コワイヨ・・
怖くないよ。
美味しいよ。
おもしろくありませんが言っておかないと気持ち悪かったので・・・。
さて、ブルゴーニュにおいて有名な産地は?
と、聞かれてマルサネを答える人はいるでしょうか・・いや。いない。
やはり、ジュブレ・シャンベルタンやヴォーヌ・ロマネあるいはシャブリにボージョレを挙げる人も多いでしょう。
それほど知名度は低く、AOCを名乗れるようになったのも1978からという事で、歴史も浅い産地でもあります。
そんなややマニアック感すら漂うマルサネにおいて、「マルサネに傑出したワインが存在する」と話題になった生産者。
ジュブレ・シャンベルタンやヴォーヌ・ロマネも素晴らしいですが、ちょっと変わった産地の優れたワインをお探しの方。
お値段以上の品質を持つブルゴーニュピノをお探しの方に提案したいワイン。
あなたのワイン選びの一助になれば嬉しく思います。
《ワイン名》 ドメーヌ コワイヨ マルサネ レ ロンジュロワ
《価格》
【4700~5600円】
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアムボディ~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>マルサネ
《生産者》 ドメーヌ・コワイヨ
《特徴》
豊かな果実味と
ブルゴーニュらしい複雑味
このワインの特徴的なところは、ブルゴーニュにしては豊かな果実味を持っているところで、凝縮感のある果実味があるため、若いうちから楽しめる事も特徴と言えるでしょう。
そのような品質になる理由は、オーナーであるクリストフ・コワイヨ氏のこだわりにあります。
「俺は完熟ブドウしか使わないぜ!!」
これはクリストフ氏の言葉です。
使わないぜ・・・という言い回しは正確かどうか知りませんが、こだわりの強い人間性が感じられます。
さておき、完熟ブドウしか使わない事は確かで、完熟させるための努力を惜しまず、完熟のタイミングを逃さず収穫するために、ブドウ一房一房を注意深く観察する手間も惜しみません。
また、豊かな果実味を持つと同時に、上質ブルゴーニュらしい複雑な香りと味わいを持つことも特徴で品質は高く、村名AOCではありますが、プルミエクリュに近い品質と評価されています。
【外観】
透明感がありガーネット色を帯びた深いルビーレッド。
熟成が進むほど褐色がかった色合いが強くなります。
【香り】
若いうちはチェリーやラズベリーなどの爽やかな香りに、プルーンやカシスなどのフルーティな果実香、樽の香りも感じられます。
熟成するほど果実香は落ち着きあるドライフルーツなどの風味が現れ、紅茶や土を思わせる熟成香も加わり円熟味が感じられます。
【味わい】
熟した果実の凝縮されたエレガントな味わいが優雅に感じられ、ほどよいコクと複雑な風味も心地よく広がり、程良いタンニンと穏やかな酸味は味わいをまとめ、心地よい余韻が長く続きます。
熟成するほど成分は溶け合う事で、よりしなやかで上品な落ち着きある味わいに変化してゆくでしょう。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
14℃程度にすれば、美しい酸味が感じやすくフレッシュなベリー系果実の風味が感じられる軽快さのある飲み口になります。
温度を上げるほど酸味は穏やかに感じられ、その分甘味や旨味などの複雑な風味が豊かに広がる味わいが楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3~15年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなります。
ブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
美しい外観と香りを持った風味豊かなワインです。
香りが取りやすく温度が少しずつ上がり、甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
ホタテ醤油バター
和牛赤身のステーキ
など、上質でコクの豊かな料理に合わせることで、複雑な風味とコクの広がる上質なマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
安くて上質なブルゴーニュのピノノワールをお探しの方におすすめしたいですね。
