当主イヴ・グラは言います。
「プチ・シャトーヌフだよ!」
この言い回しが正確かどうかわかりませんが、明るい人間性が垣間見えますね。(笑)
ロバート・パーカー氏からは最高水準である5ッ星生産者の評価を獲得しており、ジゴンダスに君臨するチャンピオンであるとも賞賛されています。
自然派思考で年毎のありのままの味わいを表現しており、ヴィンテージによって違う表情を見せるワインは興味深く、多くの消費者を楽しませています。(少数残念がらせてもいますが。)
さておき、広域コート・デュ・ローヌで評判の高いワインはどれかという客観的視点による口コミリサーチでは、手頃な価格に対する品質はそれを上回っており、ブルゴーニュを連想させる複雑性も持った品質は紹介すべき人気ワインだと感じました。
《ワイン名》 ドメーヌ・サンタ・デュック コート・デュ・ローヌ レ・ヴィエイユ・ヴィーニュ
《価格》
【1600~2000円】
《ブドウ品種》
・グルナッシュ
・シラー
・カリニャン他
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>コート・デュ・ローヌ地方
《生産者》 ドメーヌ・サンタ・デュック
【ここで簡単にプロフィール】
ドメーヌ・サンタ・デュックは1874年創業で、ジゴンダスに本拠地を置く歴史ある生産者。
ブドウは栽培するもののその大半をワイナリーに売っていた過去だったが、1985年に現当主であるイヴ・グラ氏が引き継ぐことになり、全てのブドウを自身で醸造するスタイルに変更した。
自身の理想とするワインを追求する情熱のもと、様々なチャレンジを実践することで品質はみるみる上昇。冒頭で解説した通りパーカー氏をはじめとする様々なワイン誌などにも評価されるようになった。
現在はイヴ氏の息子でありDRCでの研修も経たバンジャマン・グラも加わり、ジゴンダスを語る上で決して外す事の出来ない生産者として君臨し続けている。
《味わいの特徴》
ブドウ本来のピュアな味わい
厚みと複雑性を適度に兼ね備えた
コスパローヌ
このワインの特徴はローヌらしい豊かな果実の風味に加え、ブドウが持つありのままの個性がワインに反映されている点にあり、健全なブドウに由来するピュアな味わいや、スパイスに野性的なニュアンスも持ち合わせた複雑な風味はブルゴーニュワインに通ずるものがあります。
またそのような奥深さを持った味わいを手軽に楽しめるコスパの良さも、うれしい特徴と言えるでしょう。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■ブルゴーニュを理想としている■
当主イヴ・クラ氏は、ブルゴーニュワインのようなエレガンスを持ったワインを理想に掲げており、ブドウの種と皮の成分を抽出するマセラシオンの期間を短くするなど、飲み疲れしないピュアな味わいを持ったワインを造ろうとしています。
■自然派思考■
農薬や化学肥料を使用しないことで、土地の微生物の働きなども加わった健全で成分豊かな土壌が育まれ、その結果その成分を吸い上げた上質なブドウが得られます。
また、品質が安定する人口酵母を使用するのではなく、天然酵母の働きによって発酵させており、ヴィンテージによって特性の異なるワインを生んでいます。
■ヴィエイユ・ヴィーニュ■
土地の成分を吸い上げる能力が高いなど、上質な果実を実らせる古木(ヴィエイユ・ヴィーニュ)のブドウによるもので、その平均樹齢は50年を超えます。
■テラコッタの壺■
熟成は樽を使用せず、イタリア製のテラコッタのツボ(粘土で造った陶器)使用します。
これは樽の風味を付けず、風味に影響を与えないテラコッタを使用することで、ブドウ本来の繊細なニュアンスも引き出す狙いがあります。
【外観】
深みのあるルビーレッド
【香り】
カシスやブルーベリーなどの果実香にブラックペッパーのスパイシーさや、サラミを思わせる野性的なニュアンスも垣間見えます。
【味わい】
まろやかな果実味と適度なタンニンは存在感は示すものの主張しすぎない飲みやすさがあり、ほどよい酸が味わいのバランスを整えます。
複雑性も兼ね備えた味わいは奥行きのある旨味も感じられ、心地よい余韻があります。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
やや低めの温度にすれば酸が際立ち軽快な飲み口になります。
温度を上げるほど複雑な風味が広がり、ボリューム感のある味わいが楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から約4年~10年
実際飲まれた方の口コミ内容を見ると、これくらいではないかと推測しました。
【当たり年】
一般的にコート・デュ・ローヌ南部のヴィンテージチャートは以下の通りです。
評価の高い年ほど成分が充実し濃いめの味わい傾向。
