自然派で伝統的手法を実践し、男性的魅力を発揮するバローロ。
口コミの量(vinica)こそ多くはありませんでしたが、骨格ある味わいと複雑で深みのある味わいは多くの方を満足させている印象。
中価格帯のバローロの中では、ジョバンニ カノーニカ、ドメニコ クレリコ、アゼリアと並んで押えておくべき優れたバローロだと感じました。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》カヴァロット バローロ ブリッコ ボスキス
《価格》
【9000~12000円】
《ブドウ品種》ネッビオーロ
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 イタリア>ピエモンテ州
《生産者》 カヴァロット
カヴァロットは1928年創業の家族経営の小さなワイナリー。
ワイン評論家のロバートパーカー氏には「伝統製法にこだわる非凡な造り手」と絶賛されており、2020年現在4世代にわたって優れた畑とワイン造りを引き継いでいます。また、自然を敬う心があるカヴァロットは、農薬や人口酵母などを使わない自然派の生産者としても知られており、土地の個性を表現した滋味深いワインを生産しています。
ワイン評論家であるアントニオ・ガローニ氏からも「あまり知られていないが、最も偉大なバローロの造り手の1人」と讃えられる生産者です。
《味わいの特徴》
洗練され力強く複雑
端正な魅力を持った
男性的バローロ
このワインの特徴は、舌を縮めるような豊富なタンニンと、果実や花に加えドライフラワーや革製品やタバコなど複雑な風味が広がる味わいにあります。
また、洗練された雑味の無さからは無駄が排除された印象で、端正な男性的魅力を発揮しています。
そして、熟成するほどに成分は溶け合い滑らかな質感になり、円熟した魅力が増した味わいからは優しさやエレガントさが感じられるようになります。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■品種の個性■
バローロに使用されるネッビオーロは、ピノノワールに近い透明感のある色調。そして強めの酸と収斂(しゅうれん)性のあるタンニンが特徴的で、適度な果実味と出汁の効いたような旨味が感じられます。
長期熟成で酸やタンニンはワインに溶け込むことでしなやかさが増し、タバコ、トリュフ、革製品など複雑な風味を伴った深い味わいが現れてきます。
■恵まれた環境■
このワインに使用されるブリッコ ボスキスの丘のブドウ畑には、恵まれた環境があります。
- 《抜群の日照量》
日照はブドウの熟度を高め、豊潤な果実味をもたらします。 - 《寒暖差》
冬の寒さは綺麗な酸を、温暖な夏は豊潤な果実味をもたらす効果があり、バランス良い味わいを生みます。
■ヴィエイユ ヴィーニュ■
古木(ヴィエイユ ヴィーニュ)は若い樹にくらべ根が地中深くまで伸びており、土地の成分を吸いあげる能力が高く、成分豊かで上質なワインを生みます。
このワインには古いものでは70年を超える古木のブドウが使用されます。
■自然派■
栽培においては農薬を使いません。
土地の自然酵母など様々な生物の働きが加わった土壌は健全で成分豊かな状態になり、その成分を吸い上げたブドウは滋味深い味わいを持ったワインを生みます。
また、醸造においても人口酵母を添加するのではなく、天然酵母の働きによって発酵。さらに土地の個性を反映した味わい深さを生む要因の一つとなっています。
■伝統的手法■
バローロの伝統的手法と呼ばれる《長期マセラシオン》《大樽での長期熟成》を行います。
- 《長期間のマセラシオン》
酸化により腐葉土や革製品など複雑な風味を生む。 - 《大樽での長期熟成》
酸やタンニンを残し、長熟にも向く骨格ある味わいを生む。
以上の効果があり、複雑で男性的な骨格あるバローロが生まれます。
そして熟成によって成分は溶け合い、滑らかさや穏やかさが増した優雅さが現れてきます。
※モダン派生産者が使用する小樽(バリック)はタンニンや酸をマイルドにする効果があり、若くしても楽しめる傾向。
【外観】
ガーネットを帯びた深みのあるルビーレッド
熟成するほど淡いレンガ色に近づきます
【香り】
熟したチェリーやプルーンなどの果実香に、スミレやバラの華やかさ。革製品、ドライフラワー、煙草などの香りも加わり、複雑で落ち着きある香りが広がります。
【味わい】
ネッビオーロらしい舌を収縮させるようなタンニンは骨格ある味わいを表現しますが、粗さは無くシルキーで、適度なコクと厚みのある果実味と相まってバランス良い味わい。綺麗な酸が味わいをまとめると、果実、ドライフラワー、革製品など複雑な風味を残した長い余韻があります。
熟成するほど酸やタンニンは溶け合い滑らかさは増し、円熟した果実味やコクが広がるエレガントさが際立ってきます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
やや冷やし気味にすれば引き締まった印象。酸やタンニンが際立ちます。
温度を上げるほど穏やかな印象。甘味や複雑な風味の広がりが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~25年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
