ちょっと珍しいネッビオーロとして楽しめる銘柄。
バローロやバルバレスコがネッビオーロの代名詞と言えるほど有名ですが、その他にもネッビオーロから造られるワインはいくつかあります。
その一つがガッティナーラ。
今回紹介するトラヴァリーニのガッティナーラは、味わいへの満足度は同価格帯のバローロやバルバレスコと比較しても引けを取らない印象で、特徴的なボトルデザインとエレガントで深みのある味わい。
バローロでもバルバレスコでもなくガッティナーラという選択は、造詣の深いワインラバーの方ほど珍しさや面白さが伝わるのではないかと感じ紹介しようと思いました。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》トラヴァリーニ ガッティナーラ
《価格》
【5000円前後】
《ブドウ品種》スパンナ(ネッビオーロ)
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 イタリア>ピエモンテ州
《生産者》 トラヴァリーニ
トラヴァリーニはピエモンテ州ガッティナーラ地区を代表するワイナリー。
1920年に設立され、2020年現在4代目のチンツィア トラヴァリーニ女史と夫、そして2人の娘によって運営されています。
トラヴァリーニといえば特徴的なボトルの形。これはチンツィア女史の父ジャンカルロ氏が発明したもので、澱をボトル内に残したまま注げる形状に設計されたものです。※商標登録されている。
イタリアの権威あるガイドブック「ガンベロロッソ」では、「ガッティナーラのネッビオーロを語るうえで、トラヴァリーニを抜きには語れない」と言っており、実際ガッティナーラ地区の約50%がトラヴァリーニの畑。
ここで紹介しているガッティナーラは、世界的ワイン評論家であるジェームス サックリング氏から93点の高得点を獲得した実績のある銘柄です。
《味わいの特徴》
繊細さと複雑さを持つ
優美な味わい
このワインの特徴は、強すぎず弱すぎない味わいで出汁系の旨味や複雑な風味が広がる優美さがあるところ。
また、熟成にも向いており円熟した魅力を発揮します。
情報の少ないワインでしたが、そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
ガッティナーラに使用されるスパンナ(ネッビオーロ)は、ピノノワールに近い透明感のある色調。そして強めの酸と収斂(しゅうれん)性のあるタンニンが特徴的で、適度な果実味と出汁の効いたような旨味が感じられます。
長期熟成で酸やタンニンはワインに溶け込むことでしなやかさが増し、タバコ、トリュフ、革製品など複雑な風味を伴った深い味わいが現れてきます。
■気候や土壌の特性■
《冷涼な気候》
ガッティナーラ地区はバローロやバルバレスコ地区の北に位置するため冷涼です。
昼の温かさで適度な果実味が得られますが、夜の冷え込みはブドウに伸びやかな酸をもたらし、繊細で上品なワインを生む傾向です。
《酸性の土壌》
バローロ地区がアルカリ性の粘土質であるのに対し、火山性の酸性土壌を持つガッティナーラ地区。
豊富な酸やタンニンを生むバローロの土壌と比較すると、酸やタンニンはマイルドな傾向です。
【外観】
ガーネットを帯びた透明感のあるルビーレッド
熟成するほど淡いレンガ色に近づきます
【香り】
バラやスミレを思わせる華やかな香りが広がり、ブラックベリーやプルーンを思わせる熟した果実香やスパイスや樽のニュアンスも加わり、複雑でエレガントな香りが広がります。
熟成するほどドライフラワーやドライフルーツ、腐葉土や紅茶など熟成感ある香りが感じられるようになります。
【味わい】
上品な果実味は出汁が効いたようなコクとほのかな甘味を伴うミディアムボディ。適度でシルキーなタンニンはしなやかな飲み口を表現し、キレイな酸が味わいをまとめると、上品で複雑な風味を残した余韻があります。
熟成するほど成分が溶け合いしなやかさが増し、出汁系の旨味と円熟した風味が広がる味わいに成長していきます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
やや冷やし気味にすれば引き締まった印象。酸やタンニンが際立ちます。
温度を上げるほど穏やかな印象。甘味や複雑な風味の広がりが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~25年
※一般的傾向や口コミから推測
※口コミでは適切に保存された48年物が美味しかったという実績もあります。
【当たり年】
参考までに、ピエモンテ州のヴィンテージチャートも載せておきます。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1995年 3
1996年 5
1997年 4
1998年 4
1999年 4
2000年 5
2001年 5
2002年 2
2003年 3
2004年 5
2005年 4
2006年 4
2007年 5
2008年 4
2009年 3
2010年 5
2011年 4
