「シャサーニュの隠れたスター」
知名度としてはそれほど高くないのかもしれませんが、シャサーニュ・モンラッシェにおいて、一般消費者の皆様の評判の高さは目を引くものがあり、紹介させていただいた事もありました。
今回は、そんな生産者が手掛ける上質ブルゴーニュ・ブランの紹介です。
さて、私は広域ブルゴーニュ・ブラン(白)を生み、日本で購入可能な主要生産者を90程ピックアップし、その中で多くの日本の消費者の方々に実際飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみました。
その結果、とても多くの方に飲まれ、高い満足度を獲得していると感じた生産者の一つにギィ・アミオがあました。
比較的手頃な価格のブルゴーニュ・ブランですが、価格以上のクオリティは非常に高い満足度を獲得しており、紹介すべきと感じました。
その他に特にそのような条件を満たしていると感じたのは、
■バシュレ・モノ
■ルー・デュモン
■トロ・ボー
■ジョセフ・ドルーアン
以上の生産者達でした。
※他にも《ソゼ》《フランソワ・カリヨン》《ジャン・マルク・ボワイヨ》をはじめとする、15ほど好評な生産者はいましたが、あえて絞らせてもらいました。
シャサーニュ・モンラッシェに4代続く歴史ある生産者で、3代目のギィに代わって、現在はふたりの息子、ティエリーとファブリスがドメーヌの運営を担っており、熟度の高いブドウによるリッチなワインで飲み手を魅了しています。
《ワイン名》 ギイ・アミオ・エ・フィス ブルゴーニュ シャルドネ
《価格》
【3000~4000円】
《ブドウ品種》シャルドネ
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ
《生産者》 ギイ・アミオ・エ・フィス
《味わいの特徴》
芳醇かつ上品、ワンランク上の
コスパブルゴーニュ
このワインの特徴は、豊かな果実味に優しい樽の風味も加わったリッチさが感じられる品質にあり、透明感のある味わいに適度な美しい酸、そして上級ワインにある凛と筋の通ったようなミネラル感も垣間見られる品質は、上品さも兼ね備えたワンランク上の味わいがあります。
またそのような良質ワインが、比較的手頃な価格で購入できるコスパの良さも嬉しい特徴の一つと言えるでしょう。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■優れた環境■
上質なシャルドネを生むテロワール(ブドウを取り巻く自然環境の全て)が整ったシャサーニュ・モンラッシェ村の畑のブドウが使用されます。
豊かな日照により果実は熟し、粘土石灰質土壌に由来する肉厚な果実感や、鉱物的なミネラル感のある品質は、並のブルゴーニュ・ブランとは一味違った味わいを表現しています。
■リュット・レゾネ■
化学肥料や農薬を極力使用しない減農薬農法(リュット・レゾネ)を実践することで、微生物の働きなどにより健全で成分豊かな土壌が育ち、その土地の成分を吸い上げた上質なブドウが実ります。
■遅摘みのブドウ■
ブドウが完熟してから収穫を行うのがギィ・アミオの特徴であり、そのような理由からも果実味豊かな味わいになりますが、豊富なミネラルと酸がある事で果実感と上品さを両立したワインが生まれます。
■丁寧な手摘み収穫■
手間とコストは掛かりますが手摘み収穫を実践することで、状態の悪いブドウと混同される事もなく健全な状態が保たれ、清潔感のあるワインが生まれます。
■程良い樽感■
樽のニュアンスが反映されやすい新樽の使用比率は0%で、全て古樽を使用しますが、ふくよかな樽の風味も感じられるワインを生んでおり、近年樽香を抑え気味のブルゴーニュ生産者の傾向の中においては、比較的樽の風味は豊かな生産者と言えるでしょう。
【外観】
輝くレモンゴールド
【香り】
柑橘類や白い花の爽やかで華やかな香りに、青リンゴやラフランスのフルーティな香り、ほんのり上品なハチミツやナッツ類のニュアンスも感じられます。
そして樽に由来するバターやトースト香も優しく広がります。
【味わい】
柑橘類などの爽やかさを持った果実味は厚みがあり、少しの苦味がアクセントになり、適度な酸が味わいをまとめます。
凛とした鉱物的なミネラル感は心地よい旨味を伴い、樽に由来するバターやトーストのニュアンスも加わり、ほんのり上品な蜜の風味を残したな余韻が続きます。
《飲む時の適正温度》
【8℃~14℃】
冷やし気味にすれば酸味が際立ちエレガントさが増します。
温度を上げるほどふくよかで複雑な風味の広がりを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から2~10年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ白のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2010年 5
