★カリスマ★
【好きな言葉】愛や夢
「今日はシェリーに会えるって聞いたから・・・。俺ははぐれ者だからお前みたいにうまく笑えやしない・・・。」
おっと、イスラエルではお世話になりました。
そんなまっすぐな瞳で見つめられたら、お酒の方のシェリーですって言えないですね(笑)
※1960年~90年生まれの方々ならばきっとわかりますよね。
さておき、今回で酒精強化ワインシリーズは最終回です。
最後はシェリー酒です。
最近では専門店があるくらいシェリーに注目も集まっているようです。
そしてこの記事を書く前からわかっていたのですが・・・。
シェリーは説明が難しいのです。
わかりやすくを大切にしている私にとって難問であります!!(笑)
「シェリーどこに行けば俺は這い上がれるだろう。シェリーどう説明すれば君と分かり合えるだろう・・・。」
私の気持ちを代弁してくれたのでしょうか。
そんなにもまっすぐな瞳で。
ありがとうございます。
とにかくやってみましょう!!
1、シェリー酒とは?
アルコール発酵を終えた【後】にアルコールを添加するタイプの酒精強化ワインです。
《産地》
スペイン南部のアンダルシア地方で
【1、へレス・デ・ラ・フロンテーラ】
【2、サンルーカル・デ・パラメダ】
【3、エル・プエルト・デ・サンタ・マリア】
以上【3つ】の地域を結ぶ三角地帯で生産されます。
※試験対策の方はこの3つの地域名はしっかり覚えておきましょう。
《使用品種》
3種の白ブドウが認められています。
【パロミノ】辛口用
酸味甘味共にひかえめで、シェリー以外には適さない品種と言われます。
シェリーにアーモンドの風味をもたらしドライな味わいを生みます。
【モスカテル】甘口用
フランスで《ミュスカ》イタリアで《モスカート・ビアンコ》と呼ばれるマスカット系品種です。とてもフルーティな香りとアロマティックな味わいをもたらす品種です。
【ペドロヒメネス】甘口用
非常に糖度の高い品種で、極甘口シェリーを生む場合は干しブドウにして糖度をさらに高めてから使われます。
2、シェリー酒2つの特徴
《1、ソレラシステム》
このシステムが最大の特徴と言えるでしょう。
例えば、4つのヴィンテージ(ブドウの収穫年)別の樽があったとします。
最も古いヴィンテージのワインが入った樽を【ソレラ】と呼び、そこからシェリーを採取して出荷します。
しかしそのソレラからあえて全てのシェリーは使わずに残します。
そして減った分を2番目に古い樽(第1クリアデラと呼びます)からつぎ足し、2番目の樽が減った分を3番目に古い樽(第2クリアデラ)からつぎ足し、3番目に古い樽が減った分を1番新しい樽(ソブレタブラと呼びます)からつぎ足します。
そのようなシステムにすることによって、複数年のワインがブレンドされて品質が安定するというわけです。
わかりますか?
老舗のうなぎ屋のタレみたいなものですかね。
造り手によっては100年前のシェリーが含まれることもあります。
《2、フロールを発生させる》
フロール?ですよね。
ワインは通常樽熟成する時に空気に触れ過ぎないようにするため、樽にしっかりワインを入れて熟成せせます。
しかしシェリーのベースとなるワインを造る時は樽に70%程度しかワインを入れません。
そうするとワインの表面に産膜酵母という膜が発生します。
この膜の事を【フロール】と呼び、フロールがある事でシェリー独特のドライな味わいやナッツの風味が加わるというわけです。
3、シェリーの製造工程
それではザックリとシェリーの造り方を解説します。
《1、ブドウ収穫》
《2、圧搾》
ブドウを潰して果汁だけにします。
《3、アルコール発酵》
ブドウの糖分が酵母によってアルコールと炭酸になっていきます。
《4、樽熟成》
この時に上記のように70%程度だけワインを入れ、フロールを発生させます。
《5、ブランデーの添加》
《6、ソレラシステムを経て出荷》
基本的には以上ですが、ブランデーの添加量によってフロールを残したり無くしたりできます。
(フロールはアルコールに弱いので、多めに添加すれば消滅します。)
よって、アルコール少なめのフロールを残したシェリーは、フロールが蓋の役割になり空気に触れないため白ワインの色のままですし、アルコールを多く添加しフロールを無くしたシェリーは空気に直接触れるためどんどん色が付き、琥珀色へと変化しいきます。
