甘美でヨード感があるトップクラスのブルネッロ。
複雑で優しい飲み口は、口コミ(vinica)でも非常にたくさんの方々を魅了しており、他の生産者が手掛ける2万以上のブルネッロの満足度にも引けを取らない印象。
コスパでも優れた上級ブルネッロだと感じました。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》ブルネロ ディ モンタルチーノ イル パラディソ ディ マンフレディ
《価格》
【1,3~1,8万円】
《ブドウ品種》サンジョベーゼ
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 やや辛口
《産地》 イタリア>トスカーナ州
《生産者》 イル パラディソ ディ マンフレディ
イル パラディソ ディ マンフレディは、自然派農法にこだわりトップクラスのブルネッロを生みだす生産者。
年間生産量は約9000本。家族4人で運営される小さなワイナリーの始まりは1950年代で、先代がパラディソという畑を購入しブドウ栽培を始めたこと。
現当主であるフローリオ氏は元々数学教師でしたが、先代の娘さんとの結婚でワイナリーを継ぐことになりました。「自然が葡萄を育て、自然がワインを造る。自然は人間以上のものをいつも造ってしまう。」
そのように語るフローリオ氏は農薬や化学肥料を使用しないなど、人為的なワイン造りをせず、偉大な自然が生み出すピュアな味わいを表現する自然派の生産者として知られます。
2021年現在フローリオ氏の娘ジョイアも加わり、創業当時から変わらぬ畑と家でワイン造りを続けています。そんなイル パラディソ ディ マンフレディが生み出すラインナップは基本的に2種。
どちらも同じ畑で栽培されたブドウから造られたワインで、早めに飲み頃に達した樽をロッソ ディ モンタルチーノとしてリリース。
それ以外をブルネッロ ディ モンタルチーノ。
協会が特に優良と認めた年だけ熟成期間を延ばし、ブルネッロディモンタルチーノのリゼルヴァとしてリリースしています。
※2011ヴィンテージに限り、協会が独特のヨード香(磯の香り)がブルネッロらしくないと判断し、ブルネッロを名乗る事ができず、IGT「トレンテンナーレ」としてリリースしています。
ちなみにワイナリー名にも入っている「パラディソ」という畑名は、フランス語で「パラダイス」。
つまり、イタリア語で「天国」を意味しています。
《味わいの特徴》
円熟した甘美さと複雑さ
特徴的な磯のニュアンス
このワインは他の生産者のブルネッロと比較して熟した果実の甘味が感じられ、タンニンや酸も角が無くしなやか。スパイスや革製品などの複雑な風味も加わり、充実感と優しい甘美さを持ち合わせています。
また海を連想させる磯っぽいニュアンスが感じられるところも特徴的です。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
ブルネッロはサンジョベーゼの別名で、厳密にはサンジョベーゼの亜種にあたるサンジョベーゼ グロッソを指します。
フレッシュで軽快な味わいを生む傾向のサンジョベーゼと比較して、サンジョベーゼ グロッソは分厚い果皮がある事からタンニンも豊富。
繊細さと力強さを両立し、長期熟成に耐えるワインを生みます。
■自然派の栽培と醸造■
「自然がワインを造り、自然はいつも人間の考え以上のものを造ってしまう。人間はその手助けをするだけ。」
そう考える生産者で、具体的手法は以下の通りです。
- 自然派農法
農薬や化学肥料を使用しないことで、土地の天然酵母など様々な生物の営みが反映され、健全で成分豊かな土壌が育まれます。
また、下草もある事でブドウの樹は生存競争が高まり、根を地中深くまで伸ばすことになり、豊富なミネラル分など成分豊かな地下水を吸いあげることになります。
所有する畑の地中深くにある地層は昔海であった事から、海の香りを思わせるニュアンスが反映されるのも、イル パラディソ ディ マンフレディの特徴的な部分です。 - 自然な醸造
醸造においても自然なブドウの味わい表現する事を重視。
ポンプを使用せず重力だけでワインが流れるシステムを採用し、ワインにストレスを与えません。
また、酸化防止効果のあるSO2(二酸化硫黄)の添加も極少量。ブドウのピュアな味わいを表現します。
■遅めの収穫■
収穫は他の生産者に比べると1週間程度遅く、熟度の高いブドウを使用します。
その結果、熟したブドウに由来する甘味と穏やかな酸が広がる、優しい飲み口のブルネッロが生まれる傾向です。
※詳しくは輸入元のテラヴェール様のページでも確認できます。
【外観】
透明感のある深いガーネット
熟成するほど淡いレンガ色に近づきます
【香り】
ブラックチェリー、プルーン、トライフルーツの優し甘味を連想させる果実香や、磯を思わせるヨード香。樽に由来するコーヒーやチョコレートにシナモンやクローヴのようなスパイス香。革製品のような熟成香も加わり、複雑で甘美な香りが広がります。
【味わい】
円熟した甘味やコクを伴った果実味は、シルキーなタンニンと相まって充実感がありますが優しい飲み口。比較的穏やかな酸が味わいのバランスを整えると、複雑で甘美な風味とコクを残した長い余韻へと続きます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~20℃】
少し冷やし気味にすれば引き締まった印象。酸やタンニンが際立ちエレガントな飲み口に。
温度を上げるほど穏やかな印象。甘味や複雑な風味の広がりが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から7~30年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
参考までに、トスカーナ州のヴィンテージチャートも載せておきます。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 3