参考までに、ピエモンテ州のヴィンテージチャートも載せておきます。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1995年 3
1996年 5
1997年 4
1998年 4
1999年 4
2000年 5
2001年 5
2002年 2
2003年 3
2004年 5
2005年 4
2006年 4
2007年 5
2008年 4
2009年 3
2010年 5
2011年 4
2012年 4
2013年 4
2014年 3
2015年 3
2016年 5
2017年 3
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
複雑でエレガントな香りと、繊細かつ奥深い味わい持ったワインです。
香りが取りやすく、甘味を感じやすい形状に設計されたバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
牛肉の赤ワイン煮込み
鴨鍋
気品と風格を持ち合わせたバローロです。
合わせる料理も上質で深みのある味わいを持ったものが適切で、ワインの複雑な風味は野性味のあるジビエ料理ともマッチします。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
6年熟成の2011は頑固おやじみたいで可愛くない。もう少し優しい味わいが良いかな。ま、普通かな。
ぼちぼちな印象。5年熟成の2015は青っぽいニュアンスが気になる。雑味は無くてキレイなんだけど、旨味が不足しているような。。。牛肉やチーズやスイーツなど色々試したけど、引き立て合うことはありませんでしたね。やはりフランスワインには及ばないのかな。
【良い口コミ】
7年熟成の2013のマグナムをグラスでいただきました!!オレンジを帯びた透明感のあるルビーレッド。黒系果実、花、革、土など複雑な芳香。主張はしてこないが落ち着きのある味わいは壮年の王の風格。適度な果実味に角の取れた酸とタンニンが溶け込んだ円熟味。いいタイミングでした!!
2015は5年熟成で早すぎたかな~とも思っていたけど。トゲトゲしさもなく滑らかな味わいで、エレガントなブルゴーニュを思わせる複雑で出汁が効いたような旨味。後口で舌をギュッと縮めるような渋味はブルゴーニュと違ったバローロらしさ。これだからバローロはやめられませんね~~♪
2日かけて変化する味わいを楽しむことをおすすめする。8年熟成の2012はプラムやベリー系の果実を酸が引き締めるスッキリ系の味わいで、2時間も経てばまろやかなテイストに。翌日にはさらにコクが増し、酸やタンニンが溶け込んだまろやかさが増します。変化を噛み締める幸せな時間でしたよ。
女性的なエレガントさというよりは、端正で頼りがいのある男性的魅力を持ったバローロ。複雑で落ち着きを感じる香りと、骨格あるタンニンがありつつ果実味や酸とのバランスも良い。余韻もとても長くてスッゴイ好みです♪
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 17%
美味しい 70%
普通 13%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
男性的な骨格や、複雑で奥深さがある伝統派のバローロらしい味わい傾向。
若い場合は若干硬く否定的なコメントもありますが、若い段階から風格とバランスが整った味わいに好感を持つ方のほうが多い傾向。熟成するほど角が取れた円熟味が増し、感動的評価を与える方も見られるほど満足度は上がる傾向です。
10年以上の熟成物に対するコメントはありませんでしたが、素晴らしい熟成酒になる事は想像に易いでしょう。
女性的な繊細さや上品さを求めるというよりは、落ち着きや風格が感じられるような男性的魅力が感じられるバローロだと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
カヴァロット バローロ ブリッコ ボスキスは
【価格】
9000~12000円
【味】
洗練され力強く複雑。端正な魅力を持った男性的バローロ。
熟成で円熟した魅力が現れる。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~25年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1995年 3
1996年 5
1997年 4
1998年 4
1999年 4
2000年 5
2001年 5
2002年 2
2003年 3
2004年 5
2005年 4
2006年 4
2007年 5
2008年 4
2009年 3
2010年 5
2011年 4
2012年 4
2013年 4
2014年 3
2015年 3
2016年 5
2017年 3
【口コミ】
若い場合は若干硬く否定的なコメントもあるが、若い段階から風格とバランスが整った味わいに好感を持つ方のほうが多い傾向。
熟成するほど角が取れた円熟味が増し、感動的評価を与える方も見られるほど満足度は上がる傾向。
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