白ワインの世界最高生産者を語る時、
常にその名が挙がる生産者の一つがドメーヌ・ルフレーヴ。
ルフレーヴ家は、1500年代からワインを造り続けている超名門であり、ワインを愛する方、特に白ワインを愛するブルゴーニュラバーであれば、知らない方を見つけることの方が困難とも言えるほど偉大な生産者です。
そんなドメーヌ・ルフレーヴの生み出す珠玉のワインは、品質もさることながら価格も高騰してしまう事は必然で、その最高峰であるモンラッシェ・グランクリュはそもそも販売店を見つけ出すことも困難で(実際私はネット上で見つけられませんでした)、極めて手の届きにくい存在と言えます。
しかし、もう一つのルフレーヴ、
オリヴィエ・ルフレーヴはどうでしょう。
こちらもやはりワイン界での評価や知名度は当然高いですが、ドメーヌ・ルフレーヴほどは価格も高騰しておらず、比較的手の届きやすいワインを生み続けています。
ドメーヌ・ルフレーヴの名声を不動のものとした故ヴァンサン・ルフレーヴ氏の甥にあたるオリヴィエ氏は、1982年~1994年の12年間ドメーヌ・ルフレーヴの経営に携わり一時代を担った人物。
1984年に独立を果たしたドメーヌ(ブドウの栽培から醸造まで行うスタイル)兼ネゴシアン(ブドウ又はワインを仕入れ、製造あるいは販売するスタイル)で、著名な専門誌や一流ホテルなどにも高く評価されている生産者です。
そのような一般的評価はさておき、非常に多くの生産者が生み出すピュリニー・モンラッシェのワインの中で、多くの一般消費者の方々に飲まれ(口コミされ)、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみた結果、ドメーヌ・ルフレーヴやソゼと並んで、際立つ存在感を放っていたのがオリヴィエ・ルフレーヴの村名ワインでした。
非常に多くの方がこのワインに口コミしているという事は、つまり売れている事でもありますが、他の生産者のワインに比べてもかなり手頃な価格で購入できる点が選ばれる理由の一つにもなっているのでしょう。
とは言え、品質が高い事が大前提であり、ブルゴーニュラバーの皆様の口コミからは価格以上の価値を感じたというわけです。
《ワイン名》 オリヴィエ・ルフレーヴ ピュリニー・モンラッシェ
《価格》
【6600~9000円】
《ブドウ品種》シャルドネ
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ピュリニー・モンラッシェ
《生産者》 オリヴィエ・ルフレーヴ
《特徴》
芳醇な香り
端正で品格ある味わい
このワインの特徴は、優しく芳ばしい樽やフレッシュな果実に白い花などの芳醇な香りが感じられ、ピュリニー・モンラッシェらしい凛とした気品漂う鉱物的なミネラル感や、美しく引き締める酸によって、端正で品格ある味わいを表現している点にあります。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■優れたテロワール■
ピュリニー・モンラッシェには気候や土壌など、優れたシャルドネを生むテロワール(ブドウを取り巻く自然環境の全て)が整っており、豊かな果実味、凛としたミネラル、美しい酸などを持ち併せたワインが生まれます。
■ドメーヌに近いネゴシアン■
ネゴシアンと言ってもその形態は様々ですが、オリヴィエ・ルフレーヴではワインを仕入れて販売するスタイルのネゴシアンではなく、自社のチームが契約農家に対して綿密な指示を出し、収穫はそのチームが全て手摘みで行い、納得できるブドウを使ってワインを造るという限りなくドメーヌに近いスタイルです。
そうすることで自社が求める高いクオリティーを維持したワインを安定的に生み続けています。
■優秀な醸造責任者■
ムルソーの最高峰であるドメーヌ・ルーロ出身のフランク・グリュ氏が、醸造責任者としてオリヴィエ氏の右腕となって活躍しています。
その優れた知識と技術によって買い付けから醸造まで行っており、高い品質を維持する事に一役買っています。
■芳醇な樽■
樽のニュアンスが反映されやすい新樽の使用比率は不明ですが、オリヴィエ・ルフレーヴのワインは、樽のニュアンスが他の生産者に比べると芳醇な傾向があります。
【外観】
輝く淡いレモンゴールド。
熟成が進むほど濃いゴールドへと変化していきます。
【香り】
グレープフルーツやレモンの爽やかさにラフランスなどのフルーティな果実香、白い花やナッツ類に鉱物的なミネラル香、そして樽に由来するバニラやトーストの風味が広がりを見せます。
熟成するほど果実香はより熟した果実感を増し、柔らかな樽香にバターやハチミツにのような落ち着きある甘やかさが感じられ、やわらかで魅惑的な香りが広がります。
【味わい】
生き生きとした果実味に凛としたミネラルと美しい酸が味わいに品格を与え、充実した味わい持つと同時に繊細なエレガンスを感じ取れ、心地よい樽や果実の風味をを伴った余韻が続きます。
熟成が進むほど果実味は円熟した果実の落ち着きが現れ、ミネラルや酸などの成分も溶け合う事で角の取れたしなやかさとコクが感じられます。
《飲む時の適正温度》
【8℃~14℃】