評価が低い年ほど成分はやや控えめで、エレガントな味わい傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2009年 4
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 3
2015年 4
2016年 5
2017年 4
《適正グラス》
【チューリップ型ボルドーグラス】
香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計されたボルドーグラスを選ぶことで、バランス良く味わいを感じ取れる事でしょう。
と言いましたが、複雑な香りを感じるにはバルーン型ブルゴーニュグラスも良いですね。
更に言うと気軽なワインですから、小ぶりのグラスで軽快に楽しんでも良いでしょう。
いろいろ言いましたが、特にこの価格帯のワインは楽しく飲むのが一番ですから、あまりこだわりすぎない事も楽しむコツと言えるでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
ラザニア
キノコのリゾット
など、豊かなコクを持った料理や野性味を感じさせる料理などに合わせる事で、豊かなワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て合うマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
4年熟成の2016はちょっとカリニャンが主張気味。酸が強すぎるんですね。グルナッシュの優し果実味が柔らかくしてくれているけど、もう少し酸は抑え気味が良い。
野性的な香りが特徴的な2015は5年熟成。甘味とスパイシーさがあり・・終わり。それほど語ることが無い味わいです。期待が高かっただけに残念。
【良い口コミ】
ギガルも油断できない。そんな事を思わせる4年熟成の2016。アニマル的な香りがするが、味わいは適度な果実味がまずは感じられる。後追いでアニマルやタンニンに旨味が複雑性を高め、ほどよい酸がまとめるミディアムボディ。率直に美味しいな~って思わせてくれるワインだね。
ジゴンダスほどの長い余韻は無いけど、半額なら大歓迎の出来栄え!!3年熟成の2015は私史上最高の1000円台です。
なるほどブルゴーニュをイメージする生産者かぁ。わかるわかる・・・気がする。(笑)5年熟成の2015柔らかで深みのある味わいがあり美味しいです。
1000円台で平均樹齢50年のヴィエイユ・ヴィーニュて!!7年熟成の09はプルーンのような果実の凝縮感が強く、甘味は強いが嫌じゃない甘さ。コスパ良すぎでしょ。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 10%
美味しい 40%
普通 47%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
ヴィンテージの影響もあるでしょうが、比較的品質にバラつきがあるように思える口コミが多かった印象です。
とは言え近年の全体的傾向としては価格の割には複雑な風味があり、強すぎず弱すぎないバランス良い味わいで、費用対効果で満足度が高いことが印象が残るワインでした。
果実味たっぷりのニューワールド系のローヌを期待する方にはおすすめしにくいですが、野性味を感じさせる複雑でバランス良いブルゴーニュワイン的な要素に興味が湧く方におすすめできるワインではないかと感じました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
サンタ・デュック コート・デュ・ローヌ レ・ヴィエイユ・ヴィーニュは
【価格】
1600~2000円
【味】
ブドウ本来のピュアな味わいは心地よい飲み口で、厚みと複雑性を適度に兼ね備えている。
【飲み頃と当たり年】
・飲み頃
ブドウ収穫年から約4年~10年
実際飲まれた方の口コミ内容を見ると、これくらいではないかと推測される。
・当たり年
一般的にコート・デュ・ローヌ南部のヴィンテージチャートは以下の通り。
評価の高い年ほど成分が充実し濃いめの味わい傾向。
評価が低い年ほど成分はやや控えめで、エレガントな味わい傾向がある。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2009年 4
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 3
2015年 4
2016年 5
2017年 4
【口コミ】
価格の割には複雑な風味があり、強すぎず弱すぎないバランスの良い味わいで、費用対効果で満足度が高い傾向。
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