ザ・ボージョレ・ヌーボー
ワインに興味が無い方も含めて、最も有名で一番飲まれているボージョレ・ヌーボーといえばコレ。
実際私もワインに全く興味が無かった頃も、シャブリやロマネ・コンティのように、くわしくは知らないけど名前は知っているという存在でした。
そんな「ボージョレの帝王」と称される生産者の紹介です。
私はボージョレ・ヌーボー(ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー)を生み、日本で購入可能な主要生産者を30程ピックアップし、その中で多くの日本の消費者の方々に実際飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみました。
そして、ジョルジュ・デュブッフはその知名度の高さに加え、売っているところも多いので、非常に多くの方に選ばれ口コミされていました。
正直その評価は際立つわけでもなく平均的な印象でした。
それでもこのワインを紹介しようと思ったのは、多くの方に選ばれそして平均的な評価を獲得しているこのワインは、ボージョレ・ヌーボーとはこのようなものだという、基準になるような品質であると考えたからです。
評判の良いワインだけピックアップする趣旨とはズレるのですが、平均値を知っておくのも有意義だと感じたわけです。
ちなみに評判が良いと感じたのは、
■ルー・デュモン
■ジャン・フォイヤール
■パカレ
■ドミニク・ローラン
■ドメーヌ・ド・ラ・マドンヌ
■ルロワ
以上の生産者達でした。
《ワイン名》 ジョルジュ・デュブッフ ボージョレ・ヌーヴォー
《価格》
【1500~2000円】
《ブドウ品種》ガメイ
《ボディ》 ライト~ミディアムボディ
《甘辛》 やや辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ボージョレ
《生産者》 ジョルジュ・デュブッフ
ここで簡単に歴史を解説します。
1933年に栽培農家に生まれたジョルジュ・デユブッフ氏は、早くに父を亡くし家業を手伝い、自家元詰めワインをレストランに配達するようになる。
その品質の高さは有名シェフの目にも止まるものであったとのこと。
優れたテイスティング能力を持つ彼は、ネゴシアン(自身で畑を持たず、ブドウや果汁、あるいはワインを仕入れて製造・販売するスタイル)として頭角を現し、1964年にはジョルジュ・デュブッフ社を設立し、年間3000万本を超す巨大生産者を作り上げる。
手軽なボージョレの可能性を引き出し、ワイン産業の活性化をもたらした功績は偉大で、多くのボージョレの生産者もその恩恵を受ける。
日本においては1996年からサントリーが輸入を開始し、そのプロモーション効果も絶大で、ピークの2004年には世界の半分以上に相当する104万ケースを日本に輸入するまでに成長。
2018年には息子のフランク氏に経営を譲り、2020年1月に惜しくも86歳で亡くなる。
その偉大な功績は、息子そして孫の世代によって継承される。
《味わいの特徴》
フレッシュ&フルーティ
これぞボージョレ・ヌーボー
このワインの特徴は、フレッシュでフルーティで若々しく、ほんのり甘いチャーミングさのある味わいで、これぞボージョレ・ヌーボーだと思わせる品質にあります。
様々な生産者がボージョレ・ヌーボーを生産しますが、その味わいは王道とも呼べる品質で、非常に多くの方に飲まれており、そして平均的な口コミ評価を得る味わいは、いろんなボージョレ・ヌーボーを比較する上でも、基準値となるワインではないかと考えます。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■マセラシオン・カルボニック■
《マセラシオン=醸し》
《カルボニック=炭素》
を意味し、
ブドウを潰さずそのままタンクに入れて発酵させ、密閉したタンクで発酵させる製法です。
密閉タンクで発酵する事で炭酸ガスが充満し圧力がかかり、通常の発酵よりも色や香りが多く抽出できる特徴があります。
この製法を行う事で、渋味や苦味が抑えられ、ガメイの持つ花やキャンディ・バナナのような香りと、フレッシュでフルーティーな味わいを生みます。
■生産者との信頼関係■
良いブドウを得るには良いブドウが必須。
ブドウ生産者との長い付き合いで強い信頼関係を構築し、ブドウのクオリティを上げるために手間の掛かる手摘み収穫などを依頼、実に400もの生産者から良質なワインを仕入れ、その特徴を理解した上でブレンド比率などを決めます。
そうすることで、雑味の無い綺麗なボージョレ・ヌーボーが生まれます。
【外観】
若々しい赤紫色
【香り】