ジュブレ・シャンベルタンやシャンボール・ミュジニーにヴォーヌロマネのワインは、品質はもちろん上質ですが、価格も高額なものがほとんどです。
そのような産地のワインに比べ、このマルサネはお手軽な価格で品質も決して劣る事はありません。
品質だけを考えれば、十分に満足できるコスパワインではないかと思います。
また、完熟ブドウを使用するこだわりを持つコワイヨのワインは、ニューワールドのような豊かさを感じさせる果実味があり、ブルゴーニュらしい複雑さもあり成分豊かなワインです。
そのような豊かさと複雑さを持ち併せたワインはバランス感覚に優れ、万人受けしやすいのではないかとも感じました。
《こんな場合には不適切!?》
ピノノワールにしては凝縮感のある豊かなワインですが、やはりエレガントさが感じられるワインです。
南フランスのグルナッシュ、オーストラリアのシラーズ、カリフォルニアのカベルネソーヴィニヨンなど、温暖な産地の濃縮されたジューシーでパワフルな果実味を持ったワインが好みの方には、少しだけ薄く感じてしまうかもしれません。
《飲んだ人の口コミ》
【良い口コミ】
「4年目の2012は濃い目の色調で、香りは心地よく樽はあまり感じさせない。果実味の豊かさは村名以上1級未満といった印象で、北の産地にしては酸は穏やかでタンニンもキメが細かくなめらか。ニューワールドっぽい果実味ではあるが、複雑な風味はやはりブルゴーニュのピノって感じで、後半に旨味が出てくるんだよね。」
「4年目の2015はピノノワールにしては濃い目の色調で、果実の香りも豊かでハーブも感じます。味わいもブルゴーニュのピノにしてはしっかりとした果実味で、まろやかさもあり美味しいですね。」
「前から気になってたんだよね。花やハーブの香りでほどよい酸味で余韻も優雅。高次元でバランス感覚が保たれている印象でなかなかいいな。ブルゴーニュのワインはおいしいというより、美しいバランスを楽しむワインと感じたね。ちなみに今回は4年目の2012だ。」
【悪い口コミ】
「3年目の2015は中々柔らかな味わいで少しの甘味も感じる。2日目にはもう少し酸が際立つかと思ったが、逆に甘味が強くなりニューワールド系の味わいになり複雑味もある。かなり北の産地でもこのようなワインができるのだと感心はしたのだが、個人的には酸味の効いたワインが好みだからそこそこといういう事で。」
「3年目の2013はまだ開いていないのか香りが弱いかな。でも味わいはなかなかいいわね。明日はもっと良くなっているかも。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 3%
美味しい 53%
普通 44%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
とても好印象に感じた人が多い傾向で、悪いと感じた人は見当たらず、欠点を指摘する事が難しいほど良質でバランスの良いワインである事が伝わってきました。
ブルゴーニュでも最も北部に位置する産地のわりには、果実味が豊かでしっかりとした味わい深さがあり、ブルゴーニュらしい複雑味も感じられる品質は、お値段以上のポテンシャルを感じている方も多かった印象です。
引き締めるような酸味の効いたピノが好きな方には、穏やか過ぎるかもしれませんが、カリフォルニアのピノのようなジューシーな果実味が好みの方にはおすすめしやすいですし、ブルゴーニュでもプルミエクリュクラスの豊かで複雑な上質ピノに近い深さを感じたい方の選択肢に入れても良いのではと思いました。
以上です。
ドメーヌ コワイヨ マルサネ レ ロンジュロワの味わいがなんとなくイメージできましたでしょうか。
高級すぎずカジュアルすぎず、パワフルすぎず繊細すぎない絶妙なバランスを持ったコスパピノ。で、いかがでしょうか。
漫画神の雫では、
「バレリーナのように優雅なピノノワール。彼女は舞台袖で満員の観客に自分の若さが通用するかを恐れているが、優雅な微笑と伝統的だが新しさを感じさせる技で観客を魅了してしまう。」
と、いうような表現をしています。
なるほど、という感じですね。
興味の湧いた方はぜひ試したいただきたいワインです。
あなたのワインのある生活が豊かになる事を願っております。
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