『ブルゴーニュの赤ワインにおける最高生産者は?』
ヴォギュエ、エマニュエル・ルジェ、アルマン・ルソー、ジャック・フレデリック・ミュニエ、プリューレ・ロックなど様々な声が聞こえてきそうです。
しかし、やはり最もその名が挙がる確率が高い生産者こそが、DRCあるいはルロワではないでしょうか。
今回はボージョレの記事という事で、ボージョレを生産しないDRCは紹介できませんが、双璧をなすルロワは手掛けており、並のボージョレとは次元の違う味わいで多くの飲み手を魅了しています。
さて、私はボージョレ・ヌーボー(ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーボー)を生み、日本で購入可能な主要生産者を30程ピックアップし、その中で多くの日本の消費者の方々に実際飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみました。
その結果、高額ではありますが非常に多くの方に飲まれ、最も高い満足度を獲得していると感じたのがルロワ でした。
その他にそのような条件を満たしていると感じたのは、
■ルー・デュモン
■パカレ
■ドミニク・ローラン
■ジャン・フォイヤール
■ドメーヌ・ド・ラ・マドンヌ
以上の生産者達でした。
ちなみにヌーボーではなくプリムールって何?
と思った方もおられるでしょう。
言葉の意味としては【ヌーボー=新しい】【プリムール=1番目の】という事ですが、プリムールは熟成にの耐える高品質ワインの初集荷といった意味合いがあり、要するに、単に新酒のヌーボーよりもプリムールの方が上質というように知っておけば良いでしょう。
《ワイン名》 メゾン・ルロワ ボジョレー・ヴィラージュ プリムール
《価格》
【5000~6000円】
《ブドウ品種》ガメイ
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ボージョレ
《生産者》 メゾン・ルロワ
ここで簡単な経緯を解説します。
マダム・ルロワことラルー・ビーズ・ルロワ女史は、その類稀なテイスティング能力を持つことで知られ、1971年~1991年までDRCの共同経営者として能力を発揮し、DRCの地位を作り上げた功績は有名です。
そんなルロワ社の創業は1868年、自社畑を持たず、ブドウあるいはワインなどを仕入れて生産するネゴシアンとしてオーセイ・デュレスに創業。
1988年に栽培から瓶詰めまで一貫してワインを生産するドメーヌ・ルロワを設立、このドメーヌはマダム、ファミリー、高島屋で1/3ずつ所有しています。
そして同年、100%マダム個人所有で自分の意志のみで生産するため、オーセイ・デュレスのドメーヌ・ドーヴネを購入しました。
つまりルロワと言えば、ワインを買い付けて販売するメゾン・ルロワ、自社で栽培から醸造まで行うドメーヌ・ルロワ、マダムの意志のみで栽培から醸造まで行うドメーヌ・ドーヴネの【3つ】があるという事で、後者になるほど希少性も高くなり、品質も高くなる傾向にあります。
今回はメゾン・ルロワのワインという事で、3つの中では最もカジュアルな品質ですが、ボージョレ・ヌーボーにおいては頂点を極める優れたワインなのです。
《味わいの特徴》
洗練された豊潤な果実味
純粋で雑味無い
ボージョレの頂点
このワインの特徴は、並のボージョレには無い洗練された豊潤な果実感にあり、そのピュアで雑味の無い質感は、充実感があるものの透明感があるため飲み口は軽快で、女性的なエレガントさのある品質はボージョレ・ヌーボーの頂点と言えます。
前述の通り、このワインはルロワが栽培から醸造までを手掛けるドメーヌスタイルではなく、ワインを仕入れて販売するスタイルのワインです。
類い稀なテイスティング能力を持つルロワ女史の選考をクリアしたワインのみが、ルロワのプリムールとして認められるため、生産者も選考されるように品質を高めるわけです。
【外観】
深みのある赤紫色
【香り】
イチゴやラズベリーなどの赤い果実のフレッシュな香りに、ブルーベリーやプラムにバナナなどのフルーティでな香り、バラの華やかさも加わり、全体的に清潔感ある印象です。
【味わい】
ほんのり甘味を伴った豊潤な果実味は洗練され雑味無く、キメの細かいタンニンはなめらかな質感を表現し、心地よい旨味も広がりを見せます。
適度な酸は味わいをまとめた後、心地よい余韻へと導いてくれます。
《飲む時の適正温度》
【12℃~18℃】
低めの温度すれば酸味やフレッシュ感が際立ち軽快な飲み口になりますし、温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、甘味や複雑な風味の広がりある味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
飲み頃はブドウ収穫年から
【およそ0年~5年】
