他の生産者から苦情が出るほどのハイコスパアマローネ。
確かに他の生産者が手掛ける1万ほどのアマローネと比較しても、見劣りしない口コミ評価を得ている印象です。
トップクラスのアマローネを選びたい場合は不向きとも感じましたが、とりあえずアマローネを体感してみたい。手頃なアマローネを知りたい方にお伝えしたい銘柄だと感じました。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》テヌータ サン アントニオ アマローネ
《価格》
【4500~6000】
《ブドウ品種》
・コルヴィーナ
・ロンディネッラ
・クロアティーナ
・オセレタ
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 やや辛口
《産地》 イタリア>ヴェネト州
《生産者》 テヌータ サン アントニオ
テヌータ サン アントニオはヴェネト州の新星で、非常に高いコスパで人気の生産者。
ヴェネト州の生産者協同組合の創立者であった、アントニオ カスタニェーディ氏がワイナリーを購入し、5年の研究を費やした後1995年に「テヌータ サンアントニオ」を創立しました。
そしてアントニオ氏の4人の息子たち全員がワイナリーを継承し、それぞれが違う分野でワイナリーを支え運営されています。「お客様第一」がモットーで、良いワインを造るための努力や投資は惜しみないですが、自分たちの生活はあくまで質素。
そうすることで非常にコスパの良いワインが生まれていますが、あまりのコスパの高さは他の生産者から苦情が出るほど。もちろん品質も優れており、アマローネの神様とも呼ばれるダル フォルノ ロマーノからは「注目すべきアマローネの作り手」として一目を置かれています。
《味わいの特徴》
ハイコスパアマローネ
力強くも綺麗な味わい
このワインの特徴は、アマローネらしいほんのり甘味を伴った凝縮感ある味わいにありますが、ピュアな果実味とキレイな酸は上品さも同時に持ち合わせているところ。
そして、上質なアマローネであるにもかかわらず価格が非常に値打ちであるところも見逃せない特徴です。
【外観】
深みのあるルビーレッド
【香り】
プルーンやブラックチェリーなどの果実香にレーズンやジャムのニュアンス。ブラックペッパーなどのスパイス香に樽に由来するバニラやコーヒーの香りも適度に加わり、複雑な芳香が広がります。
【味わい】
凝縮感のある果実味は適度な甘味とコク、そして中程度のタンニンを伴ったミディアム~フルボディ。キレイな酸が味わいを上品にまとめるバランスの良さがあり、心地よい果実味と複雑な風味を残した余韻が続きます。
それでは、そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■生産者のポリシー■
テヌータ サン アントニオは「お客様第一主義」をモットーに、「美味しくてコスパの良いワイン」を造る事をポリシーにしています。
美味しいワインを生むための設備投資などには惜しみませんが、自身は非常に倹約家で、例えば社用車も22万キロまで乗り続けるほどで、さすがに新車を購入しようとした時も兄弟4人で会議を開くほど。
この事からも、美味しいワインを造る事に資金を廻したいというポリシーが窺い知れます。
■高密植栽培■
ブドウの樹をあえて密に植える高密植を行っており、1haあたり10000本です。
これはブルゴーニュのグランクリュ(特級)クラスと同等の密植率(5000~7000が平均的)で、生存競争が高まることで根を地中深くまで伸ばし、その結果ミネラル豊富な地下水を吸い上げることで成分豊かなブドウが育ちます。
■緻密な管理■
畑の管理は全て自身で行っており、緻密な管理によって充実感がありながら繊細さも持ち合わせたブドウを栽培。その一例は以下の通りです。
《剪定》
適切な箇所を適切なタイミングで剪定(葉や実)し健全なブドウを育てます。
また、あえて収穫量を減らすことで残されたブドウに成分が集まり、充実したワインを生む要因のひとつになっています。
《収穫のタイミング》
以前は収穫を1回済ませていましたが、現在では2回または3回に分けます。
これはブドウの状態が最も良いタイミングの見極めこそが重要という考えによるもので、長年の経験による目利きが発揮されています。
■陰干ブドウ■
アマローネには収穫してから3ヶ月程度陰干され、水分が抜けた干しブドウ状態のものが使用されます。
水分が抜け糖分やポリフェノールが凝縮されたブドウは濃厚な味わいを生み、アルコール発酵は酵母の働きで糖分がアルコールに変化する現象のため、必然的にアルコール度数も高くなり(15%前後)パワフルな飲み口を表現します。
また、「アマローネ=苦み」を意味するように、ビターチョコを思わせるほのかな苦味が感じられるところも特徴的です。
■最新の発酵タンク■
温度管理機能や撹拌機能付きなど、様々なリスク回避に優れた発酵タンクを所有しており、この機能は品質向上と共に人件費削減によるコスパの良さの要因のひとつになっています。
■新樽100%■
醸造を終えると新樽(500ℓ)で2年間熟成されます。
サン アントニオは新樽は清潔感を与えキレイなワインを生むと考えています。
《飲む時の適正温度》
【14℃~20℃】
少し低めの温度にすれば酸が際立ち引き締まった印象。上品な飲み口が楽しめます。
温度を上げるほど果実感や複雑な風味が広がり、ボリューム感のある優雅な味わいが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から4~20年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