1992年 2
1993年 4
1994年 3
1995年 4
1996年 3
1997年 5
1998年 4
1999年 5
2000年 4
2001年 5
2002年 2
2003年 3
2004年 5
2005年 3
2006年 5
2007年 5
2008年 4
2009年 4
2010年 5
2011年 4
2012年 4
2013年 5
2014年 3
2015年 5
2016年 5
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
充実した香り、そして力強くもエレガントな味わいを楽しむには、香りが取りやすく、甘味を感じやすいバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
和牛ヒレステーキをバルサミコソースで
キンキの甘辛煮
など、上質でコクの深い味わいの料理に合わせると良いでしょう。
複雑で深いワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立てる極上のマリアージュが楽しめます。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
7年熟成の08は、何故か最初の一杯目から澱が。。。私が2日酔いのせいなのか、アルコール感が出ているようにも。。。
【良い口コミ】
自然派農法の希少なブルネッロらしいが、8年熟成の09は確かに旨い。ビオっぽさはあまり無いが、甘露な味わい深さがある。
03よりも06の方が高額!それもそのはず。確かに06の方が美味しいですぅ~♪
8年熟成の2010はこれまで経験した事のないヨード感。ヨード香(磯の香り)にドライフルーツ、オリエンタルスパイスやコーヒーの香りが混ざり合った芳香。非常に優しい飲み口で、嫌味のない深い甘味を纏った果実味にシルキーなタンニン。球体を思わせるバランスがあり、全ての成分が見事に支え合っており、魅惑的な余韻に包まれる。これは格別なブルネッロです。
カルトワイン系ばかり飲む私ですが、王道とも言える美味しさに唸るばかり。。。ブルネッロ最高の銘柄の一つだと思います!!7年熟成の2010でした。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 25%
美味しい 50%
普通 22%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
複雑で甘美な味わいで多くの方を満足させている印象。
自然派ゆえか保存状態ゆえかわかりませんが、状態が良くないと思われるボトルでネガティブコメントが見受けられました。
しかし、大半の方が非常に高い満足感を得ています。
ヴィンテージ差はあるようですが、味わい傾向は熟したブドウに由来する甘美さがあるようで、このワイナリー特有のヨード(磯の風味)が感じられる点も興味深いと感じました。
ポッジョディソットやチェルバイオーラに迫るほど味わいへの評価が高く、その他の2万を超えるブルネッロ達にも引けを取らない評価を考えると、コスパにも優れるトップクラスのブルネッロだと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ブルネッロ ディ モンタルチーノ イル パラディソ ディ マンフレディは
【価格】
1,3~1,8万円
【味】
熟した果実の甘味が感じられ、タンニンや酸も角が無くしなやか。スパイスや革製品などの複雑な風味も加わり、充実感と優しい甘美さを持ち合わせている。また、海を連想させる磯っぽいニュアンスが感じられるところも特徴的。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から7~30年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
トスカーナ州のヴィンテージチャートは以下の通り。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 3
1992年 2
1993年 4
1994年 3
1995年 4
1996年 3
1997年 5
1998年 4
1999年 5
2000年 4
2001年 5
2002年 2
2003年 3
2004年 5
2005年 3
2006年 5
2007年 5
2008年 4
2009年 4
2010年 5
2011年 4
2012年 4
2013年 5
2014年 3
2015年 5
2016年 5
【口コミ】
状態が良くないと思われるボトルでネガティブコメントが見受けられたが、大半の方が非常に高い満足感を得ている。
他の生産者が手掛ける2万を超えるブルネッロ達にも引けを取らない評価で、コスパにも優れるトップクラスのブルネッロだと感じた。
以上です。
いろんなテイスティングコメントで出現する「ヨード香」。
「なんのこと?」
という方も少なくないでしょうが、ワカメや昆布など磯の香りのようなニュアンスです。
もしヨード香を体感してみたいならば、イル パラディソ ディ マンフレディを候補に入れてみても良いかもしれませんね。
特に、2011ヴィンテージに限ってはヨード感が強すぎて協会からブルネッロを名乗らせてもらえず、「トレンテンナーレ」としてリリースしているくらいですからね。
さておき、トップクラスのブルネッロをお探しならば、甘美でヨード感あるこの銘柄は選択肢に入れるべきでしょう。
あなたのワイン選びの一助になれれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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