゴーなど熟した果実の豊かな香りを持ち、味わいも穏やかでジューシーになる傾向があります。
■土壌の個性■
ブドウ栽培される土壌は粘土混じりの泥炭質で、石のように固くマンガンを多く含んでおり、このような土壌からは凛とした鉱物的なミネラルを持つブドウが育ちます。
■自然なワイン造り■
栽培においては農薬や化学肥料を使いません。
土地の天然酵母など、様々な生物の営みが反映された土壌は健全で成分豊かな状態になり、そのエキスを吸い上げたブドウが育ちます。
醸造においても人工的に培養された酵母は不使用。天然酵母の働きのみで温度管理も行わず発酵させます。
そうすることで自然のエキスを吸い上げたブドウと、土地の個性を表現する天然酵母の働きが加わったピュアで滋味深いワインが生まれます。
■マセラシオン■
通常の白ワインはブドウを搾り果汁だけで発酵させますが、このワインは発酵と同時に皮や種などの固形物と共に約30日間漬け込まれます。
この漬け込む工程をマセラシオン(醸し)と呼び、通常は5~14日程度。
この長期間のマセラシオンを経ることで果皮から抽出される色素や渋味なども加わり、オレンジワイン独特の色調と味わいを生んでいます。
■シュール リー■
アルコール発酵を終えた後、酵母の死骸である澱は通常取り除かれますが、あえて残すことで澱をワインに触れさせます。
この技法の事をシュール リーと呼び、ロンコセヴェロでは約23ヶ月間澱と共にオーク樽で熟成。
そうすることで澱に由来する旨味などが抽出され、まろやかで風味豊かな味わいになります。
《飲む時の適正温度》
【10℃~18℃】
少し冷やし気味にすれば酸やタンニンが際立ち引き締まった印象。上品な飲み口が楽しめます。
温度を上げるほど酸やタンニンは穏やかな印象になり、複雑な風味の広がりが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
ブドウ収穫年から2~10年
※一般的傾向や口コミから推測
《適正グラス》
【中庸で膨らみのあるグラス】
香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、膨らみのあるグラスを選ぶことをおすすめします。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
キノコのリゾット
豚肉のハーブグリル
通常の白ワインには無い味わい深さがあります。
合わせる料理もコクのある素材や味付けの施されたものが良く、野性味あるジビエとの相性も良いでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【ネガティブな口コミ】
3年熟成の2013は柔らかで優しい感じ。悪くはないけど以前のようなタニックでパンチがある感じの方が好みかも。。。
【良い口コミ】
ブラックチェリーやコーヒーの芳香から、深みのある甘味を伴った味わいで余韻も長い。このワインは肉にも合いそう。
3年熟成の2014は普通の白には無い厚みがあって、とっても美味しい!♪期待以上です♪
ミモレットとの共通点が多いという発見があった美味しいオレンジワイン。3年熟成の2015はロゼ以上に赤に近い色調で、非常にバランスも良くスッと飲めるような心地よさがあります。このワインと同系色のミモレットチーズのような苦味のある後味を発見し、たまたま同じ色のチーズがあったので一緒に飲むと確かに似ていました。
飲み疲れしないし完全にハマりましたね!!3年熟成の2015は全く引っ掛かりの無いスルスル系の味わい。これ2本でも飲めちゃうのでは!?
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 20%
美味しい 60%
普通 20%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
オレンジワインらしい渋味や滋味深い旨味が味わいで、スルスル飲めるような心地よいワインであることが伝わるコメントが多かった印象です。
普通程度の満足感の方もチラホラですが、好印象を持った方が最も多い印象で、中にはとても気に入って繰り返し感動的評価を与える方も見受けられました。
他の生産者のオレンジワインに比べて価格も手頃で、試しやすい人気銘柄だと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ロンコ セヴェロ ピノ グリージョは
【価格】
5000前後
【味】
オレンジワインらしい渋味や複雑な風味を持った凝縮感ある味わいでありつつ、滋味深い旨味を伴た味わいは、スッと舌の上を流れるような上品さも合わせ持っている。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から2~10年
※一般的傾向や口コミから推測
【口コミ】
普通程度の満足感の方もチラホラだが、好印象を持った方が最も多い印象で、中にはとても気に入って繰り返し感動的評価を与える方も見受けられた。
他の生産者のオレンジワインに比べて価格も手頃で、試しやすい人気銘柄だと感じた。
以上です。
ロンコセヴェロはどの銘柄も比較的手頃で人気の高い生産者だと感じました。
下記のリンク先では在庫の少ないピノグリージョに限らず、様々なラインナップが紹介されていますから、参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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