マルチといえば・・
マルチ商法、マルチタスク、マルチバース、マルチーズ、マルチの女?
そうです、
シャンパーニュを深く愛する方であればマルチヴィンテージが思い浮かんだ方も少なくないでしょう。
ノンヴィンテージとも違った秀逸なマルチヴィンテージワインは、本物を理解するワインラバーの皆様も納得させる品質なのです。
さて、非常に多くの生産者が手掛けるシャンパーニュにおいて、日本の一般消費者の方々に多く選ばれ(口コミされ)、そして口コミ評価の高い銘柄はどれか。
私はそのような好奇心の元、信頼できる口コミが見られるVinicaを利用してリサーチを行いました。
その結果日本で購入可能な約100の生産者の中でも、特に多くの方を満足させていると感じたのは25の生産者達。
今回紹介するローラン ペリエ グラン シエクルは、口コミの量こそ少なめではありましたが、分析力に優れた多くの熟練ワインラバーの皆様の高い満足感を獲得しており、その品質への信頼はかなり高い事が伝わるものでした。
価格も高額ですが、それでも納得あるいは上回る品質は、選択肢の幅を広げてくれるアイテムであると感じています。
それでは始めましょう。
《ワイン名》 ローラン ペリエ グラン シエクル
《価格》
【14000~20000円】
《ブドウ品種》
・シャルドネ
・ピノ・ノワール
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>シャンパーニュ地方
《生産者》 ローラン・ペリエ
【ここで簡単にプロフィール】
ローラン・ペリエ社は1812年創業のシャンパーニュメーカー。
フレッシュ・エレガンス・バランスを重要視する生産者であり、その優れた品質はロバート・パーカー氏の厳正な評価に基づくワイン誌「ワイン・バイヤーズガイド」においても最高5ツ星を獲得。
英国王室との親交も深く、英国王室御用達の名門としても知られている。
《味わいの特徴》
全ての要素が高次元
それらが互いに支え合う
優れたバランス感覚
このワインの特徴は、果実や花の華やかな香りに芳ばしく上品な蜜の香りなどの複雑な芳香性、果実味・酸味・ミネラル感・旨味などの全ての要素が洗練されており上質である事。そしてそれらの成分が主張しすぎる事なく支え合うように共存することで、複雑で優雅そしてバランスに秀でた味わいを表現しています。
そのような優れた品質を生む要因には、ローラン・ペリエが使用するマルチヴィンテージという言葉にヒントが隠されています。
■マルチヴィンテージについて■
このワインはローラン・ペリエが威信(プレスティージュ)をかけて手掛けるプレスティージュシャンパーニュです。
通常プレスティージュといえば、モエ・シャンドン社のドンペリやルイ・ロデレールのクリスタルのように単一年の優れたブドウのみを使用して造られます。
しかし1950年初めに、究極のプレスティージュとは何かを模索する中で、シャンパーニュとは複数の品種そしてヴィンテージの異なる個性が溶け合う事で複雑かつバランスの良い品質になるという結論に至り、1957年に「ブレンドの芸術作品」として誕生したのがこのグラン・シエクルというわけです。
通常複数年のブドウを使用したものはノンヴィンテージと呼びますが、シャンパーニュにおける最上格である様々な区画のグランクリュ、そして優れた年のブドウだけを使用したこのグラン・シエクルに限って「マルチ・ヴィンテージ」と呼んでいるのです。
【外観】
輝くレモンゴールド。
熟成させるほど濃いゴールドに変化していきます。
キメ細かで豊かな泡立ち。
【香り】
柑橘類や洋ナシの果実香に上品な蜜の香りが広がりを見せ、ナッツ類やトーストの芳ばしいニュアンスも感じられます。
熟成するほど果実香は熟した果実やドライフルーツのニュアンスに変化し、ブリオッシュのような甘く芳ばしい風味も広がります。
【味わい】
キメ細かな泡はしなやかな飲み口で、厚みのある果実味がトーストやナッツの風味と共に広がります。
洗練された美しい酸は味わいのバランスを整え、上品な蜜の甘味や複雑な風味を残した優雅な余韻へと導かれます。
熟成させるほど成分は溶け合い滑らかさが増し、円熟した果実感や上質な甘味を伴ったコクのある複雑で妖艶な品質へ成長していきます。
《飲む時の適正温度》
【6℃~14℃】
よく冷やす事でその上質な酸味が際立ち、洗練された上品さや気品ある飲み口が楽しめます。
温度を上げるほど果実感や複雑な風味が広がり、ふくらみのある味わいになるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃は出荷から約10年】