イチゴジャムやラズベリーなどのフレッシュでチャーミングな香りに、ブルーベリーにバナナのようなフルーティな香りも広がりを見せます。
【味わい】
ほんのり甘味の感じられるチャーミングでフルーティな果実味があり、控えめなタンニンと適度な酸はスイスイ飲めるような軽快な飲み口を表現。
軽やかな余韻へと導かれます。
《飲む時の適正温度》
【8℃~14℃】
赤ワインですが、冷やして飲めばフレッシュ感が際立ち軽快な飲み口になりますし、温度を上げるほど穏やかな印象になり、甘味や豊かな風味の広がりある味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
飲み頃はブドウ収穫年から
【およそ0年~1年】
新酒のフレッシュさを表現したワインで、熟成には向かないワインです。
購入したら早めに楽しむことをおすすめします。
《適正グラス》
【小ぶりorふくらみのあるグラス】
温度が上がりにくいように設計された小ぶりのグラスで飲めば、軽快な飲み口が楽しめます。
少し温度を上げることで広がる風味を楽しみたい時は、香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、ふくらみのあるグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
カプレーゼ
目玉焼きハンバーグ
など、カジュアルで程良いコクのある味わいの料理に合わせる事で、フルーティなワインの味わいと料理が引き立て合い、軽快で楽しいマリアージュになるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
ボジョレーの帝王と呼ばれ、非常に目にする事も多いワインです。
ど真ん中のボジョレーとも言えるこのワインの味わいを知っておけば、他の生産者の味わいも理解しやすいでしょう。
また、かなり多くの人がこのワインを飲んでいますから、話題という意味でも、一度は口にしておいても良いのではないでしょうか。
《こんな場合には不適切!?》
このワインに限った事ではありませんが、ボージョレ・ヌーボーに奥深さや円熟味を求めてはいけません。
シンプルで飾りっけの無いフレッシュな味わいが魅力で、人間で言ったら10代の初々しさであり、社会経験も積み、落ち着いた魅力がある30代以上の円熟味を感じたい方は、上級ブルゴーニュやボルドー格付けワインなどを選択しましょう。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「やっぱりまずはコレ。そして悪くもなければ良くもない。2018。」
「よく見かけるので、なにげな~く買ってみた。そこそこ美味しいけど、前に飲んだ別の生産者の方がコスパ的にも良かったような気がする。」
「思いのほか軽い印象。ボージョレの帝王ですか・・。」
【良い口コミ】
「2019はスッキリ軽快。雑味もなく美味しいじゃないですか!!」
「好みではないボージョレ・ヌーボーですが、2019はとてもフルーティで気に入りました。」
「お馴染みの生産者。2019はフルーツのコンポートを連想させる香りと味わい。親しみやすく美味しいです。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 3%
美味しい 20%
普通 74%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
感激するほどではないですが、悪く評価するほどでもないといった印象で、チャーミングでフルーティな味わいは、とても平均的なボージョレ・ヌーボーらしい味わいといった傾向が感じられました。
複雑で奥深いワインほど口コミ内容も複雑で、長いものになる傾向が強いですが、非常にシンプルな口コミが多いこちからも、比較的シンプルな味わいである事が伝わってくるようでした。
とは言え、そのシンプルさや軽快さがボージョレ・ヌーボーの魅力でもありますし、そのようなボジョレーらしさ満載のこのワインは、いろんな生産者のボジョレーを味わう前に、基準となるボジョレーとしては最高の選択ではないかとも感じる結果となりました。
以上です。
ジョルジュ・デュブッフ。。。
発音しにくい。。。
プチパンチドランカーの私には難易度の高い発音です(苦笑)。
しかし手頃な価格ですから、飲む方の難易度は低いという事で(笑)。
ジョルジュ・デュブッフ氏亡き2020以降の成長も見守りたいと思います。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
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