第75回 イタリアその他の州のワインの品質とDOCG他

産地別ワインの特徴


サイト全体像がわかる【もくじ】はコチラ

 


「例え天と地が逆になろうとも己の道は変えぬぞぉ・・。変えんのだぁ・・。」

あれ!?
もう飲んでますね(笑)

気持ちは大きくなりますが、伝える事はちゃんと言える先生ですからこのままいきましょう。

 

さて、イタリアも遂に最終回です。

前回まではイタリアワインを生み出す重要な州2トップのピエモンテ州、トスカーナ州。そしてそれに次ぐ重要な州を順に解説して参りました。

そして今回はそれ以外の州という事で一つ一つをザックリと解説していきます。

これらを理解すればひとまずイタリアワインを造るすべての州の知識をかなり深める事になります。

ちょっと長くなりますが楽しくワインの知識を深めましょう。

 

■イタリアワインを生むその他の8つの州■

まずは場所。

 

 

1、ヴァッレ・ダオスタ州のワイン

【ワイン生産量】
・約1.5万ヘクトリットル
※トスカーナの200分の1程度

【ブドウ栽培面積】
・約450ヘクタール
※ピエモンテ州の100分の1程度

【ヴァッレ・ダオスタ州のワインの特徴】
イタリア最小の州です。
最もワイン生産量の少ない州で、市場でなかなか見かけません。
・山岳中心の冷涼な気候から生まれるワインは、クリアーでフレッシュなものが多いです。
・固有品種が多く、白ブドウプリエブランはフレッシュで豊かな酸があります。黒ブドウフミンは強い酸とタンニンを持ち、果実味も豊かです。プティルージュは赤い果実の香りを持ち若々しく美しいワインを生みます。

【主要DOC
《ヴァッレ・ダオスタ》
ロゼ
・使用品種 多数
・唯一のDOCで様々な品種から様々なが造られます。

2、リグーリア州のワイン

【ワイン生産量】
・約6万ヘクトリットル
※トスカーナの50分の1程度

【ブドウ栽培面積】
・約2000ヘクタール
※トスカーナの30分の1程度

【リグーリア州のワインの特徴】
・上記のヴァッレ・ダオスタ州に次いでワイン生産量が少なく、市場でもあまり見かけません。
固有品種が多く白ワインでは、ピガートヴェルメンティーノから華やかで塩っぽさを持ったフレッシュなワインが造られ、ボスコアルバローラからは複雑で個性的なワインが造られます。
赤ワインではロッセーゼから豊かな果実味を持ちバランスの良いワインが造られます。
・全体的に果実味は豊かですが、重くなり過ぎず爽やかさも持ち合わせたワインが多いです。

【主要DOC
チンクエテッレ
パッシート
・使用品種 ボスコアルバローラヴェルメンティーノ
・海に迫る絶壁の段々畑の風景は唯一で世界遺産に登録されています

ブドウを皮ごと発酵させるスキンコンタクトが伝統で、オレンジがかった濃い黄色のワインは特徴的です
「ハヤリのオレンジワインってやつだ。まずはチンクエテッレを試すのだ・・。そんな事より我覇者なり。」

3、ウンブリア州のワイン

【ワイン生産量】
・約70万ヘクトリットル
※トスカーナの4分の1程度

【ブドウ栽培面積】
・約1.3万ヘクタール
※トスカーナの5分の1程度

【ウンブリア州のワインの特徴】
良質のカジュアルワインを共に造り、今後さらなる品質の高いワインを生みだす潜在能力を持っています。

2つDOCG
《1、モンテファルコ・サグランティーノ
赤のみ
・使用品種 サグランティーノ
・ポリフェノール含有率が非常に高く、果実味豊かでタンニンも強い濃厚な味わいです。
「このワインには肉がよく合うぜ。」

《2、トルジャーノ・ロッソ・リゼルヴァ
赤のみ
・使用品種 サンジョベーゼ主体
・サンジョベーゼ主体のふくよかで複雑かつ優美なワインは、トスカーナとは違った魅力があります。

【主要DOC
オルヴィエート
白のみ
・使用品種 グレケットトレッビアーノ
・ラッツィオ州にまたがるDOCでやさしい味わいの白ワインはとても人気で有名です。

4、マルケ州のワイン

【ワイン生産量】
・約90万ヘクトリットル
※トスカーナの3分の1程度

【ブドウ栽培面積】
・約1・6万ヘクタール
※トスカーナの4分の1くらい

【マルケ州のワインの特徴】
共にバランスよく造られ、白用品種ではヴェルディッキオ赤用品種ではモンテプルチャーノが中心で、カジュアルなものから高品質のものまで造られ、豊かな果実の味わいを持ったワインが多いです。

【主要DOCG
カステッリ・ディ・イエージ・ヴェルディッキオ・リゼルヴァ
白のみ
・使用品種 ヴェルディッキオ主体
・若いうちから楽しめますが熟成にも向き、複雑な香りと柔らかな酸があります。

ヴェルディッキオ・ディ・マテリカ・リゼルヴァ
白のみ
・使用品種 ヴェルディッキオ主体
・厳格なヴェルディッキオで若いうちは閉じていて硬い印象です。熟成によって本来の味わいが現れます。

コーネロ
赤のみ
・使用品種 モンテプルチャーノ主体
・モンテプルチャーノ主体の力強い赤ワインで、アドレア海側で最も優れた赤ワインと言われます。

ヴェルナッチャ・ディ・セッラペトローナ
・赤泡
・使用品種 ヴェルナッチャネーラ主体
・ヴェルナッチャネーラから造られる珍しい赤のスパークリングワインです。甘口から辛口まで造られますが少量生産です。