出荷される時点で飲み頃ですから、買ったらすぐに楽しめます。
熟成させることで円熟した果実感や、上品な蜜やトーストのニュアンスの増した円熟した妖艶さが楽しめます。
当たり年のブドウから造られたワインをブレンド(アッサンブラージュ)して造られるシャンパーニュで、当たり年の概念は無く、あえて言えば全部当たり年という認識で良いでしょう。
《適正グラス》
【フルート型グラス】
美しい泡立ちを見れますし、空気に触れる部分も少ないため、温度も上がりにくいと同時に炭酸も抜けにくい形状に設計されています。
シャンパーニュの華やかさは、グラスの美しい外観によってもさらに引き立ちます。
また、このクラスのシャンパーニュですと、ふくらみのあるブルゴーニュグラスに入れて、芳醇な芳香性を楽しむアプローチも良いですね。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
天ぷら各種をレモンと塩で
アワビバター
など、洗練された充実感やバランス感覚を持ったローラン ペリエ グラン シエクルは、適度な強さの味わいを持った料理との相性が良いですが、爽快な発泡性と美しい酸は口の中をスッキリさせる効果もあるため、強い味わいの料理にも適応する力があります。
また、揚げたての天ぷらなどのように【パリッ】【サクッ】とした食感の料理には【シュワツ】としたシャンパーニュは相性が良いですね。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
このワインの悪い点を指摘する具体的コメントは見当たりませんでした。
【良い口コミ】
「いつ飲んでも期待に応えてくれるシャンパーニュ。完全に病みつき、いやこの上品な蜜の味わいには中毒性があるの!?(笑)濃厚だけど雑味がないから美味しすぎるのです。」
「あんまりみんなが旨いって言うからな・・・。ってこれ旨い!!(笑)キメ細かな泡で芳ばしさと上品な蜜のニュアンスがいいね~。バランスも素晴らしく納得の出来栄えだ。」
「立ち上る豊富な泡でイエローの外観。リンゴとフラワリーな香りに蜜の甘さや少しの焼いたパンもあります。豊潤な果実味を綺麗な酸が引き締め、ミルフィーユ状にいろんな味わいが押し寄せる。それでいて後口はスッと消えるようなエレガンスがありますね。これはいいです。」
「赤リンゴにアンズの熟した果実感はとても洗練されており綺麗。そんな果実味を鉱物的なミネラルや美しい酸が引き締め、ふんわりとした風味を残した余韻へと続く。爽快な泡は一貫して心地よく陽気な品質で、楽しい場面をより盛り上げてくれる素敵なシャンパーニュだと思います。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 7%
美味しい 86%
普通 7%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
比較的高額シャンパーニュという事もあり、非常に経験豊かで分析能力にも優れた方々がこのシャンパーニュを口にしており、そのような方々のほとんどがバランス感覚に優れた品質に高評価を与えている事が印象的でした。
しかし感動的評価をする方は少数であり、圧倒的であったり突き抜けた要素はそこまで無い事も感じ取れました
とはいえ品質の悪い点を指摘する方もいなく、非常に隙の無い品質である事はよくわかり、非常に洗練された質感とバランス感覚を持った上級シャンパーニュである事を確認する結果となりました。
知名度が低いわけではありませんが、ドンペリの8分の1、ボランジェ・グランダネの半分程度の口コミ量という事で、ちょっと隠れた銘酒を求めるような場合などにも活躍が期待できますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
それでは最後に情報整理です。
ローラン ペリエ グラン シエクルは
【価格】
およそ14000~20000円
【味】
充実感がありつつエレガント。
全ての要素が高次元で、それらが互いに支え合う優れたバランス感覚を持つ。
【飲み頃と当たり年】
飲み頃は出荷から約10年
当たり年の概念は無いが、当たり年のワインだけをブレンドするという意味では全部当たり年とも言える。
【口コミ】
非常に経験豊かで分析能力にも優れた方々がこのシャンパーニュを口にしており、そのような方々のほとんどがバランス感覚に優れた品質に高評価を与えている事が印象的。
あなたもマルチ言葉で遊んでみてはどうでしょうか。(笑)
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