シモン・ビーズ・エ・フィス サヴィニー・レ・ボーヌ プルミエ・クリュ レ・マルコネ

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ブルゴーニュで活躍する日本人生産者と言えば?

アンリ・ジャイエに認められたルー・デュモンの仲田氏が最も有名でしょう。

しかし、ブルゴーニュで活躍する日本人は仲田氏だけではありません。

サヴィニー・レ・ボーヌ。

この産地はブルゴーニュの中ではやや知名度の低いイメージがあります。

しかし品質は決して悪い訳ではなく、コスパに優れたワインを生んでおり、ワインに造詣の深い方がこっそり購入しているような産地ではないでしょうか。
私の個人的見解です。こっそりでなく堂々と購入される方も多いかと(笑)。

さて、そんなサヴィニー・レ・ボーヌにもやはり優れた生産者は存在し、最も知名度が高く多くの方に選ばれている生産者がいます。

そんなドメーヌを2013年から引き継ぎ、運営している人物こそが日本人というわけです。

しかも女性です。

サヴィニー・レ・ボーヌのワインで多くの方に飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみた結果、間違いなくこの産地を代表する生産者であり、高い満足度を獲得している優良生産者だと感じました。

1888年創立の歴史あるドメーヌは代を追うごとに成長し、4代目のパトリック氏が選んだ女性こそが銀行で働いていた日本人女性の旧姓伊藤千砂さん。

1998年に結婚し、銀行時代に培った知識と語学力で夫をサポートし、海外にマーケットを広げるなど、ドメーヌの更なる飛躍に貢献しました。

2013年に惜しまれ亡くなったパトリック氏の後を継ぐこととなったのが、パトリック氏の妻、千砂・ビーズ女史とパトリック氏の妹で三女のマリエル・グリヴォ女史というわけです。

こうして生まれたシモン・ビーズ史上初めて女性が経営するドメーヌとなり、伝統を守りつつ新しいチャレンジも実践し、これからにも期待できる生産者が誕生したのです。

《ワイン名》 シモン・ビーズ・エ・フィス サヴィニー・レ・ボーヌ プルミエ・クリュ レ・マルコネ

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《価格》

7500~11000円

《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》  ミディアムボディ
《甘辛》   辛口
《産地》   フランス>ブルゴーニュ>サヴィニー・レ・ボーヌ>プルミエ・クリュ レ・マルコネ
《生産者》  シモン・ビーズ・エ・フィス

《特徴》

バランス良い品質で
落ち着きある複雑性を持つ

このワインの特徴は、洗練された雑味の無い上質ブルゴーニュ・ピノらしい複雑でバランスの良い味わいにあり、若いうちはチャーミングなニュアンスも感じられますが、熟成する事で大人っぽい落ち着いた妖艶さも楽しむことができます。

そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。

肉厚なワインを生む畑
シモン・ビーズの所有するいくつものプルミエ・クリュの中でも、最も肉厚で濃厚なワインを生む区画で、力強さを持ちながら繊細さも持ち合わせた品質になります。

ビオディナミ農法
無農薬・有機肥料で天体の動きも考慮したビオディナミ農法の採用で、微生物の働きなどにより健全で成分豊かな土壌になり、その成分を吸い上げた上質なブドウが育ちます。

全房発酵
一般的にはブドウの粒のみを発酵させるのが主流ですが、粒の付いた枝のような部分を梗(こう)と呼び、その部分も含めて全て発酵させることも特徴的です。
それによって、滑らかなタンニンが得られ長期熟成に耐える事や、梗由来の独特の苦味や風味が加わり、複雑な味わいになります。
※この全房発酵は非常に難易度の高い手法としても知られ、適切に行わないと青臭さ・酸味・ギスギスしたタンニンが出てしまいます。
そのためには、梗の部分までしっかりと熟している状態にさせなくてはならず、菌の付きやすい梗を無農薬で健全に保つには非常に管理が緻密でなければなりません。
そのためこの手法を実践しているのは、DRCなどの極一部のトップ生産者のみというわけです。

やさしい圧搾
ブドウを果汁とそれ以外の皮や種などの部分を搾り分ける工程を圧搾(あっさく)と呼びますが、強く絞って粗さを含めた濃い成分の抽出をするのではなく、やさしい圧で絞る事で粗さの無い繊細なニュアンスも感じられる造りにしています。

控えめの樽
樽のニュアンスが反映しやすい新樽の使用比率を低くすることで、ブドウの繊細な風味を感じつつほどよい樽を感じられるバランスの良さがあります。

 

【外観】
深みのあるルビーレッド
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。

【香り】
チェリーやラズベリーの果実香にバラやスミレの華やかな香り、樽に由来するバニラやタバコのニュアンスに甘草のような落ち着きある香りも広がりを見せます。

熟成することで果実香は熟した果実の甘やかさが増し、華やかなニュアンスもドライフラワーのような落ち着きに変化して、土や革製品に紅茶のような熟成香も広がりを見せます。

