価格に対する味わいへの満足度が高いと感じたキャンティ クラシコ。
品質だけを考えると、カステッロ ディ アマやバローネ リカーゾリの上級キャンティ クラシコの方が優れる印象。
しかし口コミ（vinica）を拝見する限り、飲み手の満足度という意味ではアンティノリやサンジュスト ア レンテンナーノの方が勝ると感じました。
※あくまで客観的で個人的な解釈です。
やはりイタリア屈指の生産者の手掛けるワインはどれも人気で安定感がありますが、今回紹介するキャンティクラシコでも高い人気を集めています。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》キャンティ クラシコ リゼルヴァ ヴィラ アンティノリ
《価格》
【4000円台】
《ブドウ品種》サンジョベーゼ主体
《ボディ》 ミディアム～フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 イタリア＞トスカーナ州
《生産者》 アンティノリ
アンティノリはイタリアワイン界を代表するトップ生産者。
イタリア全土に10を超えるワイナリーを所有しており、その規模は最大クラス。
また、世界各地にブランドを所有しており、カリフォルニアを代表する生産者❝スタッグス リープ ワイン セラーズ❞も傘下にあるワイナリーのひとつです。
1385年からワインビジネスの歴史を持っており、「元祖スーパートスカーナ」として名高いサッシカイアとは血縁関係。
1970年代に❝ティニャレロ❞や❝ソライヤ❞といったスーパートスカーナが海外で高く評価され、世界的なワイナリーへと成長しました。2021年現在26代目となるピエロ・アンティノリ侯爵は名誉会長で、3人の娘と共に伝統を守りつつ更なる発展を続けています。
今回紹介している銘柄は「熟成可能なキャンティ」をコンセプトに造られたワンランク上のキャンティ クラシコです。
《味わいの特徴》
バランス良く複雑
ワンランク上の
キャンティ クラシコ
このワインの特徴は、平均的なキャンティクラシコと比較して複雑で充実した味わいである事。
果実のチャーミングなニュアンスの中に、スパイスや樽の風味など落ち着きあるニュアンスも感じられ、シルキーなタンニンや豊富な酸味とのバランス感覚にも優れています。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
キャンティに使用されるサンジョベーゼは、スミレやチェリーを思わせるフレッシュな香りを持ち、味わいも豊富な酸とフレッシュな果実味を持ったワインを生む傾向です。
とはいえ、アンティノリが目指すキャンティは熟成に耐える品質。
平均的なキャンティと比較すると酸、タンニン、果実味、ミネラル感などは充実しており、熟成で円熟した落ち着きが現れます。
また、補助的にブレンドされる国際品種（カベルネ ソーヴィニョンやメルロー)は厚みのある味わいがあり、ヴィンテージ毎にその比率を調整することでバランス良い味わいを表現しています。
■丁寧な醸造■
- 穏やかな破砕で雑味の無いピュアな果実味を得ます。
- 新鮮なブドウを一気に発酵させることで豊潤な香りを抽出。
- 12日間のマセラシオン（漬け込みと発酵）では、丁寧なルモンタージュ（液循環）を実施。健全な色調とまろやかなタンニンを抽出します。
- 熟成では大樽や産地の異なる小樽を使用。また樽の風味を適度に残す古樽が主体ですが、風味が反映されやすい新樽も僅かに併用。様々な樽を使用することで複雑かつ適度な樽香が反映されたワインを生みます。
【外観】
ガーネットを帯びた深いルビーレッド
【香り】
ブラックベリーや熟したチェリーなどの果実香に、ドライフラワーやホワイトペッパーのニュアンス。タバコやコーヒーを思わせる上品な樽香も相まった心地よい香りが広がります。
【味わい】
チャーミングさと落ち着きを両立した厚みのある果実味。ほのかな甘味と柔らかなタンニンが感じられ、生き生きとした酸味が味わいを引き締めると、果実、スパイス、樽など複雑で上品な風味を残した余韻へと続きます。
《飲む時の適正温度》
【１４℃～１８℃】
少し冷やし気味にすれば引き締まった印象。酸やタンニンが際立ちエレガントな飲み口に。
温度を上げるほど穏やかな印象。甘味や複雑な風味の広がりが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5～15年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
参考までに、トスカーナ州のヴィンテージチャートも載せておきます。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
