「サラリと上品なワインが好きだ」という方は、この時点で戻って下さい。(笑)
というのも、「濃厚で果実風味豊かなワインが好きだ」と、現オーナーのフィリップ・ブラヴェイ氏は語っていますし、そのような品質を目指しているからです。
シャトー・ヌフ・デュ・パプにおいては手頃な価格を実現しており、ラヤスやボーカステルほどのクオリティーはありませんが、コスパの良さにおいてはギガルと並んで優れている事は、多くの日本の消費者の方々の口コミが証明しているようでした。
《ワイン名》 ドメーヌ・ド・フェラン シャトーヌフ・デュ・パプ
《価格》
【5000円前後】
《ブドウ品種》
・グルナッシュ主体
・ムールヴェードル
・ブールブラン
・シラー
・サンソー
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>コート・デュ・ローヌ地方>シャトーヌフ・デュ・パプ
《生産者》 ドメーヌ・ド・フェラン
【ここで簡単にプロフィール】
ドメーヌ・ド・フェランは18世紀に始まる歴史ある家族経営の生産者。
ローヌのオランジェに本拠地を置き、現当主フィリップ・ブラヴェイ氏は先代が築いた名声を受け継ぎ、さらなる成長を成し遂げた人物で、ワイン・アドフォケイトにおいては毎年90点以上の評価を獲得するほど。
※85点以上が本当に良いとされ、世界のわずか1%と言われている。
家族経営のため生産量は少なく、その人気も手伝って手に入れにくいワインとなっている。
《味わいの特徴》
濃厚で味わい深い
コスパシャトー・ヌフ
このワインの特徴は、凝縮された果実味を主体に複雑な風味や豊富なタンニンなどが感じられる味わい深さにあり、そのような充実感のあるシャトー・ヌフ・デュ・パプが比較的手頃に楽しめるコスパの良さも嬉しい特徴と言えるでしょう。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■当主の哲学■
当主であるフィリップ氏は濃厚で果実味豊かなワインが好みという事もあり、そのようなスタイルのワインを生もうとしています。
そのために醸造においては以下のような取り組みを実践しています。
- 果皮や種の成分を抽出するマセラシオンの期間を3〜4週間と長めにしており、濃厚なワインを生んでいます。
※通常は1~2週間程度。 - アルコール発酵の温度を20℃以下という低温で行う事で、ブドウのフレッシュな香りを残しています。
※通常は25~30℃。
■ヴィエイユ・ヴィーニュ■
フェランの畑のブドウの樹は樹齢が高く、中には100年を超えるものも存在します。
樹齢の高い古木(ヴィエイユ・ヴィーニュ)は土壌の成分を吸い上げる能力が高く、成分の充実した果実が得られます。
■自然派思考■
土壌やブドウの持つ味わいを、そのまま表現したいという自然派の思考のもとでワインがつくられます。
そのための具体的取り組みは以下の3つです。
- 《リュット・レゾネ》
農薬や化学肥料を極力使用しない減農薬農法(リュット・レゾネ)を実践しており、土地の酵母や微生物の働きも加わった健全で成分豊かな土壌が育まれ、その成分を吸い上げた上質なブドウが得られます。 - 《セメントタンク》
樽を使うと、そのニュアンスが反映されてしまうためセメントタンクを使用しており、ブドウの持つ繊細なニュアンスも感じられるようにしています。 - 《添加物は控えめに》
ワインの透明度を高める清澄の工程は軽めにし、濾過については行いません。
また補糖に補酸はもちろん酵母の添加も行わず、天然酵母の働きで発酵を行っており、極力人の手を加えず、ありのままのブドウの味わいを表現しようとしています。
以上のような思考と実践のため、濃厚で成分豊かなワインが生まれる傾向ですが、ヴィンテージ毎の特徴もしっかり表現したい思いもあり、当たり年と呼ばれる年ほど成分はより充実し、そうでない年ほどエレガントさも感じられる品質傾向があります。
【外観】
深みのあるガーネット
【香り】
プルーンやブラックベリーなど黒い果実にバラの華やかさが広がり、ブラックペッパーやドライフルーツに革製品を思わせるニュアンスも複雑性を高めます。
【味わい】
凝縮感のある果実味はほんのり甘味を伴い、豊富なタンニンは味わいの構造を形成、適度な酸はバランスを整えます。
スパイシーなニュアンスやハーブに適度なコクは味わいに奥行きを持たせ、それらの風味を残した余韻が長く続きます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
少し低めの温度にすれば酸が際立ち、エレガントな飲み口になります。
温度を上げるほど果実感や複雑な風味が広がり、ボリューム感のある優雅な味わいが楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から約3~20年
若い段階では厚みのある果実味や豊富なタンニンの感じられる力強さがありますが、熟成するほど成分は溶け合い、力強さよりも上品なしなやかさや、複雑な風味の増した品質に成長していきます。
【当たり年】
一般的にコート・デュ・ローヌ南部のヴィンテージチャートは以下の通りです。
評価の高い年ほど成分が充実し、若いうちはやや硬さがありますが長期熟成に耐える傾向。
評価が低い年ほど成分はやや控えめで、若いうちから親しみやすいですが長期熟成にはやや不向きな傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2000年 5
2001年 5
2002年 1
2003年 4
2004年 4
2005年 5
2006年 4
