「世界で最も過小評価された甘口ワインのひとつである」
ワイン評論家であるロバート・パーカー氏は、コトー デュ レイヨンについてそのように語っています。
つまりこれは、品質が高い割に安いことを意味する言葉だと理解できます。
そこで私はそんなコトー デュ レイヨンにおける人気ワインはどれかを調べてみると、ムーラン トゥーシェと今回紹介するドメーヌ ダンビーノが自然と浮上してきました。
長期熟成を経た古酒にしては非常に手頃な価格で、ソーテルヌの貴腐ワインとは一味違った魅力を持った甘口ワインは、多くの方々を楽しませています。
《ワイン名》 ドメーヌ ダンビーノ コトー デュ レイヨン ボーリュー
《価格》
【5000~8000円】
《ブドウ品種》シュナン・ブラン
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 甘口
《産地》 フランス>ロワール地方>アンジュ―・ソーミュール地区>コトー・デュ・レイヨン
《生産者》 ドメーヌ ダンビーノ
ドメーヌ ダンビーノはロワールのアンジェ市の南、ボーリュー・シュル・レイヨン村に1945年に設立されたドメーヌ。
ここで紹介している「コトー・デュ・レイヨン ボーリュー」が、このドメーヌのフラッグシップであり、特に欧米で高い評価を獲得しています。
《味わいの特徴》
円熟した上品な甘やかさ
このワインの特徴は、長期熟成を経た円熟した上品な甘味が感じられる点にありますが、1ℓ当たりの残糖度が20~50gであり、これは貴腐ワインにしては低い糖度(シャトー・ディケムは約150g/L)で、濃密な甘やかさというよりはスッキリとした甘味を持った傾向があります。
また、農薬や化学肥料を極力使用しない減農薬農法(リュット・レゾネ)を実践する生産者でもあり、土地の酵母などの微生物の働きも加わった健全な土壌からは、成分の充実したピュアなブドウが得られることも上質なワインが誕生する一因となっています。
【外観】
輝く黄金色。
熟成が進むほど琥珀色に変化していきます。
【香り】
アンズや黄桃にの熟した果実香に、黄色い花や蜂蜜の甘やかな香りも感じられます。
【味わい】
トロミのある質感は滑らかな飲み口で、厚みのある果実味と蜜の甘やかさが広がり、適度な酸味が味わいをまとめます。
《飲む時の適正温度》
【6℃~12℃】
よく冷やせば酸味が際立ち、上品でスッキリとした甘味を感じやすくなります。
少し温度を上げれば、広がる風味が楽しめますが、上げ過ぎると味わいがぼやけた印象になってしまう傾向です。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から約30~50年
※2020年現在販売されているヴィンテージは約30年物が一番若く、実際飲まれた方の感想を拝見すると約50年程度ではないかと感じました。
【当たり年】
熟成古酒ですから当り年も解説したかったのですが、ロワールの貴腐ワインに対するヴィンテージチャートが見当たらず、紹介できず申し訳ございません。
《適正グラス》
【小ぶりのオシャレなワイングラス】
香りがほどよく感じられ、温度も上がりにくく設計された小ぶりのグラスが良いでしょう。
また、気品あるワインですから、高級感のあるオシャレな形状のグラスの方が雰囲気もいいですね。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
フォアグラのバターソテー
ブルーチーズ
貴腐ワインはコクのあるフォアグラとの相性が良い事で有名です。
また料理ではありませんが、塩分の強いブルーチーズも対極の甘さを持つ貴腐ワインと合わせる事で互いの味わいが際立ち、そして引き立て合います。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
56年物の1960は残念なブショネ。とはいえ味わいは健全で、リコルク時に汚染されたことが推測されます。甘味はほどよくドライなテイストがありますね。
1976年のこのワインは30年以上昔の飲み物とは思えないほどみずみずしく、複雑な香りと上品な甘味がありますね。あえてネガティブな事を言うとすれば、インパクトが特に無く印象は薄いと言えるかも。
【良い口コミ】
私の生きた年数・・42年物の1973。これは感慨深くいただけますね。樽の香りが広がり、味は梅酒的!!カシュ―ナッツとも結構合ってなかなか旨い!!生まれ年効果で精神的にも味わい深くなりました。(笑)
47年物の1968ですって~🎵トロトロで美味しいですよ~~🎵
甘味はあるが、決して甘ったるくはない。後口もスッキリしており中々良い。43年熟成の1973。
39年経過しているとは思えないほどフレッシュで透明感のある味わい。凝縮された果実味は上品な甘さがあり、これがロワールの甘口古酒なんだと思える経験をさせていただきました。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 3%
美味しい 33%
普通 64%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
口コミ量の少なさにもよりますが、残念なブショネにあたってしまった方以外で、このワインを具体的に否定するコメントは見当たりませんでした。
唸るほどの奥深さやインパクトのあるワインではない印象ですが、上品な甘味を持った熟成古酒で、これほどの古酒にしては手頃な価格な事もあり、満足度は高い傾向です。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ドメーヌ ダンビーノ コトー デュ レイヨン ボーリューは
【価格】
およそ5000~8000円
【味】
円熟した上品な甘やかさがあり、濃密な甘やかさというよりはスッキリとした甘味を持った傾向。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から約30~50年
※2020年現在販売されているヴィンテージは約30年物が一番若く、実際飲まれた方の感想を拝見すると約50年程度ではないかと感じた。
【口コミ】
唸るほどの奥深さやインパクトのあるワインではない印象ですが、上品な甘味を持った熟成古酒で、これほどの古酒にしては手頃な価格な事もあり、満足度は高い傾向。
非常に情報の少ないワインで、やや解説も大雑把になってしまいました。
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