2012年 4
2013年 4
2014年 3
2015年 3
2016年 5
2017年 3
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
複雑でエレガントな香りと、繊細かつ深みのある味わい持ったワインです。
香りが取りやすく、甘味を感じやすい形状に設計されたバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
アワビバター
鴨鍋
上品さと複雑性を持ち合わせたバランス良いワインです。
合わせる料理も適度なコクを持ったものが適切で、ワインの複雑な風味は野性味のあるジビエ料理ともマッチします。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
6年熟成の2013は熟した黒系果実にバニラ香。果実味は豊かだけど甘味が無くドライな印象で、酸やタンニンも豊富で滑らか。現時点でも悪くはないが、もう少し熟成させた方が良さそうです。
バローロみたいな味わいで美味しいけど、セラーに収まりが悪いボトルの形状には困りものです。。。
【良い口コミ】
5年熟成の2012はニュージーランドのピノみたいな上品さ。バローロやバルバレスコとは違う魅力がありますね~~♪
なんと1967。48年物ですよ。淡いレンガ色で、土や野性動物的な香りからジワジワ広がる出汁系の旨味。これは想定以上の出来栄え。蔵出しとあって状態も良かったのでしょうね。
5年熟成の2013はエレガント系ネッビオーロって感じで、バルバレスコ寄りかな。果実よりも花の香りが優勢で、適度でフレッシュな酸と優しいタンニンがあり綺麗な味わい。とはいえ弱いわけでもなく、余韻もしっかり楽しめました。
5年熟成の2013。ネッビオーロといえばバローロ、バルバレスコだが、ガッティナーラは価格も含めて狙い目かもしれませんね。はじめは少し硬めだったが、時間経過で広がる風味。なかなか良いと思う。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 3%
美味しい 67%
普通 30%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
驚くほどの味わい深さはない印象ですが、否定的なコメントもほぼ無い銘柄でした。
ネッビオーロから造られるため、バローロやバルバレスコに近いとコメントされる方もチラホラでしたが、いや全く違うという意見もチラホラ。また、ピノに通ずる部分があると感じる方など様々。
人によって感じ方も変わるんだな~という印象ですが、ネッビオーロらしいエレガントさがある傾向はよくわかりました。
味わいへの満足度は、同価格帯のバローロやバルバレスコとそれほど差は無いようにも感じましたが、ポジティブに表現すれば引けを取らない印象。(笑)
特徴的なボトル、そしてちょっと珍しいガッティナーラはおもしろい選択肢になると感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
トラヴァリーニ ガッティナーラは
【価格】
5000円前後
【味】
上品な果実味は出汁が効いたようなコクとほのかな甘味を伴うミディアムボディ。適度でシルキーなタンニンはしなやかな飲み口を表現し、キレイな酸が味わいをまとめると、上品で複雑な風味を残した余韻がある。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~25年
※一般的傾向や口コミから推測
※口コミでは適切に保存された48年物が美味しかったという実績もある。
【当たり年】
ピエモンテ州のヴィンテージチャートは以下の通り。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1995年 3
1996年 5
1997年 4
1998年 4
1999年 4
2000年 5
2001年 5
2002年 2
2003年 3
2004年 5
2005年 4
2006年 4
2007年 5
2008年 4
2009年 3
2010年 5
2011年 4
2012年 4
2013年 4
2014年 3
2015年 3
2016年 5
2017年 3
【口コミ】
驚くほどの味わい深さはない印象だが、否定的なコメントもほぼ無い。
バローロやバルバレスコに近いというコメントもチラホラだが、いや全く違うという意見もチラホラ。また、ピノに通ずる部分があると感じる方など様々。人によって感じ方も変わる印象だが、ネッビオーロらしいエレガントさがあることがわかる。
以上です。
いかがでしょうか。
ワインラバーの方々が集まるワイン会などに、このようなトリッキーな銘柄を登場させても盛り上がりそうですね♪
あなたのワイン選びの一助になれれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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