「残念だったね、このワインのようにまた頑張ろうよ。君ならできる。」
そんなセリフもマッチするワインの紹介です。
サンテミリオンの格付け見直しで降格の苦渋を味わったものの、復活を成し遂げたシャトー。
1985年にシャトーの買収トラブルの理由で、サンテミリオンで2番目の格である第1特別級Bから3番目の格である特別級に格下げになってしまった経緯もありましたが、そこで奮起したオーナーのドミニク・ベコ。
栽培・醸造を根本的にやり直し、天才コンサルタントのミシェル・ロラン氏の力も借りて、1996年の格付け見直しで見事第1特別級Bに返り咲いたシャトーです。
ソムリエ試験に落ちるなどして、落ち込んでしまったあの方に復活を期待して贈るワインとしてもいいかもしれませんね。
あなたのワイン選びの一助になれば嬉しく思います。
《ワイン名》 シャトー ボー セジュール ベコ
2013
パーカー氏は91~93点の評価で、今も飲み頃で2029年まで飲み頃が続くと評価しています。
しかし2019年現在口コミでは硬いという方も多かったので、数年は熟成させた方が本領発揮が予想されます。
《価格》
【7000~18000円】
※1万前後が多い。
※ヴィンテージによって価格は変動します。
《ブドウ品種》
・メルロー主体
・カベルネフラン少し
・カベルネソーヴィニヨン微量
《ボディ》フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ボルドー>サンテミリオン
《生産者》シャトー・ボー・セジュール・ベコ
《特徴》
樽の効いた豊かな香り
豊かでコクのある味わいを持つ
安定感のあるシャトー
ボー・セジュール・ベコの味わいの特徴は、降格してからの取り組みで改善された栽培方法・醸造技術がよく反映されており、【2つ】挙げられます。
1、畑の収穫量を制限し成分の濃いワインを収穫し、ブドウ本来の風味がワインに表現されるよう清澄・濾過を行わない事で、力強くコクのある風味豊かなワインを生んでいる事。
2、樽の香りが反映されやすい新樽の使用率をほぼ100%にした事で、樽の芳ばしさやバニラのニュアンスが豊かに感じられるワインである事。
が挙げられます。
また、味わいの特徴とは少し違いますが、収穫年によって品質の波が少なく安定して良いワインを造る事でも定評があり、このような点も特徴と言えるでしょう。
【外観】
若いうちは深い赤紫色。
熟成が進むほどレンガ色に近づきます。
【香り】
若いうちは若々しいベリー系果実やカシスなどの果実香に、バラの華やかさや樽由来のバニラやスモーキーな香りも加わります。
熟成が進むほど果実香は落ち着き、熟して甘やかな印象。穏やかな樽香に土・革製品などの熟成香も加わり複雑さが感じられます。
【味わい】
若いうちはベリー系果実やチェリーなどの豊かな果実味が感じられ、存在感のあるものの丸みのあるタンニンは骨格を形成し、綺麗な酸味は味わいをまとめます。
熟成が進むほどタンニンや酸味などの成分がワインに溶け込み、なめらかなシルクのような質感になり、果実味もフレッシュは落ち着き円熟味のある甘やかさが現れ、バランスに優れた上品なワインに成長していきます。
※熟成度合いによっても香り・味わいは変わるため、平均的な風味の指標にしてもらえると良いでしょう。
《飲む時の適正温度》
【16℃~18℃】
その豊かで洗練された香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当り年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~30年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど飲み頃の期間は短くなりますが、比較的早くから楽しめます。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 1
1992年 1
1993年 3
1994年 3
1995年 4
1996年 3
1997年 3
1998年 5
1999年 3
2000年 5
2001年 4
2002年 3
2003年 3
2004年 3
2005年 5
2006年 3
2007年 3
2008年 5
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 2
2014年 4
2015年 5
2016年 5
2017年 4
【パーカーポイントが高かった年】
1998 91点
2000 93点
2005 94点
2006 91点
2009 94点
2010 93点
2011 90点
2012 93点
2013 92点
【パーカーポイントが低かった年】
1983以降のヴィンテージで上記以外はおおよそ80点代後半です。
ワイン全体から見れば低い点ではなく、よい品質という事ですが、飲み頃を過ぎている可能性も高いので注意が必要です。
※ワインの飲み頃についての知識は、
第10回【品種・タイプ別 赤ワイン・白ワインの飲み頃】
でも確認できます。
《適正グラス》
【チューリップ型ボルドーグラス】
香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計されたボルドーグラスを選ぶことで、バランス良く味わいを感じ取れる事でしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
和牛ステーキ
うなぎの蒲焼
など、上質な素材などを使用しコクのある味わいの料理と合わせる事で、豊かな風味の広がりを体感できるマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【良い口コミ】
「2013の初日は硬い。2日目デキャンタージュしてしっかり空気に触れさせたら開いてきた。3日目・4日目と時間が経過するほどに美味しいワインに変化していきました。」
「1990はまさに飲み頃。熟した果実の甘味を美しい酸味がまとめバランスの良さを感じる。舌触りはなめらかでコーヒーを思わせる香ばしさ。メルロー主体で28年は枯れてるかと思いましたが。いやいや今が正解です。」
「とても飲み心地の良いワインですね。バラの華やかな香りが印象的で2009はとても素敵だと感じました。」
【悪い口コミ】
「やさしい印象でタバコのニュアンス。普通ですね。1997は余韻も短く飲み頃を過ぎてしまっていたのだろう。」
「2013はまだまだ若すぎますよ。悪くは無いけど、どうしても開けるならかなり早めにデキャンタージュすべきかと。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 10%
美味しい 70%
普通 20%
良くない 0%
という結果でした。
このワインは、25年熟成くらいで高評価をしている方が多い印象で、普通だねという口コミが最もマイナス印象の口コミで、大半の方が感動するほどではないが美味しいワインという評価をしているように感じました。
ですから、評価が悪くない10年以上の熟成させたボー・セジュール・ベコを選べばちゃんと美味しいのでしょう。
以上です。
ボー・セジュール・ベコ。
挫折を経験したものの復活したワイン。
仕事などのチャレンジで思ったような結果が出なかった時、このワインを見て再びチャレンジしよう!!と、奮起できるかもしれませんね。
特に、ワインに興味があり挫折する可能性の高い方々は、毎年秋頃にたくさん出現します。
そうです、ソムリエあるいはワインエキスパート試験に落ちた方です。
私も一回経験しました(笑)
そのような方の努力を労い、また前に進んで欲しいと願いを込めてこのワインを贈っても、その方の次のチャレンジへの力になるかもしれませんね。
※しかしこのボー・セジュール・ベコの降格復活劇は知っていない方も多いでしょうから、解説付きで贈るべきですかね。
あきらめなければ失敗など存在しなく、それは学びと言いますから、勝利の美酒として飲むベコへの過程ともなり得るでしょう。
試験を受けるにせよ、そうでないにせよ、あなたのワインのある生活が豊かになる事を願っております。
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