「ブルゴーニュ・ピノの古酒は好きなんだけど、ちょっと高いしな~。」
「熟成ピノってどんな風味なんだろう。手頃に試せるワインはないかな。」
今回はそんな思いを持っておられる方に提案したいワインです。
サヴィニー・レ・ボーヌで多くの方に選ばれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみた結果、蔵出しによる熟成古酒が比較的手頃に楽しめるとして、高評価を得ている傾向がありましたので、紹介させていただこうと決めました。
あまり情報の多い生産者ではありませんでしたが、簡単にプロフィールを兼ねた歴史を簡単に紹介します。
【1875年】
アントワーヌ・ロデ氏によりメルキュレに設立されたメゾン。
アントワーヌ氏の死後、現在ワイン名になっている息子のアントナン・ロデが家族経営の事業を継承し、ワイン商としての事業拡大にも着手。
現在はロデ家はメゾンに係わってはいませんが、その意志は継承されています。
【受賞歴】
1990年以降、最高醸造責任者を務めるナディーヌ・ギュブラン氏はR.V.F(ルヴュー・ド・ヴァン・ド・フランス)誌で女性初のベスト・エノロジスト・オブ・ザ・イヤーを獲得。
※エノロジスト=ブドウ栽培・収穫・醸造に至るすべての工程を監督するスペシャリスト。
《ワイン名》 アントナン・ロデ サヴィニー・レ・ボーヌ
《価格》
【3000~4000円】
※99と06しか見当たらず、評判が良い99の方が価格も高い傾向です。
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>サヴィニー・レ・ボーヌ
《生産者》 アントナン・ロデ
《特徴》
複雑な風味と繊細な出汁感
円熟を感じる熟成ピノ
このワインの特徴は、熟成を経たことで現れる土や革製品にキノコにドライフラワーといった円熟を感じさせる複雑な風味を持ち、果実感は前面に出る事はない繊細さがあり、ブルゴーニュ・ピノ特有の出汁の効いたような旨味を心地よく感じられる点にあります。
いつもですとここで何故そのような味わいになるのかを解説しますが、情報の少なさから見つけ出すことができませんでした。
「don’t Think feel(考えるな、感じろ。)」
の精神で、ワインを感じてみてはいかがでしょうか(笑)。
【外観】
レンガ色を帯びた深いルビーレッド。
【香り】
果実香は比較的穏やかですが、ラズベリーやブラックベリーのニュアンスが感じられ、ドライフラワーに腐葉土にキノコや革製品、そして紅茶といった熟成香が心地よい広がりを見せます。
【味わい】
円熟を感じさせる果実味は落ち着きあるもので、主張しすぎる事なくほどよい甘味を持っており、出汁効いたような繊細な旨味が心地よく広がり、ほどよい酸とタンニンは味わいのバランスと構造を形成し、円熟を感じさせる複雑な風味のある余韻が続きます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
その複雑で心地よい香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
少し冷やし気味にすれば酸味が際立ちエレガントさのある飲み口になりますし、温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、甘味や複雑な風味の広がりある味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から10~20年
※一般的傾向や口コミから推測
※そもそも若いヴィンテージが販売されていないようでしたから、あえて10年目からとさせていただきました。
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1999年 4
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
円熟を感じさせる香りと、複雑な味わいを持った良質なワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
キノコのリゾット
鴨鍋
など、ほどよいコクのある味わいの料理に合わせる事で、繊細で複雑な風味の広がる上質なマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
冒頭で申し上げたように、比較的手頃に熟成ピノを楽しみたい方や、熟成ピノとはどのような品質なのか確かめたい場合は選択肢の一つにしても良いのではないかと思います。
