ラングドック ルーション地方を代表する生産者。
ジェラール ベルトランはワイン誌や評論家はもちろん、消費者の口コミ(vinica)を客観的に見ても代表であることはよくわかりました。
そんなベルトランは非常にラインナップが多いですが、今回は比較的カジュアルな価格帯の「レゼルヴ スぺシアルシリーズ」から、特に口コミ満足度が高いと感じたヴィオニエをピックアップします。
ソーヴィニヨンブラン、甲州、ミュスカデ、といったスッキリサッパリ系のワインを期待される方は読む必要が無いと思いますが、南仏らしいボリューム感のある果実味、ヴィオニエらしい華やかなニュアンスを期待される方には、読む価値があると言えます。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》 ジェラール ベルトラン レゼルヴ スペシアル ヴィオニエ
《価格》
【1500~2000円】
《ブドウ品種》ヴィオニエ
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 やや辛口
《産地》 フランス>ラングドック ルーション地方
《生産者》 ジェラール ベルトラン
ジェラール ベルトランは、ラグビーのフランス代表だったジェラール ベルトラン氏が、父ジョルジュの畑を引き継ぎ「ジェラール ベルトラン社」を1986年に設立したのが始まり。2020年現在14のドメーヌを所有する大規模生産者です。
自然派ワインのリーダー的存在でもあり、品質の高さでも定評のあるジェラール ベルトランは、数々のコンクールやワイン誌から高評価を獲得。
また、エールフランスをはじめとする世界中のエアラインや、有名レストランで採用される実績があり、名実ともにラングドック ルーション地方を代表する生産者になりました。
《味わいの特徴》
フローラルでリッチ
ヴィオニエらしさが楽しめる
コスパワイン
このワインの特徴は、白い花や南国フルーツなどのフルーティーな風味が広がるリッチさにあり、温暖なラングドック ルーション地方らしさ、そしてヴィオニエらしさが存分に感じられるところです。
そして、そのような風味豊かなワインが手軽な価格である「コスパの良さ」も、嬉しい特徴と言えるでしょう。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■テロワール■
降水量の少なさは果実の凝縮感を高め、温暖な気候と豊富な日照はブドウの熟度を高め果実味を豊かにします。
このようなテロワール(ブドウを取り巻く自然環境)が土台にある事で、ボリューム感のあるワインが誕生します。
■ビオディナミ農法■
自然派ワインの生産者で知られるベルトランは、2020年現在ビオディナミ農法への転換を進行中。
農薬や化学肥料を使用しないことはもちろん、天体の動きに合わせて農作業を行う事で、天然酵母などの微生物の働きも加わった健全で成分豊かな土壌が育まれます。その豊かな成分を吸収したブドウは、ピュアで充実した味わいを生む要因になるというわけです。
■完熟ブドウ■
恵まれたテロワールの下で育ったブドウは、糖度を高めた完熟の状態になってから収穫されます。
完熟に由来するボリューム感のある果実味はもちろん、アルコール発酵はブドウの糖分がアルコールに変化するため、高め(13%)のアルコール度数を持った飲み応えのあるワインになります。
■収量制限■
収穫量をあえて制限することで、残されたブドウに成分が集まり、凝縮感のある味わいを持ったワインを生みます。
■マロラクティック発酵をしない■
アルコール発酵を終えたワインは、次にリンゴ酸(爽やかな酸)を乳酸(まろやかな酸)に変化させるマロラクティック発酵を行う場合がありますが、このワインの場合ピュアでフレッシュな味わいを残すために行いません。
【外観】
明るいレモンイエロー
【香り】
フローラルな白い花の香りが広がり、ラフランス、白桃、グレープフルーツ、マンゴーなどのフルーティーな香りも広がりを見せます。
【味わい】
少しの粘性のあるしなやかな飲み口で、厚みのある果実味は少しの甘味を伴いフルーティーな印象。ピュアな酸味がバランスを整えると、華やかでフルーティーな風味を残した余韻があります。
《飲む時の適正温度》
【6℃~12℃】
よく冷やせば酸が際立ち引き締まった印象になるので、軽快な飲み口が楽しめます。
温度を上げるほど酸は穏やかになり、果実の風味などが広がるリッチな味わいが楽しめます。
冷やし気味から徐々に温度を上げていく飲み方も楽しいですね。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から1年~5年
