オーストラリアらしい赤ワインを選ぶ時の有力候補。
オーストラリアを代表する生産者にペンフォールズを挙げる方も少なくないですが、そんな生産者が手掛けるエントリークラスの赤ワインは高評。
奥深さや重厚感はそれほどありませんが、適度に厚みのあるバランス良い味わいで、価格も考慮すると口コミ満足度は高いと感じました。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》ペンフォールズ クヌンガ ヒル シラーズ カベルネ
《価格と基本情報》
【1700前後】
《ブドウ品種》
・シラーズ
・カベルネ ソーヴィニヨン
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 オーストラリア>南オーストラリア
《生産者》 ペンフォールズ
ペンフォールズはオーストラリアを代表するトップ生産者。 1844年にイギリスから移住した医師クリストファー ローソン ペンフォールズ氏が、南オーストラリアで患者向けに酒精強化ワインを生産し始めたことが起源です。
1950年代になると消費者のニーズへの適応のために、スティルワイン(一般的なワイン)なワイン造りに転換。
ボルドーに見劣りしないワイン造りを目指し、1951年に「グランジ」を生みだします。
熟成で開花した「グランジ」は絶賛され、「20世紀で最も偉大なワイン12本のひとつ」とまで評されるようになり、それ以来オーストラリアの最高峰として地位を維持し続けています。 造られるワインのラインナップはグランジを頂点にカジュアルなものまで様々ですが、今回紹介している「クヌンガ ヒル シラーズ カベルネ」は、最も手軽なエントリークラスの銘柄。
2018年のサクラアワードでは、2015ヴィンテージがゴールドを受賞しており、日本の一般消費者からも高い支持を集める人気銘柄です。
《味わいの特徴》
豊潤な果実味と樽感
マイルドでバランス良く
濃いめの味わい
【外観】
濃厚な赤紫
【香り】
ブラックベリーやカシスなど熟した黒系果実の香りに、ブラックペッパーやシナモンなどのスパイス。また樽に由来するチョコレートやコーヒーのニュアンスも加わり、ふくよかな印象があります。
【味わい】
厚みのある果実味は少しの甘味を伴い、穏やかな酸と相まってマイルドな飲み口。タンニンは豊富ながらキメ細かく、豊潤な果実味や芳ばしい樽の風味を残した後口があります。
それでは、そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■温暖さと豊富な日照■
南オーストラリアは温暖で豊富な日照がある産地で、ブドウがよく熟します。
そのようなブドウから造られるワインは凝縮されたパワフルな果実味があり、酸は比較的穏やかで丸みのあるタンニンを持つ傾向があります。
■品種の個性■
主体的に使用されるシラーズは豊潤な果実味とスパイシーな風味が特徴的な品種。
ブレンドされるカベルネソーヴィニヨンも力強いワインを生む品種で、それぞれの個性が反映されたボリューム感あるワインが生まれます。
■マルチリージョナルブレンド■
ペンフォールズは全てのラインナップに「マルチリージョナルブレンド」という考え方を適用しています。
1つの畑のブドウから造るのではなく、様々な畑のワインをブレンドする手法で、各畑のブドウをワインにした後に目指す味わいに近づけるようにブレンドを行うものです。
この事が安定してバランスの良いワインが生まれる要因にもなっています。
■樽熟成■
発酵を終えたワインはフレンチオークとアメリカンオークの古樽で10ヶ月熟成されます。
新樽に比べると樽の風味が付きにくい古樽にすることで、ブドウの繊細なニュアンスを覆い隠さない程度の樽感が反映されます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~20℃】
少し低めの温度にすれば酸やミネラルが際立ち、引き締まった上品な飲み口。
温度を上げるほど穏やかな印象になり、果実感や複雑な風味の広がりある味わいが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3~10年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
参考までに、南オーストラリアのヴィンテージチャートも載せておきます。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2010年 5
2011年 2
2012年 4
2013年 4
2014年 3
2015年 4
2016年 4
2017年 3
2018年 5
2019年 4
《適正グラス》
【ボルドーグラス】
比較的カジュアルなワインで、小ぶりのグラスで軽快さを楽しむのも良いと思いますが、香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計された大ぶりのボルドーグラスを選ぶことで、バランス良く香りと味わいを感じ取れます。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
ポークグリル
ホタテバター醤油焼
など、やや強めの味わいの料理に合わせると良いでしょう。
複雑で深みのあるワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立てるマリアージュが楽しめます。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【ネガティブな口コミ】
適度な甘味もあるリッチ系なワイン。酸が少なめなのでスッキリ感が無く、飲み進めるにはちょっとクドさを感じるかも?
オーストラリアらしい果実感とシラーズのスパイス感が楽しめるワイン。開けてから時間を置いた方がベターで、開けたてはアルコール感が前面に出てる感じがしましたね。
【良い口コミ】
コンビニで買えるワインの中ではトップクラスにうまい!♪豊潤でスパイシーで複雑さもあり、タンニンも豊富でシルキーです!
果実味がパワフルでタンニンもしなやか。こういうタイプのワインはわかりやすく美味しいので、初心者の方にも勧めやすいですね。
優しい甘味を伴った強めのアタックから、後半はタンニンの存在感を残しつつ果実の風味が鼻を抜ける。余韻は短めではあるけど、料理にも合わせやすく美味しいワインだと思います。
価格を考慮すれば十分満足。フルーティーでスパイシーな芳香から、豊潤な果実味を優しい酸とタンニンがマイルドにバランスを整えていて、適度に味わい深さも楽しめました。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 0%
美味しい 33%
普通 67%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
比較的手頃な価格と、オーストラリアらしい果実味主体のバランス良い味わいへの好感は高い傾向です。
若干のネガティブコメントもありましたが、豊潤な果実味とスパイス感があるバランス良い飲み口への好感が最も多く、時間が経過するほどマイルドさが増して良くなったというコメントもチラホラ見られました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ペンフォールズ クヌンガ ヒル シラーズ カベルネは
【価格】
1700前後
【味】
熟した果実にスパイスやチョコレートの芳香。
厚みのある果実味は少しの甘味を伴い、穏やかな酸と相まってマイルドな飲み口。
タンニンは豊富ながらキメ細かく、豊潤な果実味や芳ばしい樽の風味を残した後口がある。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3~10年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
南オーストラリアのヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2010年 5
2011年 2
2012年 4
2013年 4
2014年 3
2015年 4
2016年 4
2017年 3
2018年 5
2019年 4
【口コミ】
比較的手頃な価格と、オーストラリアらしい果実味主体のバランス良い味わいへの好感は高い傾向。
若干のネガティブコメントもあるが、豊潤な果実味とスパイス感があるバランス良い飲み口への好感が最も多く、時間が経過するほどマイルドさが増して良くなったというコメントもチラホラ見られた。
以上です。
口コミを客観的で個人的な解釈をする限りでは、ペンフォールズは今回紹介したクヌンガ ヒル シラーズ カベルネが最も満足度は高い印象です。
とは言え、トップキュベのグランジ(超高額!)や、それに続くBINシリーズも非常に完成度が高く評判も良いと感じましたので参考になれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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