５点 秀逸な年
４点 良い年
３点 平均的な年
２点 やや難しかった年
１点 難しかった年
０点 悪い年
２００５年 ３
２００６年 ５
２００７年 ４
２００８年 ４
２００９年 ４
２０１０年 ４
２０１１年 ４
２０１２年 ４
２０１３年 ５
２０１４年 ３
２０１５年 ５
２０１６年 ５
２０１７年 ３
２０１８年 ３
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
香りが取りやすく、甘味を感じやすいバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
牛肉のトマト煮
鴨鍋
適度なコクと複雑性を持ち合わせたバランス良いワインです。
合わせる料理も適度なコクを持ったものが適切で、ワインの複雑な風味は野性味のあるジビエ料理ともマッチします。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
4年熟成の2015は私の好みではなかった。樽香や渋味が強めで果実味が弱めなので、少し飲みにくいと感じてしまいました。
【良い口コミ】
わーい！♪7年熟成の2013。このキャンティクラシコは私史上一番美味しいやつです。
率直に旨い！！5年熟成の2015は果実味、酸、渋味が充実しているが、バランス良く角が無くて飲みやすく、後口には優しさを感じる。長年この銘柄は私を楽しませてくれていて、いつも期待通り！皆に愛されるが故の価格上昇だけがネガティブ要素だが、美味しいのだから仕方ないのでしょうね。
ムズイことはわかんないけど、とにかく旨いからいいやん♪♪
黒系果実にスパイスやチョコレートの香り。5年熟成の2015はフレッシュな果実味と気品ある酸で、飲み始めの瑞々しい印象も、時間経過で密度が増してくる。バランスの良いドライな飲み口は鶏のトマト煮とベストマッチ。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的！！ ７％
美味しい ７０％
普通 ２０％
良くない ３％
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
バランス良くハイレベルなキャンティクラシコが第一印象。
感動的評価は少なく、好みではないコメントもありましたが、大半の方がバランス感覚と適度な深みを持った味わいに納得、あるいは満足している傾向です。
サンジョベーゼらしいやや強めの酸がありますから、優しくフルーティーな味わいを求める場合はおすすめしにくいですが、酸の質は高く果実味やタンニンとの調和も保たれています。
ブルネッロほどの深さはない印象ですが、ワンランク上のキャンティ クラシコの味わいで、中価格帯のサンジョベーゼとしては選択肢に持っておきたい銘柄と感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
キャンティ クラシコ リゼルヴァ ヴィラ アンティノリは
【価格】
4000円台
【味】
熟した果実、スパイス、樽などの複雑で心地よい果実香。
チャーミングさと落ち着きを両立した厚みのある果実味で、ほのかな甘味と柔らかなタンニンが感じられる。
生き生きとした酸味が味わいを引き締めると、果実、スパイス、樽など複雑で上品な風味を残した余韻へと続く。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5～15年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
トスカーナ州のヴィンテージチャートは以下の通り。
５点秀逸な年
４点 良い年
３点 平均的な年
２点 やや難しかった年
１点 難しかった年
０点 悪い年
２００５年 ３
２００６年 ５
２００７年 ４
２００８年 ４
２００９年 ４
２０１０年 ４
２０１１年 ４
２０１２年 ４
２０１３年 ５
２０１４年 ３
２０１５年 ５
２０１６年 ５
２０１７年 ３
２０１８年 ３
【口コミ】
感動的評価は少なく、好みではないコメントもあるが、大半の方がバランス感覚と適度な深みを持った味わいに納得、あるいは満足している傾向。
以上です。
とても安定感のある上級キャンティ クラシコだと感じました。
軽快なキャンティよりも深い味わいを求める時。
ブルネッロよりも手軽に美味しいサンジョベーゼを楽しみたい時。
そんな時に丁度良いのではないでしょうか。
あなたのワイン選びの一助になれれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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