参考までに、アマローネのヴィンテージチャートも載せておきます。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2000年 3
2001年 4
2002年 3
2003年 3
2004年 4
2005年 4
2006年 4
2007年 4
2008年 4
2009年 4
2010年 4
2011年 3
2012年 3
2013年 4
2014年 3
2015年 4WA93点
2016年 4WA91点
2017年 3
2018年 3
WA=ワインアドヴォケイト
《適正グラス》
【チューリップ型ボルドーグラス】
香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計されたボルドーグラスを選ぶことで、芳醇な香りと味わいをバランス良く感じやすくなります。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
和牛すき焼き
ブルーチーズ
など、少々コクの強めの食材や味付けの施された料理との相性が良く、充実したワインと料理が互いの味わいを引き立てあいます。
また、アマローネの甘味は塩分の強いブルーチーズやウオッシュチーズなどとの相性も良く、チーズの塩味がワインの甘味を引き立て、またワインの甘味がチーズの旨味を引き立て合う相乗効果が楽しめます。
逆に繊細な味わいを持った和食(刺身・鮮魚の塩焼き・寿司)などに合わせてしまうと、ワインの味わいが強すぎて料理の味わいが感じにくくなるためおすすめしません。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【ネガティブな口コミ】
4年熟成の2012はアマローネらしい味わいでワイン単体でも楽しめるけど、複雑さはあと一歩ってい感じかな?
4年熟成の2012にあえてケチをつけるなら、香がもう一つなところ。値段も考慮すれば気軽に楽しめるから良いけどね。
【良い口コミ】
4年熟成の2015はプラムやカシスなど黒い果実の香りにレーズンやスパイスの香りが加わる。口に含むと甘苦さが最初に来て、穏やかな酸と控えめな甘味が、苦味を伴ったコクを引き立てる。苦味が徐々に弱まっていく長い余韻が非常に味わい深いね。
自然に笑みがこぼれるような美味しさ。5年熟成の2015はコッテリ系の料理にバッチリ♪
幸せなお味♪これぞ甘美というべきでしょうか。11年熟成の2006は黒い果実にチョコレートを感じる芳香で、穏やかな酸味と甘みの広がる味わいです。
アマローネは重甘で干しブドウ的なのを勝手に想像していましたが、違っていました。4年熟成の2013は凝縮感のある果実味ですが、決して甘ったるかったり重すぎることはなく、むしろドライでピュアな酸もあり軽やかさすら感じる。価格も考えれば賞賛すべきエレガントなワインですよ。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 7%
美味しい 60%
普通 33%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
コスパの良さで非常に満足度が高いアマローネだと感じました。
アレグリーニ、べルターニ、ピエロパンのような特に人気のアマローネの味わいには少し及ばない印象ですが、適度な深みやバランス感覚で飲み手を納得させており、価格も含めて高く評価する方が大半。
とりあえずアマローネを飲んでみたいという時や、5000円前後の味わい深い赤の候補に持っておきたいハイコスパワインだと感じました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
テヌータ サン アントニオ アマローネは
【価格】
4500~6000
【味】
アマローネらしいほんのり甘味を伴った凝縮感ある味わいに、ピュアな果実味とキレイな酸は上品さも同時に持ち合わせている。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から4~20年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
アマローネのヴィンテージチャートは以下の通り。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2000年 3
2001年 4
2002年 3
2003年 3
2004年 4
2005年 4
2006年 4
2007年 4
2008年 4
2009年 4
2010年 4
2011年 3
2012年 3
2013年 4
2014年 3
2015年 4WA93点
2016年 4WA91点
2017年 3
2018年 3
WA=ワインアドヴォケイト
【口コミ】
コスパの良さで非常に満足度が高いアマローネ。
アレグリーニ、べルターニ、ピエロパンのような特に人気のアマローネの味わいには少し及ばない印象。
しかし適度な深みやバランス感覚で飲み手を納得させており、価格も含めて高く評価する方が大半。
以上です。
コスパゆえに他の生産者からは苦情が出て、消費者には好評な銘柄でした。
客観的にどちらの気持ちも理解できますが、私達は消費者ですから喜ぶだけでしょうか。。。(苦笑)
あなたのワイン選びの一助になれれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント