ロマネ・コンティ。
ワインに全く興味が無くとも、その名は知っているというほどの知名度の高さで、知名度はもちろん品質そして価格も世界最高のワインである事は周知の事実。
そしてワインを志す方にとっては、生涯に一度は口にできたらいいなという存在であり、憧れの存在ではないかと思います。
そんなロマネコンティを生み出している生産者こそが、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ【Domaine de la Romanee-Conti】であり、【DRC】と呼ばれるわけですね。
そんなDRCが生み出すワインは、モノポール(単独所有)であるロマネ・コンティやラ・ターシュをはじめとしていくつか存在します。
今回紹介するのはグラン・エシェゾーです。
DRCの生産する9銘柄のワインの中では6番目に高価です。
ヴォーヌ・ロマネで多くの方に飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみた結果、DRCの生産するワインは全て多くの方に飲まれ、そして秀逸な評価を受けているものばかりでした。
というわけで、DRCのワインについては全銘柄を紹介させていただく事になりました。
ワインを通じて最上の時間を楽しみたい時、最上級の敬意を込めて献上する贈り物などの候補にしてみてはいかがでしょうか。
《ワイン名》 DRC グラン エシェゾー
《価格》
【25万~80万円】
※ヴィンテージによって価格は変動します。
※30~50万が多い印象です。
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ヴォーヌ・ロマネ>グラン・エシェゾー
《生産者》 ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ
《特徴》
複雑で優雅
気品に満ちたボリューム感
グラン・エシェゾーの特徴は、非常に複雑でボリューム感溢れる風味にあり、「干しきのこや、腐葉土が広がる深い森の中を、ゆっくりと馬にまたがり散歩をする、夢見がちな貴族のよう」とDRC自身は表現しています。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■最上のテロワール(ブドウを取り巻く環境の全て)
DRCの所有するグランクリュは、土壌や気候を含むすべての自然環境において、ピノ・ノワールにとって最も優れていると言われます。
グラン・エシェゾーにおいては、浅い粘土質土壌をベースに、石灰質が若干多く含まれており、香りの複雑さやボリューム感溢れる味わい深さが際立ちます。
■ビオディナミ農法
農薬や化学肥料は一切使わず、畑を耕す作業も土を踏み固めてしまうトラクターは使わず、農耕馬を使っています。
また、天体の動き(太陰暦)に合わせて農作業を行う事も厳格化されており、ありのままの健全で成分豊かな土壌が維持され、その成分を存分に吸い上げた上質なブドウが実ります。
■厳しい収量制限
1本のワインを造るのに3本のブドウの樹が使われるというほど、DRCでは厳格な剪定を行い収量制限が行われる事も有名です。
そうすることで、残されたブドウに成分が集中し、成分の充実したスケール感溢れるワインが生まれます。
■全房発酵
一般的にはブドウの粒のみを発酵させるのが主流ですが、粒の付いた枝のような部分を梗(こう)と呼び、その部分も含めて全て発酵させることも特徴的です。
それによって、滑らかなタンニンが得られ長期熟成に耐える事や、梗由来の独特の苦味や風味が加わり、複雑な味わいになります。
※この全房発酵は非常に難易度の高い手法としても知られ、適切に行わないと青臭さ・酸味・ギスギスしたタンニンが出てしまいます。
そのためには、梗の部分までしっかりと熟している状態にさせなくてはならず、菌の付きやすい梗を無農薬で健全に保つには非常に管理が緻密でなければなりません。
そのためこの手法を実践しているのは、DRCなどの極一部のトップ生産者のみというわけです。
【外観】
深みのあるルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
バラやスミレの華やかさにラズベリーやブラックベリーなどの果実香、腐葉土に甘草に獣、スパイスにハーブといったニュアンスも加わり非常に複雑でボリューム感ある香りが感じられます。
熟成するほど円熟を感じさせる妖艶なニュアンスに変化していき、熟した果実にドライフルーツやドライフラワー、獣に腐葉土にトリュフに紅茶などの魅惑的な熟成香も広がりを見せます。
【味わい】
凝縮された果実味はボリューム感に溢れ、力強さがあるものの繊細さも持ち併せ、確かな存在感を感じさせるタンニンは、シルクのように滑らかさで構造を形成し、美しく伸びやかな酸は味わいまとめた後、複雑な風味を伴った非常に長い余韻があります。
熟成が進むほど果実味は落ち着きある深い旨味を伴った甘やかさが現れ、タンニンや酸などの成分は溶け合う事で、ビロードのようにしなやかさを持った質感に変化していきます。
そして獣や土に紅茶などの熟成による魅惑的な風味を伴った味わいは別格の味わいを表現し、いつまでも続くかのような長い余韻に包まれます。
《飲む時の適正温度》
【16℃~18℃】
別格の複雑さとスケール感溢れる味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から7~40年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1978年 5
1979年 3
1980年 2
1981年 2
1982年 2
1983年 3
1984年 1
1985年 5
1986年 4
1987年 4
1988年 5
1989年 4
1990年 5
1991年 3
1992年 2
1993年 4
1994年 2
1995年 4
1996年 5
1997年 3
1998年 3
1999年 4
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
複雑で芳醇な香りと、エレガントでスケール感溢れる味わいを持った格別なワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で複雑な風味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
特に上質な和牛のタタキ
クリーム系パスタにトリュフを乗せて
など、特に上質で豊かなコクのある味わいの料理に合わせる事で、優雅なワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、複雑で官能的な風味の広がる至極のマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
世界最高クラスのワインです。
ワインに造詣が深い方などへ、最上級の敬意を込めて贈るワイン、あるいは特別な日に大切な方と最上級の料理に合わせて楽しむワインではないでしょうか。
ワインを志すような方で、DRCのワインを手にして喜ばない方などいるのでしょうか。
いや、いない。
《こんな場合には不適切!?》
不適切というよりは、飲み頃や抜栓するタイミングには気を付けるべきワインです。
せっかくのグラン・エシェゾーも若すぎて、ボトルの最後の一口でようやく開いてきたでは残念ですね。
それから、特別感満載のワインですから、日常消費用ではありません。
日頃の晩酌にこのワインを選ぶ人などいるのでしょうか。
いや、いない。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「5年熟成の2013はまだ若い。しかし5年にしてこのまろやかさと果てしない余韻。この先どうなっちゃうの~。」
【良い口コミ】
「5年熟成の2012は同年のエシェゾーに比べてスケールが大きく深い味わいだ。果実感もしっかり感じられるが独特の獣香もおもしろい。格別だ。」
「コルクから漂う官能的な香りだけでもうっとり。さすが88です。淡いレンガ色の液体はグラスに注がれた途端に香りが爆発します。花にカカオ、獣に苔のような落ち着きも感じさせる香りは、時間経過で香水のように心地よいものに。味わいもまろやかで、梅の出汁の効いたような旨味があり、アメリカンコーヒーのような芳しさもある。29年の時を経たグラン・エシェゾーは至福の時間を私にくれました。」
「美しく輝くルビー。ラズベリーにバラやスミレにスパイスや紅茶も感じます。非常に洗練された雑味の無い味わいで、ブラインドで一緒にこのワインを口にした方々も、典型的なこのDRC香をすぐに見破っておられました。13年熟成の2004です。」
「『エシェゾーよりも複雑で深い所がグラン・エシェゾーの特徴で、深い森を散策する夢見がちな貴族とも形容される。香りは非常に複雑で、赤果実に黒果実のコンポートを思わせる甘やかさに、様々な花に紅茶やハーブもある。ボリューム感溢れる味わいは洗練されており、タンニンと酸と果実味のバランス感覚にも優れ、ピノらしい優雅で妖艶な余韻がある。非常にストラクチャーのしっかりした味わいで、最上のテロワールとDRCの技術が見事に融合した傑作。』って・・言われたぜ!!(爆)とにかく15年熟成の02は傑作だぁ。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 50%
美味しい 40%
普通 10%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
悪いの方に入れさせていただいた口コミも、ほとんど悪くは言っていませんね。(笑)
という事で、非常にスケール感溢れる複雑かつ優雅な品質にほとんどの方が感動、あるいはもう少しで感動というレベルの評価をしている事がわかりました。
そしてヴィンテージにもよりますが、やはりDRCのワインは若くしても評価は高いのですが、10年以上の熟成を経たワインの方がより飲み手を魅了し、感動的評価をされる方々が多い傾向がありますから、若きヴィンテージを手に入れた場合は、熟成または早めの抜栓やデキャンタージュを心得ておいた方が良さそうです。
以上です。
グラン・エシェゾーの特徴がなんとなく掴めましたでしょうか。
キーワードは野性的な獣香を含んだ複雑な風味ではないかと感じました。
獣の臭いと言うと、汗やアンモニア臭のようなものを思い浮かべてしまうかもしれませんが、DRCが生み出す獣っぽさはもっと洗練された獣っぽさです。
☝このような獣っぽさと言うよりは、
☝このような獣っぽさでしょうか?
よくわからなくなりそうです。。。
つまり、嫌な臭いではないということが言いたいだけなのでした。
DRCのワインが高額で取引されるのは、それだけの理由があるからであり、消費者も繰り返し求めてしまう力があるのでしょう。
あなたのワイン選びの一助になれれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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