若いピチピチ感よりも、熟年の落ち着きある雰囲気に魅力を感じる方は是非お試しください。
《こんな場合には不適切!?》
おすすめの場合の逆ですが、若いピチピチ感がお好きな方にはこのワインの円熟味が合わないかもしれません。
また、熟成古酒というのは多少品質リスクも潜んでいますから、絶対に外したくな場面には向かないと言えるでしょう。
とは言っても、熟成ワインには若いワインには無い魅力があるのも事実、出会ったワインの良い部分を感じていただければ幸いに思います。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「12年熟成の06は落ち着いた熟成香とタンニンを感じるね。悪いとは言えないが、やや枯れ始めているのかな?ピークアウト気味かもしれない。」
「良い熟成を経たようだけど、なんか線が細いわ・・ホッソ~!!悪い訳ではないが期待以下よ!!!12年熟成06は。」
「12年経ったんだな~っていう感じの香り。チャーミングでもなく上品でもなく悪くもない。そしてまた飲みたい気もしない06なのでした。」
【良い口コミ】
「今夜は鶏のササミに合いそうなちょっと薄めのワインをチョイス。12年熟成の06はオレンジを帯びた深めのルビーの色調。ベリーやチェリーなど赤い果実に、獣や腐葉土にキノコ類を連想させる熟成香が広がり、ブラックペッパーのアクセントもある。味わいは出汁の効いたような旨味が心地よく、果実感は薄目かな。酸はほどよく、タンニンは少しのざらつきがあるけど、素直においしいと感じる事ができる品質だ。」
「18年熟成の99という事でもちろん熟成を感じさせますが、若々しい果実感も持っており酸も美しい。心地よい出汁の効いたよう旨味としなやかなタンニンに、ほのかな苦味がアクセントにある良質ワインです。」
「18年の時を経た99は大人っぽい魅力を持ったワインですね。ロゼにも似た色合いは歴史を感じさせ、ラズベリーに土や甘草などの複雑な香りと心地よい飲み口。酸もタンニンもしっかり目で満足感のあるワインでした。」
「味わい深さはあるが繊細さもあり、これなら和食に合わせてもいいね。17年熟成の99だよ。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 10%
美味しい 40%
普通 47%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
どういう理由かは定かではありませんが、このワインは1999と2006しか販売されていませんでした。
そして、調べる限りでは06よりも99の方が高評価を得ている傾向が強いとわかりました。
印象としては、熟成古酒らしく酸やタンニンなどの成分が溶け合ったしなやかさがあり、スケールや奥深さは感じさせないまでも、心地よい出汁の効いたような味わいに好感を持った方が多めという傾向で、一部の方は非常に高い満足度を感じていました。
ただし若々しいフレッシュな果実感を求める方や、奥深い熟成古酒を求める方の期待には応えきれない部分もあると感じられたのも事実です。
あえて女性で例えるなら、気品溢れる優雅な熟女というよりは、一般家庭の品の良いお母さんという感じでしょうか。
というわけで、日頃の疲れた体をやさしい笑顔で癒してくれるお母さん的品質を求める方におすすめしたいワインです。
勝手に妄想し、そしてすすめてすみません(笑)。
以上です。
中々情報の少ない生産者の古酒でした。
途中で何回か申し上げておりますが、熟成古酒は保存状態などの理由などで多少品質が劣化しているリスクも潜んでいます。
万が一そのような場合があっても、この価格帯のワインでしたらダメージも比較的少なくて済みそうです。
ボクシングで言ったらジャブを一発貰う程度!?
かも知れません。
2020年現在の井上尚弥のジャブはダメですよ!!
はい、すみません。
元ボクサーの為、たまにボクシングで例えたくなります。。。
実際品質劣化しているというニュアンスの口コミはほとんどありませんでしたから、劣化リスクはかなり低いといえるでしょう。
ただ、井上尚弥の試合を見て興奮気味でしたので、ちょっと彼の例え話を言っておきたかっただけなんですね(笑)。
全く関係ない話に付き合わせてしまいました。
ともかく、試す価値のあるお手頃古酒である事は確かで、99の方がより優れるようです。
あなたのワイン選びの一助になれれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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