今回は低迷を乗り越え復活した生産者のワインの紹介です。
ボーヌのワインで多くの方に飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみた結果、非常に多くの方に選ばれ(口コミされ)感動レベルの評価をする方はいないにせよ、バランスの良い飲み口に好感を持つ方も多く、カジュアルすぎる事も上級すぎる事もないブルゴーニュ・ピノらしい品質は、選択肢の一つに持っておいても良いのではないかと感じました。
「ワインに必要なのはバランス。何かが突出して際立つ必要はなく、果実味・酸・タンニン・ミネラルなどの要素が絶妙なバランスで互いを支え合う事で味わいを表現するのであり、バランスが良いという事は決して個性がない事ではない。」
このような考え方を持つブシャール・ペール・エ・フィスの歴史を簡単にまとめましょう。
1731年創立。畑を次々に購入したり地下熟成庫を購入するなど規模をどんどん拡大していきます。
1970~80年代。経済的に危機が訪れ、品質にも悪影響が出る。
1995年、シャンパーニュの「アンリオ」のオーナーであるジョセフ・アンリオ氏が所有者になり、全ての工程に見直しを図り見事に復活を果たし、世界一影響力を持つワイン評価本であるワイン・アドヴォケイトで4つ星(最高5つ星)を獲得するトップ生産者に返り咲きます。
ザックリこのような経緯です。
生産量も多く酒屋や飲食店で見かける事も多い生産者で、品質も安定感があるところが魅力的です。
《ワイン名》 ブシャール・ペール・エ・フィス ボーヌ・デュ シャトー プルミエ・クリュ ルージュ
《価格》
【4500~6000円】
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ボーヌ>プルミエ・クリュ
《生産者》 ドメーヌ・ブシャール・ペール・エ・フィス
《特徴》
上品で落ち着きある風味
バランスに優れた
王道ブルゴーニュ・ピノ
このワインの特徴は、どの成分が主張しすぎる事のないバランス感覚に優れた品質にあり、ボーヌらしい柔らかで落ち着きを感じさせる風味も感じられる質感は、複雑で上品な王道ブルゴーニュ・ピノの佇まいがあります。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■優れたプルミエクリュ■
ブシャールはボーヌの中でも特に優れた区画のプルミエ・クリュをいくつも所有しており、それらのブドウをブレンドして造られるこのワインは、複雑でボーヌらしい穏やかさを持った品質になります。
■丁寧なブドウ管理■
区画ごとに気象台を設置し温度や湿度のデータを把握することで、病害リスクの高い区画を察知し、ピンポイントで処置を施せる仕組みを造る事で、健全なブドウを栽培できます。
そして、そのブドウは機械ではなく丁寧に手摘みで収穫され、さらに厳しい選果をクリアしたブドウだけがワインになります。
そうすることで雑味の無い上品なワインが生まれます。
■最新の醸造施設■
2005年に最新設備を完備した新醸造所を完成させており、区画ごとの個性を引き出せる設備や、果実や果汁にストレスをかけない環境が整えられているため、ボーヌらしさを感じ雑味の無い上品な味わいを生んでいます。
その他、栽培や醸造において様々な取り組みが行われますが、その根底には土地の個性を感じられるバランスの良い味わいを目指すという哲学があるわけです。
【外観】
透明感のあるルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
ラズベリーやチェリーなどの赤い果実の香り、ヴィンテージによってはブラックベリーやプラムのような黒い果実のニュアンスも感じられ、ハーブやスパイスに樽に由来するコーヒーなども加わった複雑な香りも心地よく広がります。
熟成させれば果実香は落ち着きあるニュアンスになり、土にキノコや紅茶のような熟成香も感じられます。
【味わい】
ほどよい強さの穏やかな果実味が心地よく広がり、しなやかなタンニンと美しい酸味はバランスよく構造を形成し、果実や樽にスパイスといった複雑な余韻が長く続きます。
熟成が進むほどタンニンや酸はさらにワインに溶け込むことでしやかな印象になり、円熟を感じさせる甘やかな果実味と旨味、熟成香も加わった複雑な風味を伴った余韻へと導いてくれます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
その豊かで心地よい香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
少し冷やし気味にすれば酸味が際立ち軽快さのある飲み口になりますし、温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、甘味や風味の広がりある味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から2~10年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
豊かな香りと、エレガントな味わいを持った良質なワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
バーニャカウダ
地鶏のグリル
など、ほどよくコクのある味わいの料理に合わせる事で、繊細で複雑なワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、心地よい風味の広がるマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
飲食店様限定ですが、ブシャールは安定感がある品質で比較的在庫も豊富で入手しやすいですから、お店のワインリストにもオンリストしやすいと思います。
品質も濃すぎず軽すぎず上質すぎる事もカジュアルすぎる事もなく、価格も高すぎず安過ぎないという事で、全てにおいて絶妙なバランス感覚を持ったワインと言えるでしょう。
取り合えず丁度良いブルゴーニュ・ピノらしいワインをお探しでしたら、候補に入れても良いのではないでしょうか。
《こんな場合には不適切!?》
ワインはお酒であり楽しむことが最も大切だと思いますから、不適切な場面というのは本当は存在しないのかもしれません。
その事を前提にあえて言えば、濃厚なワインが好みの方や、そのような濃いワインの後にこのワインを口にしたり、濃厚な味わいの料理に合わせたりすると、せっかくのエレガントでバランスの良い味わいをただの薄いワインと感じてしまう事もありそうです。
食べ合わせや飲み順を意識することで、さらにワインを楽しむことができるのではないでしょうか。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「ブルゴーニュ・ピノらしいエレガンスを感じ良質である事はわかるが、深いワインを飲んだ後だと薄く感じてしまうね。」
「4年目の2013はなんだか薄くて物足りない感じがしますね。」
【良い口コミ】
「6年熟成の2012はとっても美しいガーネットで見とれてしまいます。バラやイチゴの香りが心地よく、酸が立ちすぎる事もなくお手本ピノって感じで美味しかったです。」
「安心と安定を持ったブシャールだ。5年熟成の2013は赤い果実にバラにスパイスのニュアンス。価格も考えれば満足に値するコスパピノだよ。」
「4年熟成の2015は深いルビーで、バラに黒系果実に革のニュアンスも感じられます。若いワインですがタンニンはなめらかさがあり、バランスがいいですね。ヴィンテージが15という事で過去に飲んだブシャールの中では果実感は一番かな。美味しいです。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 0%
美味しい 54%
普通 43%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
驚くほど素晴らしいと感じる方は見当たりませんでしたが、カジュアルすぎる事もなく丁度いいブルゴーニュらしい品質に、ほどほどの満足感を持った方が多い印象で、好みによってはやや薄いと感じる方もおられました。
大手の生産者であり安心感もありますから、ブルゴーニュ・ピノを選ぶ場合、ほどよい価格と品質は選択肢にしておいても良いのではないかと感じました。
以上です。
バランスが大切というのはとても共感できます。
ドラえもんの場合も北斗の拳の場合もアンパンマンの場合も、それぞれのキャラ登場キャラが互いに個性を程よく出し合っておもしろいアニメが完成されます。
果実味はしずかちゃんであり、ユリアであり、アンパンマン。
タンニンはジャイアンであり、ラオウであり、バイキンマン。
酸味はスネ夫?、レイ?、ドキンちゃん?
よくわからなくなりました(笑)。
ともかくブシャールは、安定感があり土地の個性を感じられるバランス良いワインを生んでいるという結論でいかがでしょう。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
コメント