『自社のワインによってブルゴーニュ・ワイン全体の印象や評価が決まってしまう』
これは、それだけの責任を背負っている事を自覚している生産者の言葉です。
非常に生産量も多く、実際ルイ・ジャドのワインに出会う確率は高く、世界中の消費者にとって初めて飲むブルゴーニュ・ワインが弊社になるかも知れないと考えるルイ・ジャド。
言葉だけでなく、常に良いワインを生むための努力を継続しており、私を含め多くの方々に高評価されているワインを数多く生み出しています。
今回取り上げるワインはブーズロン。
ブーズロンのワインの中で、日本の一般消費者の方々に多く飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみた結果、ヴィレーヌほどの存在感はありませんでしたが、次に取り上げるべきワインを選ぶとすればルイ・ジャドであると、皆様の飲んだ感想を拝見してそう思いました。
そしてそれは、このエレガントなワインを口にして、アリゴテでもこのようなバランスが良く美しいワインが生まれるのだと体感した、私自身の経験にも由来するものでした。
話は少し変わりますが、ブルゴーニュの白と言えばシャルドネ。
しかし今回紹介する村名ブーズロンを名乗るには、アリゴテを使用しなければなりません。
ブルゴーニュ広域AOCであるブルゴーニュ・アリゴテに使用されるアリゴテ・ヴェール(緑のアリゴテ)と比べ、上質な果実を実らせるアリゴテ・ドレ(金のアリゴテ)のみが使用されるのがブーズロンであり、アリゴテとはボトルに書いてありませんから、一応心得ておいた方が良いでしょう。
《ワイン名》 ルイ・ジャド ブーズロン
《価格》
【2600~3500円】
《ブドウ品種》シャルドネ
《ボディ》 ライト~ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>コート・シャロネーズ>ブーズロン
《生産者》 ルイ・ジャド
《特徴》
透明感ある豊かさ
バランス感覚に優れた
ブーズロンの代表格
このワインの特徴は、透明感のあるふくよかな果実味に、美しい酸味や心地よい旨味、そして程良い樽の風味も加わったバランス感覚の良さにあり、ヴィレーヌのブーズロンも素晴らしいですが、ルイ・ジャドもブーズロンの代表格と言えるでしょう。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■ルイジャドの哲学■
「ぶどう畑は我々の持ち物ではありません。我々はただ、世話をしているだけです。」
この言葉からは、ルイ・ジャド社の決して奢ることない謙虚な姿勢が伝わり、テロワール(ブドウを取り巻く自然環境)の個性を最大限に引き出す努力を惜しまない哲学が込められています。
また、グラン・クリュクラスの上級ワインから、広域ブルゴーニュのカジュアルワインまで、エチケット(ラベル)デザインを全く変えていない事は、全てのラインナップのワインに対して、同じ情熱を込めているのだという姿勢が表現されているものであり、ブーズロンにおいても、アリゴテの持つエレガントな魅力を最大限に引き出していると言えるでしょう。
■自然派農法■
農薬や化学肥料を使用しない栽培を実践する事で、微生物の働きなども加わった健全で成分豊かな土壌が育まれ、その成分を吸い上げた上質な果実が実ります。
■丁寧な製造過程■
健全に成長したブドウの収穫は全て丁寧な手摘みによるもので、さらにワイナリーにおいても厳しい選果をクリアーした果実のみが醸造に使用され、雑味の無いクリアーな品質が維持されています。
■こだわりの樽■
熟成に大きな影響を与える樽にこだわり、自社で樽を製造する会社を設立するほどで、上質な素材を最低2年熟成させてから完成する上質な樽からは、主張しすぎることはありませんが、心地よいニュアンスが反映されたワインが誕生します。
【外観】
透明感のあるグリーンがかったイエローゴールド。
熟成が進むほど濃いゴールドに変化していきます。
【香り】
フレッシュなレモンや青リンゴに白い花などの、爽やかで華やかな香りが広がり、ほんのり甘い蜂蜜のニュアンスも感じられ、樽に由来するバターの風味も優しく広がります。
【味わい】
グレープフルーツなどの柑橘類の爽やかさに、白桃やトロピカルフルーツのフルーティな果実味は、ふくよかさも持ち合わせ、美しい酸と少しの苦味のアクセントが味わいをまとめ、心地よい樽の風味と上品な蜜のニュアンスを伴った余韻があります。
《飲む時の適正温度》
【8℃~12℃】
冷やし気味にすれば酸味が際立ちエレガントな飲み口になります。
温度を上げるほどふくらみのある風味の広がりを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から3~6年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ白のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2013年 4