2011年 4
2012年 3
2013年 4
2014年 5
2015年 3
2016年 4
2017年 5
《適正グラス》
【ふくらみのあるシャルドネグラス】
少し温度を上げることで広がる風味を楽しめますから、香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、ふくらみのあるグラスを選ぶことをおすすめします。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
地鶏のタタキをレモンと塩で
白身魚のグリルをレモンバターソースで
など、比較的コクのある料理などと合わせることで、豊かな風味とコクの広がりある楽しいマリアージュになるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
シャサーニュ・モンラッシェの片鱗を感じさせる味わいは、ワンランク上のブルゴーニュ・ブランです。
贅沢とまではいかないまでも、ちょっと良い白ワインを飲みたい時の候補に向いているでしょう。
隠れた優良生産者という事で、ワインへの興味が高い方とのワイン会に持参したり、そのような方への手土産などにしても、活躍が期待できる優れたコスパブルゴーニュです。
《こんな場合には不適切!?》
特に不適切な場面も思いつかないほどバランスの良いワインですが、熟成させる場合は適切な保存は必須、直射日光や高温は避けましょう。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「4年熟成の2013はフレッシュ&フルーティでじわっとミネラル旨味も後半にある。ただ時間経過で風味が弱まったような気がするな~。」
「しまった!!ドンペリの後では良いものでも霞んでしまうよ!!」
【良い口コミ】
「ちょっと高めの温度で飲むと甘味のあるふくよか~な味わいが広がります。少しの苦味はいい意味でアクセントになっていて。あ~美味し~って感じです。2年熟成2013。」
「噂を聞き購入。4年熟成の2011はとてもフルーティで、ナッツやバタートーストのような樽の優しい風味に上品な蜜の甘さもあり美味しい。稀に見るコスパワインでした。」
「2年熟成2014。久々に飲んだけど、ミネラル豊富で優しくてね~。値段を考えたら喜ぶしかありません。(笑)」
「これはACブルゴーニュのレベルではない。シャサーニュは言い過ぎ!?3年熟成の2014はクオリティーの高い酸に、カスタードのような魅惑的な風味。ただただ感謝します。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 0%
美味しい 57%
普通 43%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
比較的手頃な価格帯のブルゴーニュ・ブランという事で、感動を覚えるほどの品質ではありませんが、価格以上の味わいに高い満足感を得た方が多かった印象です。
冷やし気味で酸が際立ち軽快な飲み口、飲み進めるほどに温度も上昇し、甘味や風味が高まる飲み口が楽しめるという事で、隙の少ないバランス感覚も持ち合わせており、品質自体を悪く評価するコメントも見当たりませんでした。
トロ・ボーやバシュレ・モノも際立つブルゴーニュ・ブランを生産していますが、もう少し手頃でという事であれば、このワインは必ず候補に入れるべきと感じる結果となりました。
具体的コメントはありませんでしたが、14年熟成のこのワインに高評価を与える方もいらっしゃるという事で、熟成ポテンシャルへの期待も見込めるワインだと推測されます。
以上です。
ワインはお酒であり、楽しむもの。
日々の暮らしの中では様々なストレスを感じて、疲れたりしてしまう事も多いでしょう。
そんな疲れた心に、そっとワインが寄り添い気分が和らげば、明日もまた頑張ろうと思えるのではないでしょうか。
※稀にワインが口に合わずストレス増加も!?
さておき、ワインの知識と味わいを含めた奥深さは別格。
単純に味わう楽しみ方はもちろん素敵ですが、産地や品種、あるいは生産者にヴィンテージ、そして時代と共に進化する味わいなど、知識と共に楽しむことができる大人の嗜みの代表格ではないかと思います。
そんなワインが、ストレス多き現代を少しでも良い方向に導いてくれればいいなと思うこの頃です。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
コメント