3000円台の優れたサンジョベーゼの候補に持つべき銘柄。
中価格帯のキャンティクラシコの中でも、アンティノリやクエル チャべッラと並んで口コミ満足度(vinica)が高い印象でした。
自らボトリングを開始したのは1981年で歴史は浅いですが、注目すべき銘柄をいくつも輩出している生産者です。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》キャンティ クラシコ レンテンナーノ
《価格》
【3500円前後】
《ブドウ品種》
・サンジョベーゼ主体
・カナイオーロ ネーロ
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 イタリア>トスカーナ州
《生産者》 サン ジュスト ア レンテンナーノ
サン ジュスト ア レンテンナーノは、キャンティクラシコ地区を代表するトップ生産者のひとつ。
サン ジュスト ア レンテンナーノとは土地の名前で、「ジュスト」は「正義 公正」などの意。エチケットには公平を表す天秤がデザインされています。
歴史は長く、1100年代にシトー派修道院の醸造所として誕生しており、長らく名門リカーゾリ家が所有していましたが、1914年の婚姻に伴いマルティーニ ディ チガーラ家の所有となりました。
1981年から瓶詰めを開始しており、「ラ リコルマ」「ペルカルロ」の2つの銘柄の成功で、キャンティクラシコ地区のトップ生産者としての地位を確立。造られるワインは世界的ワイン誌「ワインアドヴォケイト」などでも高く評価され、日本のワイン誌である「ワイナート」でも表紙に掲載された実績を持っています。
今回紹介しているキャンティ クラシコは、レンテンナーノのラインナップの中ではベーシックな銘柄ですが、2018が『ワインアドヴォケイト』で93点など、高い評価を獲得しています。
《味わいの特徴》
充実感と上品さを両立
バランス感覚に優れた
上級キャンティ クラシコ
このワインの特徴は、平均的なキャンティ クラシコに比べ豊かな香りや凝縮感のある味わいがある事。
また、豊富な酸やタンニンがある事で熟成に耐える能力も兼ね備えていますが、若くしてもバランス良く気品ある味わいで、ワンランク上のキャンティクラシコが楽しめます。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
キャンティに使用されるサンジョベーゼは、スミレやチェリーを思わせるフレッシュな香りを持ち、味わいも豊富な酸とフレッシュな果実味を持ったワインを生む傾向です。
しかしレンテンナーノが生み出すサンジョベーゼは、平均的なものより凝縮感のある味わい深さがあり、その要因は以下の通りです。
■恵まれた環境■
キャンティ クラシコ地区の南端にあるレンテンナーノの畑は、「7、8月ほとんど雨が降らず、気温も高い」という特有の気候条件があり、通常よりも半月ほど成熟が早まるほど。
この事は雨のリスクを避ける効果もあり、安定して良いブドウが収穫できる条件の一因となっています。
■有機農法■
農薬や化学肥料を使用しない有機農法を実践。
土地の天然酵母をはじめ、様々な生物の営みが反映される事で健全で成分豊かな土壌が育まれ、その成分を吸い上げたブドウはピュアで滋味深いワインを生みます。
■厳しい剪定■
ブドウは最大60%も剪定されます。
優れたブドウだけを残し、かつ残されたブドウには成分が集中することで充実したワインが生まれます。
【外観】
ガーネットを帯びた深みのあるルビーレッド
【香り】
スミレのような上品で華やかな香りを主体に、プラムやラックベリーを思わせる熟した果実香や、クローヴなどスパイスや樽のニュアンスも加わります。
【味わい】
適度な厚みとコクを伴った果実味はシルキーなタンニンと相まって滑らかな飲み口。キャンティらしい豊富な酸が味わいを引き締めバランスを整えると、果実やスパイスの心地よい風味や、上品な旨味を残した余韻が続きます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
少し冷やし気味にすれば引き締まった印象。酸やタンニンが際立ちエレガントな飲み口に。
温度を上げるほど穏やかな印象。甘味や複雑な風味の広がりが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から2~15年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
参考までに、トスカーナのヴィンテージチャートも載せておきます。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2005年 3
2006年 5
2007年 4
2008年 4
2009年 4
2010年 4
2011年 4
2012年 4
2013年 5
2014年 3
2015年 5
2016年 5
