ロマネ・コンティ。
あまりにも有名、そして偉大な世界最高のワイン。
ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ【Domaine de la Romanee-Conti】つまり【DRC】こそが、そんな世界最高のワインの生産者である事は、この記事に辿り着くような方には説明不要であったのかもしれません。
そんなDRCを運営するのはヤニック・シャン氏とオーベル・ド・ヴィレーヌ氏です。
ヤニック・ジャン氏はプリューレ・ロックの当主であり、個性的で人気のワインを生むとして以前にも紹介させていただきました。
そして今回のワインは、オーベル・ド・ヴィレーヌ氏の所有するドメーヌ・アー・エ・ペー・ド・ヴィレーヌが手掛けるブーズロンというわけです。
※因みにA&P・ド・ヴィレーヌの意味合いのドメーヌ名のAは、オーベルのAと妻の妻のパメラのPを表しています。
そして2015ヴィンテージ以降は、単にドメーヌ・ド・ヴィレーヌと改名されており、現在は甥にあたるピエール・ド・ブノワ氏がドメーヌを切り盛りしています。
そのような肩書はさておき、ブーズロンのワインの中で、日本の一般消費者の方々に多く飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみた結果、圧倒的支持を得ていると感じたのがやはりヴィレーヌでした。
ルイジャドやラモネも良かったのですが、価格も含めた総合的印象では、やはりヴィレーヌがブーズロンにおいてはトップではないかと感じましたし、実際ヴィレーヌもルイ・ジャドもテイスティングした事がある私にもそれは納得の結果でもありました。
話は少し変わりますが、ブルゴーニュの白と言えばシャルドネ。
しかし今回紹介する村名ブーズロンを名乗るには、アリゴテを使用しなければなりません。
ブルゴーニュ広域AOCであるブルゴーニュ・アリゴテに使用されるアリゴテ・ヴェール(緑のアリゴテ)と比べ、上質な果実を実らせるアリゴテ・ドレ(金のアリゴテ)のみが使用されるのがブーズロンであり、アリゴテとはボトルに書いてありませんから、一応心得ておいた方が良いでしょう。
それではここで簡単に【ドメーヌの歴史】です。
1971年、オベール・ド・ヴィレーヌ氏によって、コート・シャロネーズのブーズロン村にドメーヌ設立。
当時AOCに認定されていなかったブーズロンにおいて、素晴らしいアリゴテが育つことを見出し、実際上質なワインを誕生させたことで、ブーズロンをアリゴテ種唯一のAOCに押し上げたのがヴィレーヌ。
その功績はワイン界でも大きく評価され、他の生産者のブーズロンでは、その高貴な品質には及ばないと称えられるほど。
現在はヴィレーヌ氏の甥にあたるピエール・ド・ブノワ氏がドメーヌを切り盛りし、高いクオリティを維持しています。
以上です。
有力生産者だけに前置きが長くなってしまいました。。(苦笑)
《ワイン名》 ドメーヌA.et.Pド・ヴィレーヌ ブーズロン
《価格》
【2600~4000円】
《ブドウ品種》アリゴテ
《ボディ》 ライト~ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>コート・シャロネーズ>ブーズロン
《生産者》 ドメーヌ・アー・エ・ペー・ド・ヴィレーヌ
《特徴》
透明感とふくよかさ
気品を感じる
スレンダーな味わい
このワインの特徴は、雑味の無いピュアで透明感のある果実味は、決して薄っぺらくないふくよかさも感じられる品質にあり、ほどよい酸と仄かな塩気を持ったミネラル感は気品を感じさせる奥行きも持ち合わせ、全体的印象としては、リッチというよりはスレンダーな美しさを持っているところです。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■ドメーヌの哲学■
「全てはブドウとテロワールの個性をあるがままに表現する」
これがヴィレーヌの哲学であり、土地やアリゴテの持つ上品で気品ある味わいを最大限に引き出すことを重視しており、以下に紹介する取り組みは、全てこの哲学に基づいて行われるものです。
■ビオロジック農法■
化学肥料や農薬を使用しないことで微生物の働きが活発になり、健全で成分豊かな土壌が育ち、その豊かな成分を吸い上げブーズロンの土壌の特徴を反映した、ピュアなワインを生むブドウが得られます。
■収量制限■
ブドウの収穫量をあえて制限することで、残された果実に成分が集中し、凝縮感あるブドウが育ちます。
■控えめの樽■
樽のニュアンスの反映されやすい新樽の使用比率は0%。
繊細なブドウのニュアンスが感じられ、透明感溢れる美しい造りになっています。
【外観】
透明感のあるイエローゴールド。
熟成が進むほど濃いゴールドに変化していきます。
【香り】
フレッシュなグレープフルーツや青リンゴに白い花や蜂蜜など、爽やかさと華やかさに加え、フルーティでほんのり甘い香りが広がり、ナッツにミネラルを予感させる鉱物的なニュアンスも感じられます。
【味わい】
グレープフルーツなどの柑橘類を思わせる透明感に満ちた果実味は、ふくよかさも持ち合わせ、ほどよい酸や塩気を帯びた上品なミネラル感があり、主張しすぎることのないスレンダーな風味を伴った余韻は、細いものの長く続きます。
熟成が進むほど果実味は熟した果実のニュアンスが強まり、酸やミネラル分などの成分もワインに溶け合う事でなめらかさとコクが増し、円熟を感じる味わいが広がります。
《飲む時の適正温度》
【8℃~12℃】
冷やし気味にすれば酸味が際立ちエレガントな飲み口になります。