【味わい】
ほどよい強さの果実味は透明感があり心地よいコクがあります。

比較的ストラクチャーのハッキリとしたタンニンと酸はワインの構造を形成し、果実香にタバコや甘草など複雑な風味を残したエレガントな余韻が続いていきます。
熟成するほど成分は溶け合いコクとまろやかさが増し、若々しいフレッシュなニュアンスは減り、落ち着きある旨味を持った艶やかな品質へと成長してゆくでしょう。

《飲む時の適正温度》

14℃18℃
その豊かで心地よい香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。

少し冷やし気味にすれば酸味が際立ち軽快さのある飲み口になりますし、温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、甘味や風味の広がりある味わいを楽しめるでしょう。

※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。

《飲み頃と当たり年》

【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~20年
※一般的傾向や口コミから推測
※口コミでは30年近い熟成物を高評価されている場合もある

【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。

一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。

5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年

2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4

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《適正グラス》

【バルーン型ブルゴーニュグラス】
豊かな香りと、エレガントで優雅な味わいを持った良質なワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。

※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。

《相性のいい料理》


アワビバター


ラムチョップ

など、上質な素材でコクのある味わいの料理に合わせる事で、豊かで優雅な風味の広がる上質なマリアージュが楽しめるでしょう。

※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。

 


《こんな場合におすすめ》

サヴィニー・レ・ボーヌでワインを選ぶのであれば、このワインに限った事はありませんが、シモンビーズを有力候補に入れておくべきでしょう。

この産地は比較的手頃に購入できるところも特徴で、親しみやすい上質ピノノワールをお探しでしたら是非参考にしていただきたいと思います。


《こんな場合には不適切!?》

ニューワールド系のワインのような果実の凝縮感に満ちた品質を求める方には、薄く感じてしまう可能性もありそうです。

しかし、そのようなニューワールド系のワインには無い、土地の風味を感じられるような複雑性は違う魅力を持っておりますから、そのようなワインが好みの方にも新たな発見となれば、この記事を書いて良かったと思えます。(笑)

 

《飲んだ人の口コミ》

悪い口コミ

「6年目の2012は閉じてる?香りは弱い。味わいはしなやかで雑味の無い質感なんだけど、緻密さに欠け広がりが浅い。状態が悪いのか若いのか、とにかく開かなかったね。」


「9年目の09は特別優れるわけでもなく、劣るわけでもない、いわゆる普通のピノでしょう。」


「15年熟成の03は最初酸が目立ったが、時間経過で酸は穏やかになり、そのぶん甘味が広がり心地よい熟成を感じる。ただしこの余韻の短さはピークを過ぎてしまったのかもしれないね。」

良い口コミ

「18年熟成の99は良い熟成を経たようだ。甘やかな果実香に枯葉に紅茶のニュアンスが心地よく、果実味とタンニンは豊かで酸は穏やか。落ち着きあるドライフラワーの余韻。素晴らしいワインだよ。シモンビーズのドキュメント見ながらだしね(笑)。」


「5年熟成の2014は赤系ベリーに獣、樽のバニラやコーヒーといった香りで落ち着いた印象。赤果実の味わいに梅紫蘇のような酸味を感じる風味はエレガントで旨味も心地よい。若すぎる事もなくとても心地よいワインでした。」


「若き日のパトリックの作品。27年熟成の88は非常に繊細に仕上がっており、バランスに優れた素敵な古酒に出会えました。」


「5年熟成の2010はまだまだ若々しく、チャーミングで豊潤な果実香と味わい。華やかで凝縮感のある味わいを豊かな酸が引き締め、タンニンもほど良くバランスが良い。若いなりの良さを感じる事の出来るワインだ。」

 

という皆様の声でした。

その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると

感動的!!     3%
美味しい     61%
普通       33%

良くない      3%

というニュアンスが伝わってくる結果でした。

感動レベルの評価はほとんど見られませんでしたが、ほどよい深さもあり、そのような品質に好感を持った方が多いという傾向でした。

若干若すぎたり、品質の状態や個人の感じ方によっては、悪いとまではいかないまでも平凡と感じる方もおられました。

気になったのは20~30年の熟成物で高い評価を与える方が数名おられたという事で、この価格帯のワインでも適切な保存を行えば非常に満足度の高い品質に成長するのだろうと感じました。

 

以上です。

私は感じました。

シモン・ビーズを守る千砂・ビーズ女史の人間力の高さを。

なぜ?

ですよね。

なんとなく。

です(笑)。

しかし、いろんなサイトで千紗・ビーズ女史は写真付きで紹介されていますが、一目見た時その真の強さというか、人としての大きさを感じさせる雰囲気を持った人だとすぐにわかりました。

なんとなく・・ですが。(笑)

いや、きっとそうに違いなく、そうであるからこそ高い品質のワインを生み続けられているのでしょう。

ワインのソムリエもいいですが、人間ソムリエの資格があるならば是非取ってみたいものです。(笑)

あなたのワイン選びの一助になれれば幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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