※DOCGではありませんが、《魚の形をしたボトル》のペッシェヴィーノ・ビアンコとロッソは有名でフルーティでカジュアルな味わいです。

「ペッシェ=魚。ヴィーノ=ワインだ。肉もいいが魚もいいぜ。」

5、モリーゼ州のワイン

【ワイン生産量】
・約30万ヘクトリットル
※トスカーナの10分の1程度

【ブドウ栽培面積】
・約6000ヘクタール
※トスカーナの10分の1程度

【モリーゼ州のワインの特徴】
・おそらく最も知名度の低い州で、人口もワイン生産量生産量も少なく地元消費が中心です。
唯一の固有品種である黒ブドウティンティリアは濃いルビー色の外観で、プラムの香りを持ちしっかりとしたタンニンのある赤ワインを生みます。

【主要DOC
《ビフェルノ》
ロゼ
・使用品種ロゼワイン用 モンテプルチャーノアリアニコ
・使用品種白ワイン用 トレッビアーノ・トスカーノ
ロゼ共に果実の味わいが豊かな ワインが造られます。

ティンティリア・デル・モリーゼ
ロゼ
・使用品種 ティンティリア主体
・とても個性的で注目されるワインを生みます。

「荒々しさが魅力だ。男ならば決して媚びるな。」

6、バジリカータ州のワイン

【ワイン生産量】
・約10万ヘクトリットル
※トスカーナの30分の1程度

【ブドウ栽培面積】
・約5000ヘクタール
※トスカーナの10分の1程度

【バジリカータ州のワインの特徴】
・山岳地帯が多いためワイン生産量は少ないですが、力強いアリアニコから造られる赤ワインは有名です。

1つDOCG
アリアニコ・デル・ヴルトゥレ・スペリオーレ
赤のみ
・使用品種 アリアニコ
・南部イタリアを代表するDOCの1つ《アリアニコ・デル・ヴルトゥレ》は力強い酸とタンニンを持つ偉大な赤ワインですが、さらに厳しい規定をクリアしたこのスペリオーレは2010年にバジリカータ州唯一のDOCGに昇格しており、この州の顔と呼べる有力ワインです。

7、カラブリア州のワイン

【ワイン生産量】
・約30万ヘクトリットル
※トスカーナの10分の1程度

【ブドウ栽培面積】
・約1万ヘクタール
※トスカーナの6分の1程度

【カラブリア州のワインの特徴】
・固有品種の宝庫で潜在能力の高い品種が多く存在します。
・醸造技術に問題のある過去でしたが、徐々に改善しており今後の発展に期待の州です。

【主要DOC
《チロ》
ロゼ
・使用品種ロゼワイン用 ガリオッポ
・使用品種ワイン用 グレーコ・ビアンコ
カラブリア州で最も有名なDOCで特に赤ワインが有名です。
ガリオッポは強いタンニンがありますが滑らかさもあり、包み込むような喜ばしいわいのワインを生みます。

8、サルデーニャ州のワイン

【ワイン生産量】
・約70万ヘクトリットル
※トスカーナの5分の1程度

【ブドウ栽培面積】
・約3万ヘクタール
※トスカーナの半分程度

【サルデーニャ州のワインの特徴】
・比較的閉鎖的な文化のため、独自の固有品種からワインは生産され、個性的なものもあります。

1つDOCG
ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ
白のみ
・使用品種 ヴェルメンティーノ主体
・唯一のDOCGです。フルーティで柔らかな酸を持ちかすかに塩っぽさを持つ深みのある味わいは地中海を思わせる味わいです。

【主要DOC
ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ
白のみ
・使用品種 ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ
・ワインの熟成過程であえて空気に触れさせることで生まれる【酸膜酵母】という膜によって独特の風味が付いた辛口ワインです。
「造りがシェリーと似ているから味も似てるぜ。紹興酒のようでもある。肉にも負けぬ強い味わいだ・・。強くて負けぬ!!」

私が選ぶ飲むべき一本です
【ヴェルナッチャ・ディ・オリスターノ コンティニ】

よかったらお試し下さい。

 

以上です。

いかがでしたか?
これでイタリア全20州を解説し終えました。

イタリアは本当に固有品種の多い国でしたね。
かなり紹介しましたが、実はまだまだ触れていないマイナー品種もまだあります。
興味のある方はどんどん調べてみて下さい。ほとんど誰も知らない品種にも出会えることでしょう。

そしてイタリアに限った事ではありませんが、醸造技術も日々進歩しており地球環境もどんどん変化しています。よって生まれるワインも様々な進歩を遂げています。
私もあなたもそのように変化、成長し続けるワインに注目し、それを学び・伝え・飲んで楽しむワインのある豊かな生活になる事を願っています。

 


「ガルル・・ガル・。」


「終わりましたよ。兄さん」


「は!・・・。おぉ・・弟よ・・。」
「俺はちゃんと解説したのか?」


「はい。伝えるべきことはちゃんと伝えてましたよ。さすが私の兄です。我覇者なりとかも言ってましたが。」


「やはりな・・。弟よ、俺を超えたくばいつでも挑んでみよ。俺は砕けぬ!折れぬ!朽ちぬ!」


「・・??。はい、兄さん私はあなたの全てを目指します・・。」


「ふっ。さすが我が弟よ。言いよるわ・・。それではさらばだ、また会おう!!」

 

長文完読ありがとうございました!!
イタリア最後の先生は頼りがいありそうで意外と天然でしたね(笑)

まだまだワインの知識の旅は続きますからよろしくお願いいたします!!

コメント

タイトルとURLをコピーしました