2014年 5
2015年 3
2016年 4
2017年 5
《適正グラス》
【ふくらみのあるシャルドネグラス】
少し温度を上げることで広がる風味を楽しめますから、香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、ふくらみのあるグラスを選ぶことをおすすめします。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
カプレーゼ
アサリの白ワイン蒸し
など、比較的繊細な味わいから程良いコクを持つ料理に合わせることで、ワインと料理が互いを引き立て合う、美しいマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
品格を感じるワインではありませんが、カジュアルすぎることもなく、強くもないですが、弱いわけではない、絶妙なバランス感覚を持ったエレガントな白ワインです。
そして、高騰がちなブルゴーニュいおいては価格が抑えられているところも魅力的なワインですから、ちょっとだけ品の良いワインを選ぶ時の候補にいいですね。
また、シャルドネではなく上質なアリゴテの魅力を体感してみたい方は、アリゴテヴェールを使った広域のブルゴーニュ・アリゴテではなく、格上とされるアリゴテ・ドレを使ったブーズロンを選ぶべきでしょう。
もちろんルイジャドもいいですが、ロマネ・コンティの共同経営者であるヴィレーヌのブーズロンもおすすめできる品質です。
《こんな場合には不適切!?》
カリフォルニアワインのような、果実の凝縮感溢れるワインが好みの方や、そのようなワインを口にした後にブーズロンを口にすると、せっかくの上品でバランスの良い味わいを、薄く感じてしまう事もありそうです。
いくつかのワインを連続して楽しむ場合は、飲み順を意識する事で、より全てのワインを楽しめるのではないでしょうか。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
このワインにマイナスイメージを与える口コミは、見当たりませんでした。
【良い口コミ】
「アリゴテは酸っぱいと聞いてましたが、ブーズロンのアリゴテはちょっと違うんですね。酸はありますが全体のバランスが良く、コスパにも優れる素敵な品質でした。気軽なパーティーには重宝しそうな使いやすいワインです。」
「ルイジャドはラインナップが豊富だから面白い。3年熟成の2015は、個人的にシャブリと比べてもこちらが好みで上質にも思える。シロップに漬け込んだレモンのようなテイストにほどよい樽も心地よく、高騰がちなブルゴーニュにおいては、このようなアリゴテは狙い目かもしれませんね。」
「グリーンがかったイエロー。3年目の2015は黄色い花に蜜の香り、時間経過でバターの風味も漂う。味わいはドライな印象だが、やわらかな酸と共にほんのり甘味も感じ、時間が経つとバターのコクも現れる。アリゴテもなかなか侮れないね。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 0%
美味しい 47%
普通 53%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
強すぎず弱すぎない心地よいバランスを持った味わいへの好感を表す口コミがほとんど。他の生産者のワインは皆様がいろんな受け止め方をする事が多いのですが、このワインに関しては皆様が似たような感想を持たれており、感動しないまでも親しみやすく、良いワインだと感じている傾向が印象に残りました。
そして、このワインを飲んだ事がある私にとっても、それらの口コミは「確かにそうそう」と、納得できるものがあり、ルイジャドのバランスの良い造りと安定感を改めて確認する結果となりました。
以上です。
ルイ・ジャドはこれで何銘柄紹介したでしょうか。
あくまで、一般消費者の方々に評判が良かったから紹介しているのであり、ルイジャドの回し者ではありませんし、何も貰っていません。
つまり、優れた生産者という事なのでしょうし、それは私を含めルイ・ジャドのラインナップを口にしたことがある方であれば納得の結果とも言えるでしょう。
「ブルゴーニュは生産者が多すぎて、どれを選べばいいのよ!!もういや!!ワイン嫌い!!」
という方は、とりあえずルイ・ジャドを選びましょう。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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