冷やし気味にすれば酸味が際立ちエレガントさのある飲み口になります。
温度を上げるほどボリューム感ある風味の広がりを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から2~15年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ白のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2005年 4
2006年 3
2007年 4
2008年 4
2009年 3
2010年 5
2011年 4
2012年 3
2013年 4
2014年 5
2015年 3
2016年 4
2017年 5
《適正グラス》
【ふくらみのあるシャルドネグラス】
少し温度を上げることで広がる風味を楽しめますから、香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、ふくらみのあるグラスを選ぶことをおすすめします。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
キノコのリゾット
ホタテバター
など、上質でコクのある味付けをした料理などと合わせることで、心地よい風味とコクの広がりあるマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
手頃な価格でピュリニー・モンラッシェを購入したいのであれば、このワインは必ず候補に入れるべきです。
ドメーヌ・ルフレーヴやソゼはもちろん素晴らしく、多くの方が求めるため価格も高騰気味ですが、オリヴィエ・ルフレーヴはその半分程度の価格で購入できるという事で、非常に多くの方を喜ばせているコスパワインです。
プレゼントや贈り物にも恥ずかしくない村名ピュリニー・モンラッシェと言えるでしょう。
《こんな場合には不適切!?》
ムルソーやカリフォルニアワインのような、樽のよく効いた品質が苦手な方にはおすすめしにくいでしょう。
実際下記の口コミでも、樽のやわらかな風味が好きな方には好評ですが、苦手な方にはぼちぼちの印象を与えている傾向があります。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「3年熟成の2016は決して悪い訳ではないが、樽感が強めな風味でムルソーかと思えるほどだが、果実味はまだ閉じ気味なのかな。もう少し熟成させるべきか。」
「なんだかこの樽感が最近ちょっと苦手なんですよね。品質は良いのでしょうが、若くてタルタルしてるんですよね。」
【良い口コミ】
「3年熟成の2015はグレープフルーツに白桃やバタートーストなどの妖艶な香りに包まれる。これは香りだけでマリアージュできそうだ(笑)。味わいは香りから連想されるフルーティな果実味とコク、美しい酸がエレガンスを表現し、バランスを整える。なかなか良かったよ。」
「3年熟成2016。流石はルフレーヴの姉妹ドメーヌですね。若いながら洗練された香り味わいは貴婦人の佇まい。美しいワインです。」
「2年熟成の若き2017は、樽に由来するバニラ香が広がり、バターやチーズなどの乳製品を思わせるコクが感じられ、ピュリニー・モンラッシェらしい凛としたミネラルも持っており、とっても良いワインだと思います。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 7%
美味しい 53%
普通 40%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
比較的お手軽な価格帯の村名ワインという事で、感動を覚えるほどのスケールを持ったワインではありませんが、柔らかな樽の風味とピュリニー・モンラッシェらしい凛としたミネラルや酸を持ったバランスの良い品質に、価格以上の価値を感じた方が多い印象です。
ただし、結構樽が効いた傾向が見受けられますから、樽が前面に現れるワインがあまり好きでない方にはおすすめしにくいワインとも言えそうです。
とは言え、口コミ量の多さはルフレーヴやソゼに匹敵するものであり、多くの方々が実際このワインを選び口にしているという事は、要するに売れているという事で、規模の大きな優良生産者の安定感も感じる結果となりました。
以上です。
オリヴィエ・ルフレーヴはこのワインに限った事ではありませんが、手頃な価格で優れたワインを生んでいると思います。
いろんな産地の特徴を比較的手頃に感じたい時、オリヴィエ・ルフレーヴのラインナップを追って見るのも良いかもしれません。
ルイ・ジャドもそう言った意味ではかなりおすすめできる生産者ですね。
大規模生産者にはやはりそういった魅力があります。
生産者が変わると多少個性は異なるので、同じ生産者で違う産地のワインを選ぶ事で、その違いが感じやすいという事です。
あなたのワイン選びの一助になれれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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