「グランクリュは美味しいけど、やっぱり高いしな~。」
そう思っている方も多いのではないでしょうか。(私を含めて)
特にブルゴーニュのコート・ド・ニュイのグランクリュともなれば、なかなか手が出しにくい価格のワインも多いですね。(味は素晴らしいですが・・・)
今回は、そんな中で知名度や評価もそこそこ高く、しかも手頃な価格の生産者の紹介です。
5000円ぐらいでコスパの良いジュヴレ・シャンベルタンを造る事で、以前にも紹介しましたが、今回はグランクリュというわけです。
1850年からの長い歴史を持つジュヴレ・シャンベルタンのドメーヌで、現当主のフィリップ・ドルーアン氏はなんとも優しそうなパンダのような雰囲気で、その人柄が消費者にやさしい価格設定になっているのかもしれません。
※私の勝手な妄想です。(笑)
さておき、今回選んだボンヌマールは他の生産者のグランクリュに比べ、非常に値打ちに販売されており、実際飲まれた方も多く、その評価も価格以上の傾向を強く感じましたので紹介させていただこうと思いました。
ワインの知識が豊かな方でしたら、ボンヌマールが優れたグランクリュである事もわかるでしょうから、そのような方への贈り物やプレゼントにしても喜んでもらえそうですし、その深くエレガントな味わいは特別な日に楽しむワインとしても、十分に力を発揮してくれるのではないでしょうか。
《ワイン名》 ドルーアン・ラローズ ボンヌ・マール
《価格》
【18000~24000円】
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>シャンボール・ミュジニー>ボンヌ・マール
《生産者》 ドメーヌ・ドルーアン・ラローズ
《特徴》
豊かな果実味とコク
滑らかなタンニン穏やかな酸は
エレガンスを感じる
このワインの特徴は、グランクリュらしい成分豊かな品質であること。
洗練された果実味は雑味無くピュアで豊潤、心地よい旨味が感じられ、タンニンは豊富であるものの非常になめらかで、品格は感じさせるものの力強いというよりはエレガンスを感じます。
また、質の高い酸味は主張しすぎる事もないバランス感覚を持っており、比較的若いうちから楽しめ、もちろん熟成させることでも円熟味が深まった女性的なエレガンスを感じさせる品質に成長していきます。
そのようなワインになる理由をいくつか挙げます。
・ドルーアン・ラローズの所有するボンヌ・マールは非常に条件の良い斜面上部に位置しており、日当たりが非常に良くブドウもよく熟し、成分豊かで上質なブドウの果実が育ちます。
・「ワインで一番大事なのは、素材。素材が良ければ、あえて何かしようとしない方が良い。」
これはフィリップ・ドルーアン氏の言葉で、土地の特性を反映したピュアでありのままのブドウを育てるために、土地と季節のリズム・バランスを重視し、極力人の手を加えない農法を行っています。
・ブドウのエレガントな風味を感じやすくするために、樽のニュアンスが反映しやすい新樽の使用比率をあえて低くし、ブドウ本来の風味を感じやすくしています。
【外観】
紫がかった深いルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
イチゴやラズベリーなどのフレッシュな果実香に、カシスやブラックチェリーなどのフルーティな果実香、バラの華やかさにほどよい樽のニュアンスも感じられます。
熟成が進むほど果実香は円熟味を感じさせる落ち着きある印象になり、紅茶やクローブに革製品などの熟成香も加わり複雑さも増し妖艶さを感じます。
【味わい】
洗練された豊かな果実味は心地よく旨味も感じられます。
タンニンは豊富なものの穏やかで角が取れており、しなやかな質感。
美しい酸味が味わいを引き締め、心地よい果実や樽の風味を残したエレガントな余韻があります。
熟成が進むほどタンニンや酸味などの成分は溶け合うことで、なめらかさとコクが増し、円熟味を感じさせる妖艶な味わいから長い余韻までを楽しめるでしょう。
《飲む時の適正温度》
【16℃~18℃】
その豊かで洗練された香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~30年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 3
1992年 2
1993年 4
1994年 2
1995年 4
1996年 5
1997年 3
1998年 3
1999年 4
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
豊かな香りとエレガントで複雑な味わいを持った秀逸なワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で複雑な風味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
和牛すき焼き
白身魚のグリル、バタークリームソースで
など、豊かなコクを持った料理に合わせる事で、エレガントで深いワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、複雑で優雅な風味の広がる極上のマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「ドルーアン・ラローズは15年熟成あたりがピークかなと思います。若くても違う良さがありますけどね。30年熟成(1983年)まで行くとちょっと風味が抜けて枯れかった印象もありました。」
【良い口コミ】
「3年熟成で硬いかな?と思いつつ開けちゃいました2011。ところがタンニンも酸味も角なくバランスの良いもので、非常に美味しく飲め大満足!!熟成させるとどんなワインになるのだろ。ワクワク。」
「評価はそれほど高くないと思われるドルーアン・ラローズですが、さすがにグラン・クリュの味わいは秀逸です。2001は13年の時を経ても果実味に若々しさを感じ、かつ熟成による妖艶さもあります。こんな感じの女性になりたい!!と思えるほど素敵なワインでした(笑)」
「4年目の2010。やはりグランクリュはさすがだ。力強くもあり繊細さもありスケールを感じさせる風格だ。」
「グラスに注がれた液体は飲むほどに味わいに変化が見られ、いくつものワインを飲んでいるかのような錯覚に陥る。32年の時を経た85は迷いの森に私を連れて行ってくれました。この感覚を感じられるのがブルゴーニュのおもしろいところ。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 26%
美味しい 57%
普通 17%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
さすがグランクリュだけあって、非常に満足度の高い評価を獲得している印象でした。
グランクリュにしては若いうちからバランスが良く、比較的開いている印象で、早飲みにも適応する傾向で、熟成によってさらに妖艶さが加わる印象ですが、グランクリュにしてはそこまで長期熟成には向かないのかとも思える評価もあり、ヴィンテージにもよりますが30年あたりが限度かなと感じました。
とは言え、グランクリュにしてはお値打ちな価格であり、そのような意味でも優れたワインである事は揺るぎないでしょう。
以上です。
ワインは星の数ほど存在し、その中から一本を選ぶのは非常に難しい事なのかもしれません。
誰が飲んでも美味しいワインは存在しませんが、知識と経験を増やすことで当たる確率、もしくは大外ししない確率が高まっていく事でしょう。
あなただけのの好みの一本、忘れられない一本が見つかる事をお祈りしております。
長文のご拝読ありがとうございました。
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