温度を上げるほどふくらみのある風味の広がりを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3~10年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ白のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2010年 5
2011年 4
2012年 3
2013年 4
2014年 5
2015年 3
2016年 4
2017年 5
《適正グラス》
【ふくらみのあるシャルドネグラス】
少し温度を上げることでも広がる風味を楽しめますから、香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、ふくらみのあるグラスを選ぶことをおすすめします。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
真鯛のカルパッチョ
アサリの白ワイン蒸し
など、比較的繊細な味わいから程良いコクを持つ料理に合わせることで、ワインと料理が互いを引き立て合う、美しいマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
スッキリサッパリしたワインが好きという方には、そんなカテゴリーの中でもワンランク上を行くこのワインをおすすめしたいと思います。
ただスッキリサッパリだけでは薄っぺらい品質になりますが、透明感のある純粋な果実味に、ほどよいコクや凛とした鉱物的なミネラルの感じられる味わいは、エレガントという表現がピッタリハマるような美しさがあります。
主張しすぎない味わいは、料理に寄り添い高め合うマリアージュにも長けており、さまざまな場面で活躍が期待できる優れ者と言えるでしょう。
《こんな場合には不適切!?》
ブルゴーニュらしい繊細さで、ほんのり蜜のニュアンスが感じられるエレガントなワインです。
カリフォルニアや南フランスのような熟度の高いブドウに由来する、リッチでグラマラスな味わいを好む方には、その繊細さを薄く感じる事もありそうです。
また、いくつかのワインを続けて楽しむ場合、そのようなリッチなワインの後にブーズロンを口にすれば、より薄く感じますから、順番を逆にしましょう。
飲み順を意識する事で、より全てのワインを楽しめます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「すっきりさっぱり。良く言えばエレガントだけど、普通かな。」
「普通に良いワインだと思いますが、フェラーリが造る軽トラですか(笑)。」
【良い口コミ】
「アリゴテはシャルドネの比べれると格下扱いされることが多いけど、このワインを飲むとその認識は揺らぐ。6年熟成の2013は旨味を伴った熟度の高い果実味に、穏やかな酸、そして緊張感を持たせる鉱物的なミネラル感。これはあと5年は耐えそうなポテンシャルを持っているでしょう。もちろん早飲みでも楽しめる品質で、生産者の実力が垣間見える優れたワインだと思います。」
「トロッとした質感だけど、出しゃばらないエレガントさがブルゴーニュらしくて好印象。5年熟成の2014はグレープフルーツのようなニュアンスがあり、ほんのり樽と少しの苦味がアクセントにある綺麗なワインです。」
「和食との相性も抜群ですね。和風出汁の効いたお野菜の甘味とも絶妙にマッチしていて、お値段も考慮すれば文句の付けようがないでしょう。」
「5年熟成の2013は蜜りんごの甘やかさに白い花の華やかさがあり、味わいも熟したリンゴのニュアンスが心地よく、ミネラル分も豊富で穏やかな酸がバランスを整える。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 0%
美味しい 40%
普通 60%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
数値だけを見るとそれほど大したことないように見えますが、手頃な価格帯のワインにしてはピュアで清潔感があり、奥行きも程良く感じられるバランスの良さがある傾向で、感動レベルのスケールこそありませんが、一定の高い評価を与えていると感じる口コミがほとんどでした。
私自身もこのワインの綺麗な造りには、感動しないまでも引っ掛かりの無い透明感と、程良いコクに好感を持った記憶がございますから、皆様も似たような評価をされるのにも納得ができました。
ただしその繊細さは、ニューワールド系のリッチな味わいを求める方にはおすすめしにくい事は確かで、スレンダーで程良いコクを持ったエレガンスを求める方に提案すべきワインだと感じました。
以上です。
ワインにおける透明感とは何か。
このワインにはそれを体感できる洗練度があると感じています。
世界中で様々な表情を見せるシャルドネのも素晴らしいですが、ブーズロンでしか味わえないアリゴテ・ドレもまた魅力的です。
そんな美しいブーズロンを体感したいのであれば、まずはヴィレーヌを選ぶべきでしょう。
ロマネ・コンティを手掛ける生産者は、やはり世界最高峰の造り手である事は世界中のワインラバーも認めるところでしょう。
ちょっと褒めすぎてしまいましたが、嘘ではない事は飲んでみればわかるという事ですかね。(笑)
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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