「美味しい料理を引き立て、ガストロノミーに愛されるワインを造りたい」
女性当主のアニエス・パケ氏はそう語ります。
ガストロノミー?
ですね。
「ガストロノミー」=「食事・料理と、文化の関係を考察する事」
※ちなみにファミレスのガストはスペイン語の「gusto」=「おいしい」を意味するそうです。昔ガストの厨房バイトをしていたので気になりました。。。
さておき、オーセイ・デュレスのワインで多くの一般消費者の方に飲まれ(口コミされ)、評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみた結果、アニエス・パケのワインはとても高い満足度を獲得しており、白ワインも良かったのですが、特に赤ワインでその傾向が強かったので紹介することに決めました。
2001年創業の若き新世代女性生産者は、自然派志向の人であり、休みの日も自然の中をジョギングするベリーショートカットで化粧もしていないような、とってもナチュラルな女性といった感じの人です。
ややマイナーイメージの強いオーセイ・デュレスのワインという事で、価格が抑えられているところも魅力的ですが、品質の高さにも定評があり、フランスの有名レストランでもオンリストされるなど実績も積み重ね、ますます期待の高まる、そして掘り出し物感のあるコスパワインだと感じています。
《ワイン名》 アニエス・パケ オークセイ・デュレス ルージュ
《価格》
【4800~6500円】
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>オーセイ・デュレス
《生産者》 アニエス・パケ
《特徴》
透明感のあるピュアな風味
大地の恵みが感じられ
女性的なエレガンスを持つ
このワインの特徴は、透明感のある雑味の無いピュアな品質で、ただ綺麗なだけでなく、大地の恵みを感じさせるような奥深い出汁の効いたような旨味が心地よく感じられるところにあり、とてもしなやかで美しい女性的なエレガントさがあります。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■自然派農法■
農薬や化学肥料を極力使用しないリュット・レゾネ(実質は全く使用しないビオロジック)を実践することで、微生物の働きなどが加わった健全で成分豊かな土壌が育まれ、その豊かな成分を吸い上げた上質なブドウが実ります。
■ヴィエイユ・ヴィーニュ■
平均樹齢約40年の古木(ヴィエイユ・ヴィーニュ)は、土地の成分を吸い上げる能力が高い事などから、上質な果実を実らせることができます。
■マス・セレクション■
ブドウの樹を丁寧に観察し、優れた樹のみを育成する「マス・セレクション」を実践し、上質なブドウを得ています。
■控えめの樽■
ブドウの繊細な風味が感じられつつ、ほどよい樽の風味も楽しめるワインを生むために、樽のニュアンスが反映されやすい新樽の使用比率はあえて低く保たれています。
【外観】
透明感のある紫がかったルビーレッド
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます
【香り】
ラズベリーやストロベリーなどの赤い果実のチャーミングな香りに、スミレの華やかさに加え、ほのかな樽の風味も広がります。
熟成が進むほど果実香は円熟を感じさせる熟した果実の香りが広がり、紅茶に腐葉土といった熟成香も感じられます。
【味わい】
透明感のあるピュアな果実味はイチゴやラズベリーのような甘酸っぱさを感じさせるチャーミングさを持っており、タンニンは控えめでしなやか、出汁を連想せせるような旨味も心地よく広がりを見せ、エレガントな余韻があります。
熟成するほど果実味は落ち着きある円熟味が現れ、酸もワインに溶け込むことで穏やかな印象になり、じんわりと広がる旨味に紅茶のような落ち着いた熟成香も加わった余韻があります。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
エレガントで心地よい香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
少し冷やし気味にすれば酸味が際立ち軽快さのある飲み口になりますし、温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、甘味や風味の広がりある味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
飲み頃はブドウ収穫年から
【およそ3年~15年】
一般的傾向や飲んだ方の評価傾向から推測すると、これくらいではないかという個人的見解です。
良いヴィンテージのワインほど、飲み頃になるのが遅く長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど、比較的早くから楽しめ飲み頃の期間は短くなります。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下のようになっています。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