一般的傾向や飲んだ方の評価傾向から推測すると、これくらいではないかという個人的見解です。
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
芳醇な香りと、繊細な味わいを持った上質ワインです。
香りが取りやすく、甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
バーニャカウダ
チキンのグリルをベリーソースで
など、ほどよいコクのある味わいの料理に合わせる事で、繊細なワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、美しい風味の広がるマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
ボージョレ・ヌーボーの頂点を体感したいのであれば、2020年現在このワインを選ぶより他は無いのではないでしょうか。
世界最高のボージョレ・プリムール(ヌーボー)は、贈り物やプレゼントにしても敬意が伝わるのではないでしょうか。
《こんな場合には不適切!?》
洗練された品質はボージョレの頂点ですが、円熟味や奥深い複雑性という意味では、上級ブルゴーニュピノには及びません。
わかりにくいかもしれませんが、初々しく綺麗な心を持った20代前半の女性的魅力を持ったワインであり、人生経験も積んだことで落ち着きが増し、人間的魅力に溢れる大人の女性の気品を求めるものではありません。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「4ヶ月経過。すぐ飲んだ方が良かったのかな~。いつものチャーミングさやイチゴのようなフレッシュ感が抜けてる印象?悪くはないけどイチゴ食べながらだと、イチゴにイチゴ感持ってかれた?早く飲むべき?謎!!!」
「2019は甘味を抑える意味で、ちょっと冷やし気味が美味しいかな。ただ5000円の味わいかと考えれば疑問が残る。」
「これは良くできたボージョレである事に違いはない。しかし同じ金額を払うのであれば、他の生産者のクリュ・ボージョレ、あるいは上級ピノを選択するだろう。新酒はグラス一杯が楽しい。」
【良い口コミ】
「2019を解禁日に抜栓。3日に分けて楽しみましたが、最終日が一番好み。だんだんと酸味が落ち着いて言った印象で、逆に風味は高まっていきましたね。」
「2013を6年熟成させました。2年程度の時は濃いだけでしたが、ここに来ていい感じに熟成。私にはこれぐらいの熟成物が合うようです。」
「9年熟成2010。ボージョレの鮮やかな果実味は落ち着きを見せ。丸く柔らかな印象でタンニンも適度。果実感はまだフレッシュさも残しており、スッと飲めるような心地よさがありますね。こんな飲み方もありでしょう!!たぶん(笑)」
「2019はフルーツ感満載。甘味を予感させるフルーティな香りですが、味わいはそこまで甘味は主張しません。甘くない濃厚ブドウジュースのアルコール入り(笑)。食事ってよりもスイーツやチーズの方がよく合うかも。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 0%
美味しい 47%
普通 50%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
ルロワが手掛けるにしては意外!?いや、ボージョレにしては妥当!?と言うべきか、感動を覚えるほどの評価を与える方は見当たりませんでした。
価格も並のボージョレに比べれば倍以上という事で、価格に対する品質面での辛口評価をされる方もチラホラ見受けられました。
とは言うものの高品質である事は確かで、充実した成分も持ち合わせており、分析力優れる方が熟成酒を楽しまれている事は、非常に興味深く感じられました。
私個人もこのワインは2年連続(2018・2019)と飲ませていただいており、その充実した味わいは注ぎたてよりも時間経過した方が、味わいにまとまりが出て美味しく感じましたので、熟成のポテンシャルを持っている事は理解できるものでもありました。
以上です。
そこそこ高くて美味しいルロワの作品。
といったところでしょうか。
賛否の分かれるワインではありますが、ボージョレの新酒における頂点である事は確か。
非常に多くの方が口にしているワインで、話題性においても一度は口にするだけの価値があるワインだと思います。
私個人の意見としては、5000円出してもう一度購入する気にはなりませんが、まだこのワインを飲んでいない方には、洗練された別格のボージョレであり、知っておくべきボージョレの頂点としておすすめできる品質です。
いろんなことを言ってしまいましたが、
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
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