2007年 5
2008年 3
2009年 4
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 3
2015年 4
2016年 5
2017年 4
《適正グラス》
【チューリップ型ボルドーグラス】
香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計されたボルドーグラスを選ぶことで、バランス良く味わいを感じ取れる事でしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
キノコのリゾット
鴨鍋
など、豊かなコクを持った料理や野性味を感じさせる料理などに合わせる事で、豊かなワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、複雑で厚みのある風味の広がるマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
3年熟成の2012はちょっと期待外れで。ボディがありすぎて味わいのバランスがあまり良くない。評価としては普通で。
3年目の2015ではちょっと若すぎるかな。。もっと寝かせるべきか。
バラのような香りで、粘性のある質感は豊かな果実味と相まって凝縮感のある味わい。上質なワインである事はよくわかるのだけど、やや旨味が不足しているのかな。4年熟成の2014は、香りや果実味はしっかりしてる割に旨味が足りない感じがしてちょっと苦手かも。
【良い口コミ】
美味しい赤ワインのイメージにぴったりハマっている。4年熟成の2012は7日間に分けてじっくり楽しませてもらったけど、どんどん変化していくのも楽しく、5日目以降が特に口当たりがよく好みだった。
4年熟成の2014。凝縮された果実味は、ほんのり甘味を伴いグルナッシュらしさがある。ハーブやスパイシーさも微かに感じられ、すき焼きにはとってもマッチして美味しかったです~。
6年熟成2013。開けた途端に広がる妖艶な芳香性。黒系果実に甘草や黒コショウ、インクに革製品のニュアンスがムワッと広がる。まだまだ溌剌とした若さを感じる味わいで、もう少し寝かせたいけど、これはこれで十分に楽しめました。
4年熟成の2014という事で若めのワイン。シャトー・ヌフらしいエレガンスがあり、酸はやや強めのミディアムボディで、あと3年もすれば、さらにエレガントに成長することがわかる味わい。久々のシャトー・ヌフだったけど、いろんな生産者を試したくなるような味わいでした。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 7%
美味しい 60%
普通 33%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
感動的評価をされる方は少なく、苦手と感じた方や、若すぎたというネガティブ表現をされる方も少数見受けられましたが、ボリューム感とエレガントさに複雑性を兼ね備えた味わいに高評価を与える方が最も多い傾向でした。
開けたてよりも、時間が経過するほどにまろやかになり美味しくなったという意見もチラホラ見られましたから、熟成を待つ選択肢や、若いワインの場合は早めの抜栓やデキャンタ-ジュを考慮した方が良いとも感じました。
それから、ヴィンテージ毎に結構味わいの傾向が違うところも読み取れ、いわゆる当たり年ほどボリューム感が強く、そうでないほどエレガントな傾向がある事も知っておくと良いと思われます。
いろいろ言いましたが、シャトー・ヌフ・デユ・パプの中ではギガルと並んでコスパに優れる印象で、ちょっと手軽にシャトー・ヌフを楽しむのであれば、選択肢に入れるべきワインだと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ドメーヌ・ド・フェラン シャトーヌフ・デュ・パプ ルージュは
【価格】
5000円前後
【味】
凝縮された果実味を主体に、複雑な風味や豊富なタンニンなどが感じられる味わい深さがある。
【飲み頃と当たり年】
・飲み頃
ブドウ収穫年から約3~20年
若い段階では厚みのある果実味や豊富なタンニンの感じられる力強さがあるが、熟成するほど成分は溶け合い、力強さよりも上品なしなやかさや、複雑な風味の増した品質に成長する。
【当たり年】
一般的にコート・デュ・ローヌ南部のヴィンテージチャートは以下の通り。
評価の高い年ほど成分が充実し、若いうちはやや硬さがあるが長期熟成に耐える傾向。
評価が低い年ほど成分はやや控えめで、若いうちから親しみやすいが長期熟成にはやや不向きな傾向がある。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2000年 5
2001年 5
2002年 1
2003年 4
2004年 4
2005年 5
2006年 4
2007年 5
2008年 3
2009年 4
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 3
2015年 4
2016年 5
2017年 4
【口コミ】
感動的評価をする方は少なく、苦手と感じた方や、若すぎたというネガティブ表現をされる方も少数見受けられたが、ボリューム感とエレガントさに複雑性を兼ね備えた味わいに高評価を与える方が最も多い傾向。
シャトー・ヌフ・デユ・パプの中ではギガルと並んでコスパに優れる印象。
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