シャブリの頂点に君臨し、飲んだ人々を魅了し続けるフランソワ ラヴノー。
そんなラヴノーは希少かつ高品質で人気のため、価格も高騰しそもそも売っている事もあまりありません。
今回紹介するワインは、ラヴノーの義兄弟にあたる生産者で非常に評価も高く、ラヴノーと並んでシャブリ最高生産者として高い評価を得ています。
価格はラヴノーほど高騰しておらず、ラヴノーほど売っていない事もないので、比較的手に入れやすいシャブリの最高峰と言えます。
シャブリ、シャブリプルミエクリュ各種、シャブリグランクリュ各種とラインナップされていますが、総合的に見て評価が高く皆様に多く選ばれている傾向を感じたシャブリ・プルミエクリュ・ラ・フォレを解説させていただきます。
シャブリの最高峰を味わいたい。
上質な熟成シャブリを体感したい。
ワイン好きのあの方に上質な白ワインを選びたい。
そんな方が選ぶワインではないかと思います。
あなたのワイン選びの一助になれば嬉しく思います。
《ワイン名》 ヴァンサン ドーヴィサ シャブリ1er ラ・フォレ
2017
パーカー95点
《価格》
【8000~13000円】
《ブドウ品種》シャルドネ
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>シャブリ
《生産者》 ヴァンサン・ドーヴィサ
《特徴》
高次元のバランス感覚
熟成で真価を発揮
今回紹介しているプルミエクリュのラ・フォレは、ヴァンサン・ドーヴィサの所有する畑の3割以上を占めており、ドーヴィサのフラッグシップと呼ばれるワインです。
その特徴は、優れたバランス感覚にあります。
・完熟果実による豊かな果実味。
・シャブリ特有の豊富なミネラル感。
※ミネラル感とは、カリウムやマグネシウムといったミネラル分を多く含んだキリッと芯のある味わいで、硬水をイメージするとわかりやすく、キーンとくる感じです。
・冷涼な産地による美しい酸味。
・心地よい樽の風味。
これらクオリティーの高い要素が高次元で融合し、全体で風格ある味わいを表現しています。
2002年からは全ての畑をビオディナミに転換し、より土壌とブドウの質が向上した事も品質向上に一役買っています。
そして忘れてはならないのは、長期熟成によって真価が発揮される事。
5年程度の熟成の若いうちでも美味しく飲めますが、10年、20年の熟成を経る事で円熟味が増し風味が向上、奥深くスケール感ある味わいを体感できるでしょう。
【外観】
若いうちは輝きあるレモンイエロー。
熟成をするほど深いゴールドの色調に変化していきます。
【香り】
若いうちは柑橘系果実にラフランスに白い花、樽に由来するアーモンドなどの香りも感じられます。
熟成するほど果実香は円熟味を増しハチミツなど甘やかなアロマが広がり、樽の心地よい風味も加わり複雑性が豊かに感じられます。
【味わい】
若いうちはフレッシュな果実生き生きとした風味と熟した果実の厚みも感じられ、凛としたミネラル感があり、豊富な酸は味わいを引き締めポテンシャルを感じさせます。
熟成するほど成分は溶け合い円熟味が増し、凝縮感のある果実味とミネラル感が一体となり旨味が増します。
心地よい酸はバランスを取り優雅な余韻へ導いてくれます。
《飲む時の適正温度》
【8℃~14℃】
冷やし気味にすれば酸味が際立ち軽快さが増します。
温度を上げるほど複雑でな風味の広がりを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~25年
※一般的傾向や口コミから推測
【当り年】
参考までにブルゴーニュ白のヴィンテージチャートも載せておきます。
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 4
1991年 2
1992年 4
1993年 2
1994年 2
1995年 4
1996年 5
1997年 3
1998年 2
1999年 3
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 2
2004年 4
2005年 4
2006年 3
2007年 4
2008年 4
2009年 3
2010年 5
2011年 4
2012年 3
2013年 4
2014年 5
2015年 3
2016年 4
2017年 5
《適正グラス》
【ふくらみのあるシャルドネグラス】
少し温度を上げることで広がる風味を楽しめますから、香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、ふくらみのあるグラスを選ぶことをおすすめします。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
ホタテバター
クリーム系パスタにトリュフを乗せて
など、比較的コクのある味付けをした料理などと合わせることで、豊かな風味とコクの広がりある上質なマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
トップクラスのシャブリを体感したい方はこのワインを選ぶべきでしょう。
熟成で飲み頃を迎えたこのワインは、一般的なシャブリとは次元の違うスケール感と魅惑的な味わいを持っており、これが上級シャブリの味わいなんだと感じる事ができるでしょう。
ワインが好きな方への贈答品や、特別な記念日などに飲むワインの候補にしても、十分に満足度の高い品質と言えるでしょう。
《飲んだ人の口コミ》
【良い口コミ】
「8年目の2010はゴールドに輝くリッチな色調。柑橘類の爽やかな風味に蜂蜜のニュアンスもあり果実の凝縮感を感じます。酸味はこなれてやさしい印象で、エレガントな女性の品格を感じるワインです。」
「憧れのドーヴィサ2012は7年目です。美味しいですね~。果実味、ミネラル感、酸味、樽のバランスが素晴らしい!!」
「21年目の1998。以前状態の良くない2008で残念でしたが、今回は本来の素晴らしい味わいを体感できました。ミネラル感の厚みがあり上質な甘味も感じられる。シャブリの古酒とはこれほどのスケールがあるのだと勉強になりました。」
【悪い口コミ】
「4年目の2014の開けたては硬くて良くない。そもそももっと熟成させるべきでしょう。時間経過で風味が広がり良くなりましたけどね。」
「せっかくのヴァンサン・ドーヴィサがブショネでは残念過ぎる。」
「しまった。ドーヴィサ好きすぎて我慢できなかったの。2年目では早すぎるのね。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 0%
美味しい 54%
普通 43%
良くない 3%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
一部の品質劣化以外では悪く評価する方は見られず、非常にバランスの良い品質である事が伝わってくる印象で、ラヴノーほどの感動はないまでも価格も考えれば、十分に満足で好感を持てるワインである傾向が読み取れました。
ただし、若すぎて硬いという方や開けたては良くなかったという評価もちらほらですから、ヴィンテージの確認や抜栓のタイミング、そして温度に配慮して広がる風味を楽しむべきとも感じました。
以上です。
ヴァンサン・ドーヴィサに興味を持っていただけましたでしょうか。
ん?元々興味がなければこの記事を読まないですか(笑)
スッキリ心地よい早飲みワインがシャブリのイメージですが、最高峰ともなると熟成にも耐えスケールの大きなワインになるのですね。
牡蠣にシャブリとはよく言いますが、それはステンレスタンクで造られたスッキリ系シャブリに当てはまるもので、このような深いワインに合わせると生臭みが際立ってしまいます。
どうしても牡蠣で合わせたいならば、バターソテーにした方がこのクラスのシャブリにはコクが広がる味わいがマッチして楽しめますね。
いろんな角度からヴァンサン・ドーヴィサを表現してみましたが、答えを知るには飲む以外に無いのも事実です。
トップクラスのシャブリを知る事は、あなたのワイン経験値をグッっとアップさせてくれる事でしょう。
あなたのワインのある生活が豊かになる事を願っております。
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