4、シェリー酒 10種の分類
上記のような製造工程で造られ、【フロールの有り無しによって分類されるシェリー】ですが、さらに細かい【製造工程】や【使う品種】や【甘辛】によって10種に分類されます。
ラベルにも以下の表記がされていますから味わいの指標として参考にして下さい。
《1、Fino フィノ》
【品種】 パロミノ
【味わい】辛口
【色合い】白ワイン色
【アルコール度数】15~17%
フロールを残した造りです。フレッシュでスッキリとした辛口です。
《2、Manzanilla マンサニーリャ》
【品種】 パロミノ
【味わい】辛口
【色合い】白ワイン色
【アルコール度数】15~17%
造りはフィノと同じですが海風の当たる地区で造られるため、塩味が感じられる味わいでフィノを繊細にしたようなイメージです。
《3、Amontilladoアモンティリャード》
【品種】 パロミノ
【味わい】辛口
【色合い】琥珀色
【アルコール度数】16~22%
熟成の途中でフロールを無くす造りをします。
フィノとオロロソの中間程度の味わいで、ナッツの香りが豊かです。
《4、Oloroso オロロソ》
【品種】 パロミノ
【味わい】辛口
【色合い】濃い琥珀色
【アルコール度数】17~22%
フロールを無くして熟成させる製法で濃い色調です。
ドライフルーツのような香りを持ち、厚みのある複雑な味わいです。
《5、Palo cortad パロ・コルタド》
【品種】 パロミノ
【味わい】辛口
【色合い】琥珀色
【アルコール度数】15~22%
フィノにしようとしていたシェリーを途中からオロロソの造りに路線変更したものです。
香り高くまろやかな味わいです。
《6、Medium ミディアム》
【品種】 パロミノ
【味わい】中甘口
【色合い】琥珀色
【アルコール度数】15~22%
アモンティリャードに極甘口のシェリーを加えて甘くしたものです。
香り高く軽やかな味わいです。
《7、Pale cream ペール・クリーム》
【品種】 パロミノ
【味わい】中甘口
【色合い】白ワイン色
【アルコール度数】15~22%
フィノまたはマンサニーリャに極甘口のシェリーを加え甘くしたものです。
軽快な酸味もあり飲みやすいシェリーです。
《8、Creamクリーム》
【品種】 パロミノ
【味わい】中甘口
【色合い】濃い琥珀色
【アルコール度数】15~22%
オロロソに極甘口のシェリーを加えて甘くしたものです。
重厚で複雑な味わいです。
《9、Moscatel モスカテル》
【品種】 モスカテル
【味わい】極甘口
【色合い】濃い琥珀色
【アルコール度数】15~22%
収穫したブドウ(モスカテル)を干しブドウにして糖度を高めてから発酵させ、フロールは発生させないため非常に濃い色調で、モスカテル特有の爽やかな香りもあります。
《10、Pedro ximenez ペドロ・ヒメネス》
【品種】 ペドロ・ヒメネス
【味わい】極甘口
【色合い】濃い琥珀色
【アルコール度数】15~22%
モスカテル同様に収穫したブドウ(ペドロ・ヒメネス)を干しブドウにしてから造られる極甘口ワインで、こちらもフロール無しの非常に濃い色調で黒蜜のように濃厚な風味です。
【まとめ】
《ソレラシステム》で品質を安定させ、
《フロール》によって独特の風味を持つシェリー酒は、
製法・品種などの違いで《10種》に分類され、
《色調も味わいも様々》です。
以上です
わかりましたか?
なかなか複雑でしたね。
少しでも参考になればうれしく思います。
「シェリーには会えなかったけど、シェリー酒の事は分かり合えたんじゃないかな。皆が互いを認め合えれば愛や夢に溢れた世界になれるかもしれない・・・」
そうですね。
シェリー(愛おしい人)は現れませんでしたね。
ワインブログですから(笑)
しかし、そんなあなたのまっすぐな生き方は多くの人々の心に残ったのですね。
コメント
ミディアムとクリームの説明が不適切です。
コメントありがとうございます。
そして、ご指摘ありがとうございます。
ミディアム、ぺール・クリーム、クリームは糖分を加えではなく、極甘口のモスカテルやペドロヒメネスをブレンドして糖度を高める。
という事でしたでしょうか?
ご回答いただけると嬉しく思います。
これからもよろしくお願い申し上げます。