カオールにおける最高峰。
手軽な価格のワインが多いカオールにしては少し高額ではありますが、隣のボルドー地方などと比較すればかなりお値打ち。
長期熟成によって向上する味わい深さは、多くの方々の口コミ(vinica)からも伝わるもので、ワンランク上のカオールを選ぶのであればこの銘柄を外すべきではないと感じました。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》カオール シャトー ラグレゼット
《価格》
【4000円前後】
《ブドウ品種》
・マルベック
・メルロー
・タナ
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>南西地方>カオール
《生産者》 シャトー ラグレゼット
シャトー ラグレゼットは15世紀にカオールで設立された由緒ある生産者。
1980年にカルティエグループの元会長であるアラン ドミク ペラン氏が城(シャトー)を購入。豊富な資金力により修復され、国宝として認められるほど美しいシャトーになります。
また、シャトー モンペラなど様々なシャトーを躍進させるなど、世界屈指のワインコンサルタントとして知られるミッシェル ロラン氏を迎えることで品質も向上。
ワインアドフォケイトで95点獲得をはじめ、様々なワインコンクールでも受賞されるワインを生んでおり、カオールで最も上質で評価の高い生産者として知られています。
《味わいの特徴》
重厚感と上品さを両立した
カオールの最高峰
このワインの特徴は、凝縮された熟した果実味や豊富なタンニンに、樽の風味やスパイスの風味も広がるボリューム感ある味わいにありますが、雑味の無いピュアな味わいからは上品さも感じる事ができます。
また、そのような重厚感と洗練された雑味の無さは、長期熟成に耐える能力もあり、熟成によって現れる円熟した複雑さやエレガントさは、カオールにおける最高峰の佇まいがあります。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■カオールのテロワール■
カオールは熟した果実味や豊富な成分を持ったブドウを、健全な状態で収穫できるテロワール(ブドウを取り巻く自然環境)がある事で知られており、その例は以下の通りです。
- 少ない降水量
隣のボルドーと比較しても雨量が少ないため、ブドウは樹勢よりも果実に栄養を集めるようになり、その結果凝縮感のある果実を実らせます。 - オタン
カオールでは「オタン」と呼ばれる秋風が吹くことで知られており、この風がブドウ病害を防ぐ効果があるため、健全な状態で熟したブドウが収穫できます。 - 石灰質土壌
豊富なミネラルを持つなど、良質なワインを生む石灰質が主体の土壌です。
■マルベックの個性■
「黒ワイン」と呼ばれるほど深い色調で、丸みのある熟した果実味豊かで酸味は適度。豊富でシルキーなタンニンを持つのがマルベックの傾向で、熟成するほど複雑な円熟味やエレガントさが増してきます。
■有機農法■
ラグレゼットは、化学肥料や農薬を使用しない有機農法を実践。土地の酵母など様々な生物の営みが反映された土壌は健全で成分豊かなブドウを生み、その充実した成分はワインの味わいにも反映されます。
■豊富な資金力■
これはザックリとした理由になってしまいますが、ラグレゼットはカルティエグループの元会長がオーナーで非常に豊富な資金力がある生産者。充実した醸造設備を持つことや、世界屈指のコンサルタントのミッシェル ロラン氏を迎えることができ、そのことも優れたワインを生む要因になっていると言えます。
【外観】
紫がかった深いルビーレッド
熟成するほどレンガ色に近づいていきます
【香り】
ブラックベリーやプラムなど熟した黒系果実の香りに、樽に由来するバニラや葉巻のニュアンス。クローヴなど落ち着きあるスパイスの風味も加わり複雑さがあります。
【味わい】
ほんのり甘味を伴った果実味は凝縮感があり、シルキーなタンニンとまろやかな酸味と相まって丸みのある飲み口。心地よい旨味は味わいに幅を持たせており、果実や樽にスパイスの風味も加わった余韻へと導かれます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
少し低めの温度にすれば引き締まった印象になり、エレガントさが引き立つ飲み口が楽しめます。
温度を上げるほど果実感や複雑な風味が広がり、優雅な味わいが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から6~25年
※一般的傾向や口コミから推測
※長期熟成物の方が好評傾向
※ワインの飲み頃についての知識は、
第10回【品種・タイプ別 赤ワイン・白ワインの飲み頃】
でも確認できます。
《適正グラス》
【チューリップ型ボルドーグラス】
香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計されたボルドーグラスを選ぶことで、芳醇な香りと味わいをバランス良く感じやすくなります。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
うなぎのかば焼き
サーロインステーキ
など、コクの深い素材や味付けを施された料理との相性が良いです。
和牛やうなぎの上質な脂分は、ワインの豊富なタンニンによって洗い流される効果もありますし、ワインと料理が持つ旨味や複雑な風味が、互いを高め合う相乗効果も期待できます。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
アタックは優しい飲み口だけど、結構渋味がガツンときますね。8年熟成の09は3380円でしたが、私にはちょっと高いと感じました。
12年熟成の04は、マルベックらしい豊潤で力強い味わいで好みではあるのですが、あと一歩かな。後口のキレの良さが足りない気がしますね。
【良い口コミ】
6年熟成の08は抜栓直後から親しみやすい味わいで、甘さのある果実味が広がり、後口はスッキリしている。時間が経過するほどにシルキーな飲み口が増してきて、非常に心地よいワインだった。
黒ワインと言われるだけあって深い色調。グラスに注ぐと樽から来るチョコやバニラの香りが広がり、ひと回しすると熟した果実にスミレの香りも加わります。14年の熟成を経た08はタンニンもしなやかで、ボリューム感がありつつ上品で繊細なニュアンスも感じられます。カオールにしては高額ですが、良質な熟成酒を楽しめる意味では十分あり♪さらに5年後も楽しみな味わいでした。
1994は25年の熟成を感じさせるレンガ色を帯びた色調で、湧き立つ芳香性と絹のごときタンニンからは清潔感も感じられる。ボディがありながら繊細な余韻が心地よいエレガントなワイン。
美味し♪結婚式で飲んだワインの中ではナンバーワンです♥
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 7%
美味しい 47%
普通 43%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
10年以下の熟成物で少しタンニンの角があるというようなコメントもありましたが、否定的なコメントはとても少ない印象。
感動を覚えるような方も少なかったですが、マルベックらしい優しく濃厚な味わいに好感を持つ方が多く、特に15年以上の熟成感漂う味わいへの評価は特に良い傾向でした。
カオールのワインの中では頭1つ抜けた印象で、長期熟成に耐えるという意味ではコスパにも優れたワインだと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
カオール シャトー ラグレゼットは
【価格】
4000円前後
【味】
凝縮された熟した果実味や豊富なタンニンに、樽の風味やスパイスの風味も広がるボリューム感ある味わい。雑味の無いピュアな味わいからは上品さも感じる事ができる。
また、そのような重厚感と洗練された雑味の無さは、長期熟成に耐える能力もあり、熟成によって現れる円熟した複雑さやエレガントさは、カオールにおける最高峰の佇まいがある。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から6~25年
※一般的傾向や口コミから推測
※長期熟成物の方が好評傾向
【口コミ】
10年以下の熟成物で少しタンニンの角があるというようなコメントもあるが、否定的なコメントはとても少ない印象。
感動を覚える方も少ないが、マルベックらしい優しく濃厚な味わいに好感を持つ方が多く、特に15年以上の熟成感漂う味わいへの評価は特に良い傾向。
以上です。
手頃なカオールの最高峰でした。
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