エレガントで心地よい香りと味わいを持った良質なワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
カプレーゼ
鴨鍋
など、ほどよい強さの味わいの料理に合わせる事で、エレガントなワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、心地よい風味と旨味の広がるマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
オーセイ・デュレスの赤ワインをお探しの方も少ないとは思われますが、この産地の赤ではアニエス・パケを必ず候補に入れるべきだと思います。
またオーセイ・デュレスに限らず、そこそこ上質なブルゴーニュ・ピノを手頃な価格で楽しむのであれば、ややマイナー産地ゆえコスパにも優れるこのワインは、選択肢の一つとして知っておいても良いのではないでしょうか。
様々な料理にも寄り添う力を持った、親しみやすい優れ者と呼べる品質です。
《こんな場合には不適切!?》
比較的繊細な味わいでパワフルなワインではありませんから、ニューワールド系の果実の凝縮感溢れるワインや、ボルドー格付けワインのような男性的な骨格あるワインが好みの方や、そのようなワインを飲んだ後にこのワインを口にすると、その女性的でエレガントな味わいを薄く感じてしまう事もありそうです。
男性的なワインにも女性的なワインにも違った魅力があり、それぞれの良さを理解し味わっていただければ幸いですが、飲み順などを意識することでも、より深く味わいを感じる事ができるでしょう。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「4年熟成の2011は上品な香りが漂い期待が膨らむ。しかし味わいは酸が強すぎてバランスが悪い。状態のせい?残念です。」
【良い口コミ】
「5年熟成の2012。柔らかに広がるベリー系果実の香りに、藁や紅茶のニュアンスもあります。味わいはチャーミング系な印象ですが、出汁の効いたような旨味と塩気を感じるミネラル感はただチャーミングなだけではない奥深さがあります。時間経過で現れる乳酸系のニュアンスも興味深く、ヨーグルトが連想されます。塩味に仕上げた肉料理との相性も抜群で、とても楽しい時間をくれた大満足の一本でした。」
「この価格帯のブルゴーニュ・ピノとしては賞賛に値する品質で、どんどん飲めてしまうような心地よいワイン。3年熟成の2015は、ほのかな甘味を残したチャーミングで軽快な飲み口で、バランス感覚にも優れ心地よい旨味も感じられる。」
「2年熟成の2014という事で若々しい酸が際立ち尖った印象もありましたが、時間が経つほどに果実感も広がりを見せ、角が少しづつ取れてバランスが整い、素敵なワインになりました。」
「アニエス・パケはマイナー産地のワインだけを生産しているが、実直に努力する姿に応援したくなる気持ちが高まるんだ。8年目の09はアセロラや小梅を連想させる香りで、味わいもジューシーというよりは美しい酸が感じられるエレガントスタイルで、果実感のある09の印象をいい意味で裏切っている。初めはやや酸が優勢気味だが、飲むほどにバランスは良くなっていったよ。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 7%
美味しい 43%
普通 47%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
一部で状態の悪さからか酸が立ちすぎてしまったワインがあった以外では、このワインを悪く評価する口コミは見当たりませんでした。
そもそも口コミ自体が少ない事も悪い評価をする方がほとんどいない原因にあるのかもしれませんが、そのエレガントさとチャーミングさ、そして出汁効いたような旨味に好感を持った方が多く、コスパという意味で非常に高い評価を与えた方もおられるといった印象が残りました。
そしてオーセイ・デュレスの赤ワインは非常に口コミの量が少なく、ほとんど消費者に選ばれていないことがわかりましたし(そもそも売っていないとも言えますが)、そんな中唯一多いとまではいかないまでも、皆様に選ばれ高い好感度を得ていたのがこのワインであったこともお伝えしておきます。
以上です。
なかなか試してみたくなるようなフードフレンドリーなワインではありませんか?
ここまで読み進めてくださる方は、きっと興味が既にあるのでしょうから是非体感していただきたいと思います。
「don’t Think feel」(考えるな、感じろ。)
ですから。
まだシャソルネイの余韻が残っているようです(笑)。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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