若いほど生き生きとしたフレッシュな味わい、数年の熟成で円熟した落ち着きある味わいに変化します。
《適正グラス》
【小ぶりのグラス】
【ふくらみのあるシャルドネグラス】
温度も上がりにくい小ぶりのグラスを選択すれば、軽快な飲み口が楽しめます。
香りが取りやすく、温度も上がりやすいシャルドネグラスを選択すれば、風味豊かでボリューム感のある味わいを楽しめるでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
グラタン各種
エビと野菜の中華炒め
など、華やかでリッチな味わい持ったこのワインには、オイル、バター、チーズ、生クリームなどを使用したコクのある料理との相性が良いでしょう。
強めの芳香性と、ほんのり甘味を持ったヴィオニエは、強めの味付けが施された中華料理やエスニックなどとの相性も良いことでも知られます。
しかし、刺身や繊細な出汁の味わいを楽しむような料理には、ヴィオニエの個性が料理の風味を感じにくくさせるため、合わせにくいとも言えます。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
とてもフルーティーかつ華やかなワイン。クリームチーズに柑橘類を組み合わせた料理なんかに合いそうです。魚介類との相性が良いワインと書いてあるけど、刺身にはワインが強すぎて合わないでしょうね。
1年熟成って事で若すぎたのかな?思いのほか香り控えめで、酸がキレて細身な印象?
【良い口コミ】
シャルドネを思わせるような香りなんだけど、口にしてみるとヴィオニエである事がすぐにわかります。独特のマッタリとした味わいが心地よく、安旨ってこういうワインの事を言うのでしょうね。
レモンイエローの外観とトロミのある質感。最初に白い花の香りが来るところでヴィオニエを強く感じ、ラフランスやマンゴーなどの果実香が追いかけてくる。膨らみのある果実味をキレイな酸がまとめる味わいで、なかなか飲み応えのある印象。料理に合わせるというよりも、ワイン単体やコクのあるつまみ系が合いそうな感じですね。可愛い顔して結構筋肉質な女子大生?そんな感じ。(笑)
率直に旨いな~って感じのワイン!!コスパ最高!!
ほんのり甘味があるふくよかな果実味はピリ辛の中華にもよく合う。なかなか手頃だし、こんなワインを選択に入れておくのも悪くない。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 0%
美味しい 20%
普通 77%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
口コミこそ多くはありませんが、ヴィオニエらしいトロピカルなニュアンスがしっかりと感じられる厚みのある味わいといった印象。奥深さはさほど無いですが、コスパでは非常に優れると感じる方も少なくないワインでした。
スッキリ軽快なワインを飲みたい時はすすめられませんが、少しの甘味を持ったリッチな白ワインを飲みたい方にすすめたいワインだと感じました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ジェラール ベルトラン レゼルヴ スペシアル ヴィオニエは
【価格】
1500~2000円
【味】
白い花や南国フルーツなどのフルーティーな風味が広がるリッチな味わいで、温暖なラングドック ルーション地方らしさ、そしてヴィオニエらしさが存分に感じられる。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から1年~5年
若いほど生き生きとしたフレッシュな味わい、数年の熟成で円熟した落ち着きある味わいに変化する。
【口コミ】
ヴィオニエらしいトロピカルなニュアンスがしっかりと感じられる厚みのある味わいといった印象。奥深さはさほど無いですが、コスパでは非常に優れると感じる方も少なくないワイン。
以上です。
いかがでしたでしょうか。
とても南仏らしい厚みのある果実味と、ヴィオニエらしい華やかさが気軽に楽しめるワインです。
シャルドネともソーヴィニヨンブランとも違うヴィオニエ。個人的には20代でスカートしかはかない女性らしさのある品種といったイメージです。もう少しゴージャスにするとゲヴェルツトラミネールって感じですかね。
あなたはどう感じますでしょうか。
読んでいただき、ありがとうございました。
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