人間の味覚は、運動能力に差があるように、個人差があるのだろうか。
そんな事を思う加藤です。
さて、今回は白ワイン界のサラブレットとも言える生産者が手掛ける、比較的手頃なマコン・ヴィラージュの紹介です。
マコネ地区において、日本の一般消費者の方々に多く飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうと客観的視点から調べてみた結果、私がリサーチした主要な約40の生産者の中でも、ジャン・マルク・ボワイヨのマコン・ヴィラージュは、それほど多くの方には飲まれていませんでしたが、バランスの良く美しい品質への口コミ評価は高く、紹介すべきワインだと感じました。
因みに、
・ギュファン・エナン
・レ・ゼリティエール・デュ・コント・ラフォン
・ルフレーヴ
・コルディエ
・ドメーヌ・ド・ラ・ボングラン
以上の生産者も、この地区での評価は特に高い傾向です。
ここで簡単に歴史を解説します。
ジャン・マルク・ボワイヨは、1985年にジャン・マルク・ボワイヨ氏によって設立されたドメーヌ(栽培から醸造まで一貫してワインを生産するスタイル)で、現在はネゴシアン(ブドウあるいは果汁を仕入れて造るスタイル)も兼ねるポマールに本拠地を置く有力生産者です。
父はアンリ・ボワイヨ出身、母はエティエンヌ・ソゼ氏の一人娘という恵まれた血筋を持っており、父の元でワイン造りに励み、後にオリヴィエ・ルフレーヴの醸造長を務めた実績もあります。
現在は娘のリディと、息子のベンジャミンもドメーヌに参加し、赤・白共に生産しますが、特に白ワインで多くの飲み手を魅了しています。
以上が簡単な歴史です。
《ワイン名》 ジャン・マルク・ボワイヨ マコン・ヴィラージュ
《価格》
【3500円前後】
《ブドウ品種》シャルドネ
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>マコネ
《生産者》 ドメーヌ・ジャン・マルク・ボワイヨ
《味わいの特徴》
豊潤さと上品さを両立
親しみやすい
コスパブルゴーニュ
このワインの特徴は、豊潤な果実味と綺麗な酸に凛としたミネラル、心地よい旨味に程良い樽のニュアンスも加わった品質にあり、品格を感じさせるような奥深さや複雑性はそれほどありませんが、雑味の無い綺麗でバランスの良い味わいは、ワンランク上の親しみやすさがあります。
そしてそのような上質ワインが比較的手頃に楽しめる点も、このワインの嬉しい特徴とも言えるでしょう。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■マコンのテロワール■
「シャルドネの故郷」とも呼ばれるマコンのテロワール(ブドウを取り巻く自然環境)は、以下のような個性をワインにもたらします。
・マコンには豊富な日照量がある事から、果実はよく熟し、厚みのある果実味をワインにもたらし、適度な酸も持ち合わせています。
・石灰質土壌に由来する、鉱物的なミネラル感を持ったワインが生まれます。
■ビオロジック農法■
化学肥料や農薬を使用しないことで微生物の働きが活発になり、健全で成分豊かな土壌が育ち、その豊かな成分を吸い上げ、ミネラルなどの成分を多く含んだマコンの土壌の特徴を反映した、ピュアなワインを生むブドウが得られます。
■高密植栽培■
ブドウの樹をあえて高密度に植え、さらに雑草もそのままにすることで、ブドウの根は栄養を求め地中深くまで根を伸ばし成分を吸い上げます。
そうすることで果実に成分が凝縮されるわけです。
■収量制限■
ブドウの収穫量をあえて制限することで、残された果実に成分が集中し、凝縮感溢れるブドウが育ちます。
■ほどよい樽感■
樽のニュアンスが反映しやすい新樽の使用比率は25~30%。ブドウの繊細なニュアンスも感じられつつ、樽の優しいニュアンスも感じられるワインを生んでいます。
【外観】
輝くレモンーゴールド
【香り】
レモンやグレープフルーツの柑橘系の爽やかさに白い花の華やかさ、リンゴやピーチにパイナップルなどのフルーティな果実香も感じられ、ほんのりハチミツや樽のニュアンスも心地よく広がります。
【味わい】
ふくらみのある果実味が豊かに広がり、美しい酸は味わいをまとめバランスを整えます。
塩っぽい旨味や鉱物的なニュアンスを感じさせるミネラル感は、上品なブルゴーニュらしい味わいを表現しつつ、ほのかな蜜のニュアンスにやさしいバニラの風味を伴った余韻へと導いてくれます。
《飲む時の適正温度》
【8℃~12℃】
冷やし気味にすれば酸が際立ち軽快さが増し、エレガントさのある飲み口になります。
温度を上げるほど果実感が増し、ボリューム感ある風味の広がりを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
飲み頃はブドウ収穫年から
【およそ2年~8年】
一般的傾向や飲んだ方の評価傾向から推測すると、これくらいではないかという個人的見解です。
参考のためヴィンテージチャートも載せておきます。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2012年 3
2013年 4
2014年 5
2015年 3
2016年 4
2017年 5
《適正グラス》
【ふくらみのあるシャルドネグラス】
少し温度を上げることで広がる風味を楽しめますから、香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、ふくらみのあるグラスを選ぶことをおすすめします。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
地鶏のタタキをレモンと塩で
クリーム系パスタ
など、ほどよくコクのある料理などと合わせることで、豊かな風味とコクの広がりあるマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
ワンランク上のマコン・ヴィラージをお探しでしたおすすめします。
マコンのフルーティでミネラリーな味わいと、ジャン・マルク・ボワイヨの綺麗でバランスの良い造りが溶け合った味わいは、上品であり厚みもあります。
特別感ある味わいではありませんが、ちょっとだけリッチな気分が味わえる良質ワインです。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
このワインの悪い点を指摘する具体的口コミは見当たりませんでした。
【良い口コミ】
「豚肉の料理にもバッチリ相性の良い厚みのある味わい。4年熟成の2015は時間経過でフルーティさが増してきてとっても美味しい。サッパリというよりも、こういった濃い目の味わいの方が好きだな~。」
「3年熟成の2014は酸好きに勧めたい。キレの良い柑橘系の酸が豊富で、凛としたミネラルもちゃんと感じられる。複雑性はそんなに無いが、バランスの良い仕上がりで中々よくできている。」
「3年熟成の2015は、パイナップルやマンゴーのようなトロピカルな香りに、白い花や杏仁にナッツもあります。ほどよい粘性を持った質感で、フルーティな果実味を穏やかな酸が包み、少しの苦味がアクセントになります。鉱物的なミネラル感も豊富で、非常にコスパも良いと思います。」
「白ワインの複雑さ、なんとも表現しにくい白ワインの魅力を教えてくれたワイン。やっぱり美味しい~ですね~。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 4%
美味しい 60%
普通 36%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
市場に出回る量の少なさもあってか、口コミの量こそ少ないワインでしたが、マコンらしい果実感と程良いコク、そしてバランス感覚に優れた造りに対する評価は高く、マイナスイメージを与えるコメントは見あたりませんでした。
さすが白ワインの優良生産者として名高いジャン・マルク・ボワイヨは、良質な白ワインに仕上げてくるなと感じる結果となりました。
以上です。
ジャン・マルク・ボワイヨの白ワインは確かにハズレが無く、お客様にも安心して提供できる品質の高さがあると個人的にも感じています。
ニューワールド系やイタリアにスペインや日本のワインなど、つまりブルゴーニュ以外の産地では表現できない味わいがこのワインにはありますから、ブルゴーニュらしさを体感してみたい方にも提案したいワインです。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
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