アブルッツォ州の格付け最高位であるDOCGモンテプルチアーノダブルッツォ コッリーネ テラマーネを代表する銘柄。
DOCGに認定されるだけの恵まれた環境(テロワール)で育ったブドウを使用しており、平均的なモンテプルチアーノには無い味わい深さと上品さを持ち合わせています。
私自身もその出来栄えに好感を持った一人ですが、多くの口コミからもハイレベルなワインであることが伝わってきました。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》グラン サッソ モンテプルチャーノ ダブルッツオ アルタ クオタ
《価格》
【2800前後】
《ブドウ品種》モンテプルチャーノ
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 やや辛口
《産地》 イタリア>アブルッツォ州
《生産者》 グラン サッソ
グラン サッソはファンティーニグループが手掛けるアブルッツォ州のワイナリー。「グランサッソ」とはアブルッツォ州にあるアペニン山脈の中でも最も高い山の名で、イタリア語で”巨大な岩”の意味があります。
アブルッツォ州の中でも特に優れたテロワール(ブドウを取り巻く自然環境)を持つ地区に畑を所有しており、そのコスパの良さでも注目を集める生産者です。 今回紹介している「アルタ クオタ」は「標高 が高い」を意味しており、グラン サッソにおけるトップキュベ。
イタリア格付け最高位であるDOCGに分類されるモンテプルチアーノダブルッツォ コッリーネ テラマーネで、DOCモンテプルチアーノ ダブルッツォの格上にあたる銘柄です。
《味わいの特徴》
上級モンテプルチアーノ
充実しバランス感覚に優れる
このワインの特徴は、フルーティーで親しみやすい平均的なモンテプルチアーノとは一線を画す充実感ある味わい深さと、果実味・酸味・タンニン・旨味・樽感などの全体のバランスの良さにあります。
【外観】
中心部が黒に近い濃いルビーレッド
【香り】
プラム、カシス、ブラックチェリーなどの円熟した黒い果実香を主体に、ドライフルーツや樽に由来するチョコレートやコーヒーのニュアンスも加わり複雑性を高めています。
【味わい】
凝縮感のある果実味は少しの甘味とコクを伴ったしなやかな質感で、ミディアム~フルボディーの飲み口。適度な酸味は味わいを上品にまとめ、豊富でシルキーなタンニンは力強くも優しく味わいを表現しており、心地よい果実味と樽の風味を残した余韻があります。
それでは、そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
このワインに使用されるモンテプルチアーノ種は、濃く深い色合いで果実味豊かで程よい酸とタンニンがあるワインを生む傾向です。
■優れた栽培環境■
このワインに使用されるブドウは、DOCGに認定されたアブルッツォ州の中でも特に優れた地区の中腹にあります。
温暖な気候はブドウの熟度を高めますが、夜の冷え込みで上品な酸も持ち合わせるようになり、昼夜の寒暖差は香り高いワインを生む要因にもなっています。
■収量制限■
ブドウの房を間引き(グリーンハーベスト)するなどで、あえて収穫量を抑えます。
これは良質なブドウだけを選別し、さらに残されたブドウに成分を集中させる狙いがあります。
■心地よい樽感■
醸造を終えたワインは小樽(バリック)で18ヶ月間熟成後、ボトルで半年以上熟成されてから出荷されます。
大樽と比較すると小樽は樽に接触する面積が広く樽感が強めに反映されます。
そのためバニラやチョコレートのような樽のニュアンスが強めに反映されますが、ブドウのパワーも強いためバランスが保たれています。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
やや低めの14℃程度にすれば酸が際立ち引き締まった印象。上品な飲み口が楽しめます。
温度を上げるほど酸は穏やかな印象になり、香り、甘味、旨味が広がる味わいが楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
ブドウ収穫年から5~15年
※一般的傾向や口コミから推測
《適正グラス》
【ボルドーグラス】
香りが取りやすく温度も上がりやすいボルドーグラスが良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
豚肉のハーブグリル
うなぎの蒲焼
など、適度にコクのある素材や強めの味付けをされた料理によく合い、互いの味わいを引き立て合うマリアージュを楽しめるでしょう。
ワイン単体でも楽しめる充実感がありますが、ブルーチーズなどともよく合い、チーズの強めの塩分がワインの旨味や甘味を引き立てます。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【ネガティブな口コミ】
このワインに対する具体的ネガティブなコメントは見当たりませんでした。
【良い口コミ】
暑い季節に吹き抜ける涼やかな風のようなワイン。ブラックチェリーやカシスなどの黒い果実感満載の豊潤な芳香に、樽のバニラやチョコの香りも少し加わる。味わいは丸みを帯びた果実味と酸味が広がるミディアムボディーで、後口に残るのは綺麗な酸。去り際のエレガントさが涼やかな印象で、スイスイ飲めるような美味しさなんです。バキュバン(ワイン保存器具)をしてからの4日目は酸は穏やかな印象になり、その分タンニンが強くなった印象。ボルドーワインを思わせるニュアンスも出てきてレベルアップしたように感じられました!!
8年熟成の2010は花やバナナの皮に、バターやビターチョコを思わせる芳香。充実感はあるが熟成によってこなれた酸とタンニンは滑らかで、脇役に徹するような仄かな甘味も好印象。とても素晴らしいと感じました!!
豊富なタンニンがあり力強くドライなフルボディだが、飲み進めるほどに心地よい甘味も感じられるようになる。
6年熟成の2011。充実した成分があり、強めの酸ではあるけど凝縮感ある果実味があるので丁度良く、力強いタンニンもあって男っぽい味わいを表現している。しかし後半にかけて広がる円熟したドライフルーツ系の甘味と、ミルクチョコレートのような優しいニュアンスが広がるんですね。いろいろ試したけど、DOCGモンテプルチアーノ ダブルッツォ コッリーネ テラマーネを手掛ける生産者の中でも最も優れると感じるのがグランサッソですね。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 7%
美味しい 60%
普通 33%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
安定して高い満足感を与えている印象。
感動的評価こそ稀ですが、ネガティブなコメントも見当たらず、充実感とバランス感覚に優れた味わいに好感を持った方が多いワインでした。
私自身もその味わいに価格以上の美味しさを感じたので、皆様のコメントにも共感できる部分は多かったです。
個人的には以前の銀河を連想させるエチケットが好きだったのですが。。。
とは言え、ワインランク上のモンテプルチアーノとして、マシャレッリやマラミエーロと並んで押さえておくべき銘柄と感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
グラン サッソ モンテプルチャーノ ダブルッツオ アルタ クオタは
【価格】
2800前後
【味】
凝縮感のある果実味は少しの甘味とコクを伴ったしなやかな質感で、ミディアム~フルボディーの飲み口。適度な酸味は味わいを上品にまとめ、豊富でシルキーなタンニンは力強くも優しく味わいを表現しており、心地よい果実味と樽の風味を残した余韻がある。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~15年
※一般的傾向や口コミから推測
【口コミ】
安定して高い満足感を与えている。
感動的評価こそ稀だがネガティブなコメントも見当たらず、充実感とバランス感覚に優れた味わいへの好感を持った方が最も多い。
以上です。
ファンティーニグループが手掛ける優れたモンテプルチアーノでした。
同じくファンティーニが手掛け、同州で同品種で造られ圧倒的に選ばれているのがカサ―レヴェッキオ。
非常に親しみやすくわかりやすい美味しさで大人気ですが、グランサッソはもう少し複雑で大人っぽい魅力があると個人的には感じています。
そんな違いを感じてみるのも楽しそうですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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