2017年 3
2018年 3
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
香りが取りやすく、甘味を感じやすいバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
イベリコ豚のハーブグリル
カマンベールフライ
厚みのある果実味とコク、複雑性を持ち合わせたバランス良いワインです。
合わせる料理も適度なコクを持ったものが適切で、ワインの複雑な風味は野性味のあるジビエ料理ともマッチします。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
13年熟成の06はシェリー香満載。あぁ。。これは熱劣化でしょう。またチャレンジできたらいいな。。。
7年熟成の2014は王道のキャンティクラシコって感じで美味しいけど。コスパっていう意味ではやや不満かな。。。
3年熟成の2018。ペルカルロには及ばずとも、ベーシックなキャンティクラシコでも十分に上質サンジョベーゼが味わえる。ただクラシカルな造りゆえに開くのに時間が必要なことが難点か。前日抜栓で本日いい感じです。
【良い口コミ】
なんと2004は16年熟成。ピークアウトが懸念されたが飲み頃で素晴らしい。
空けてすぐに美味しい♪バランス良いしコスパも良いですね。3年熟成の2017でした。
欠点が無いですよ。上級キュベのペルカルロで魅了された私ですが、このスタンダードキュベがここまでやるとは予想外。3年熟成の2018は誘い込まれるような上品で複雑な香り。ほんのり甘味と芯のある美しい酸。出汁系の旨味が少々あり、アルコールを感じさせない味わいはシルキーな質感と相まって非常に心地よい。これは熟成を待たずとも十分に楽しめる。そして時間をかけるほど味わいは向上。最後の一杯が一番美味しいのです!!
おぉ。これはパワフルですね。3年熟成の2017は熟成にも十分に耐えそうな充実感がありますよ。個人的にはサラリ系のサンジョベーゼが好きだけど、非常にバランスも良く、これもありだなって思えます。もう少し開いてきた時も楽しみですね!!
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 0%
美味しい 53%
普通 44%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
数値としては平凡な感じがしますが、コメント内容は非常に満足感が高い印象。
ネガティブコメントも多少見受けられましたが極少数で、価格以上の味わい深さを持ったキャンティクラシコだと感じる方も少なくありませんでした。
開けたては閉じ気味という意見もありましたが、開けたてから十分に美味しいという意見の方が多く、時間経過で向上する味わいは共通。10年以上の熟成にも耐えるポテンシャルがあるワインで、中価格帯のサンジョベーゼの候補に持つべき優れたキャンティクラシコだと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
キャンティ クラシコ サン ジュスト ア レンテンナーノは
【価格】
3500円前後
【味】
上品で複雑なアロマ。適度な厚みとコクを伴った果実味はシルキーなタンニンと相まって滑らかな飲み口。キャンティらしい豊富な酸が味わいを引き締めバランスを整えると、果実やスパイスの心地よい風味や、上品な旨味を残した余韻が続く。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から2~15年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
トスカーナのヴィンテージチャートは以下の通り。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2005年 3
2006年 5
2007年 4
2008年 4
2009年 4
2010年 4
2011年 4
2012年 4
2013年 5
2014年 3
2015年 5
2016年 5
2017年 3
2018年 3
【口コミ】
コメント内容は非常に満足感が高い印象。
ネガティブコメントも多少見受けられたが極少数で、価格以上の味わい深さを持ったキャンティクラシコだと感じる方も少なくない。
開けたては閉じ気味という意見もあるが、開けたてから十分に美味しいという意見の方が多く、時間経過で向上する傾向は共通している。
以上です。
安すぎず高額すぎず、適度な深みとバランス感覚を持ち合わせたキャンティクラシコだと感じました。
あなたはどのように感じましたでしょうか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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