ブルゴーニュの人気生産者がラングドックで始めた新たな挑戦。
果実味いっぱいのラングドックらしさに、ブルゴーニュらしいエレガントさや複雑さが加わった味わいは、一般消費者の口コミ(vinica)評価も上々で、紹介すべきドメーヌだと感じました。
今回紹介する50/50(サンコント サンコント)は、いくつかあるラインナップの中でも最も手軽な価格で口コミ量も一番多い人気銘柄。50/50には夫婦2人で造ったこと、飲む時は誰かと共有してほしいという思いが込められています。
まずはこれを知り、口に合うようでしたら、格上で評判も高いレ フォンタニーなどを試してみるのも良いのではないかと感じました。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》 アンヌ グロ&ジャン ポール トロ ラ サンコント サンコント
《価格》
【2500円前後】
《ブドウ品種》
・カリニャン
・グルナッシュ
・サンソー
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>プロヴァンス地方
《生産者》 ドメーヌ アンヌ グロ &ジャン ポール トロ
ドメーヌ アンヌ グロ &ジャン ポール トロは、ブルゴーニュの名門を運営するアンヌ グロとジャン ポール トロが南仏の可能性を見出し、互いの経験値を融合させるべく始まったドメーヌ。2008年のファーストヴィンテージから評価の高い注目生産者です。
長年ブルゴーニュでワインを生産している両者は夫婦。アンヌ グロ女史とジャン ポール トロ氏は、研修先ののオーストラリアのワイナリーで出会いをきっかけに結婚し、それぞれが親から引き継いだワイナリー(ドメーヌ アンヌ グロとトロ ボー)に専念します。
2人は互いのワイン造りに関わる事はありませんでしたが、「2人の経験を融合せせたワインを自分達だけでゼロから造りたい」という思いは強くなっていきます。そんな思いを実現させるべく、何年もかけて見つけ出した土地が南仏のミネルヴォワだったというわけです。そんな2人の経験と恵まれた環境が融合したワインはリリース当初から評判が高く、ワイン評論家のジャンシス ロビンソン氏からは「まるでブルゴーニュを飲んでいるかのよう」と絶賛。ワイン アドヴォケイト誌では「南フランスでありながら、ここまでの果実味と張りが両立するエネルギッシュなワインはめったにない」と高評価されています。
《味わいの特徴》
豊潤さと軽快さを併せ持つ
ワンランク上のテーブルワイン
このワインの特徴は、温暖な産地らしい熟したブドウを思わせる陽気な果実味を持ちつつ、決して重すぎることのない軽快さも併せ持った味わいにあります。品格や威厳を感じさせるようなワインではありませんが、雑味無く複雑さも感じられる味わいは薄っぺらくもなく、ワンランク上のテーブルワインの佇まいがあります。
そのような品質になる理由をいくつか挙げます。
■南仏の気候条件■
温暖な気候と豊富な日照などでブドウが完熟し、豊潤な果実味を持ったワインが誕生します。
■リュット レゾネ■
農薬や化学肥料を極力使用しないリュット レゾネ(減農薬農法)を実施しています。
土地の酵母など微生物の働きも加わった健全な土壌からは、土地の個性を反映した成分豊かなブドウが育ち、ワインに奥深さや複雑性をもたらします。
■完全除梗■
ブドウの房の枝のような部分を梗(こう)と呼び、この部分も含めて醸造するかしないかは生産者によって様々。
このワインの場合、梗を100%除去する手法を選んでおり、ブドウの粒だけで造られるワインはピュアで透明感があり、スッと流れるようなエレガントな飲み口を表現します。
■ステンレスタンク熟成■
熟成は樽を使用しないため樽の風味は付きませんが、その分ブドウが持つ繊細なニュアンスも感じやすいワインに仕上がります。
【外観】
紫がかった深いルビーレッド
【香り】
ラズベリーやプラムの豊潤な果実香はほんのり甘い印象で、ブラックペッパーやハーブのニュアンスも加わり複雑さがあります。
【味わい】
ピュアで豊潤な果実味は少しの甘味を伴いミディアム~フルボディの飲み口で、角の取れた穏やかなタンニンは優しい印象。適度な酸が味わいを上品にまとめると、果実やスパイスの風味を残した余韻があります。
《飲む時の適正温度》
【12℃~18℃】
冷やし気味にすれば風味は弱まりますが引き締まった印象になり、エレガントさが際立つ飲み口になります。
温度を上げるほど穏やかな印象になり、果実味などの風味が広がる優雅な味わいが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から2~7年
※一般的傾向から推測
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
香りが取りやすいブルゴーニュグラスが最適で、空気に触れる面積が広く温度も上昇しやすいグラスですから、変化する風味も楽しみやすくなります。
比較的気軽なワインですから、高級グラスでなくとも100均などでも購入できる大きめのグラスで十分に楽しめるでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
ポークソテー
うなぎのかば焼き
豊潤かつエレガントでバランスの良さが魅力の赤ワインで、様々な肉料理や、コクのある味付けが施された料理に合わせられます。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
7年熟成の2010。素朴さが魅力で、丁寧に造られたことが伝わる味わい。美味しいワインではありますが、キレ味がもう少しあればもっと良いかも。。。酸やタンニンが穏やかなだけに少しだけ鈍さを感じました。
【良い口コミ】
ブルゴーニュの名手の2人は特徴的で面白いワイン造るよな~~♪♪赤果実と黒果実の豊潤な果実味にチョコレートやスパイスの風味。タンニンもしっかりめでバランスも良いですよ。
「南仏の太陽の様なワイン」というキャチコピーに惹かれて購入。黒いベリー主体の果実味はほんのり甘く、樽の風味も感じられ、酸やタンニンは穏やかな印象。思った通り明るく豊潤な味わいですが、重すぎないのでスイスイ飲めるエレガントさもありますよ。美味し♪
ジューシーな果実味に満ちた味わい!!でも濃いだけじゃなくて、しなやかで上品さも感じられるのは造り手の実力でしょう!!
丸みを帯びた飲み口で複雑さがあり、シャトーヌフを軽快にしたような感じ。ゆっくりと時間をかけることで変化するところも魅力で、カリニャン好きには特にすすめたい銘柄。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 3%
美味しい 33%
普通 64%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
感動的コメントはほとんど見られないワインですが、否定的コメントもほぼ無く、バランス良く適度な深さやエレガントさを感じさせる味わいに好感を持った方が多いワインでした。
ワインのクオリティーとしては同生産者のミネルヴォワの方が上質ですが、価格も考慮すればこちらの銘柄も選択肢に持っておきたい良酒だと感じる結果となりました。
ちなみに、このドメーヌで最も口コミ量が多いのがこの銘柄で、一番飲まれているようです。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
アンヌ グロ&ジャン ポール トロ ラ サンコント サンコントは
【価格】
2500円前後
【味】
温暖な産地らしい熟したブドウを思わせる陽気な果実味を持ちつつ、決して重すぎることのない軽快さも併せ持ち、適度な複雑さ奥深さも感じられる。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から2~7年
※一般的傾向から推測
【口コミ】
感動的コメントはほとんど見られないが、否定的コメントもほぼ無く、バランス良く適度な深さやエレガントさを感じさせる味わいに好感を持った方が多い。
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