長い歴史を持つ由緒ある生産者。
プイィ・フュイッセの顔とも呼ばれる生産者であり、その品質の高さは評論家はもちろん、日本の一般消費者の方々にも評価されています。
豊潤かつ繊細で手頃な価格帯のワインを生むプイィ・フュイッセは、高級ワインを生むブルゴーニュ北部ではなく、南部側のマコネ地区の中心に位置する村名ワイン。
そんなプイィ・フュイッセにおいて、日本の一般消費者の方々に多く飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうと客観的視点から調べてみた結果、購入可能で口コミもそこそこある約30の生産者のワインの中でも、
■ドメーヌ J・A フェレ
■シャトー・ド・フュイッセ
■ドメーヌ・コルディエ・ペール・エ・フィス
以上の生産者が、特にそのような条件を満たしていると感じました。
今回はその一つであるシャトー・ド・フュイッセの紹介で、いくつか存在するラインナップの中でも、最良の区画を選び抜きアッサンブラージュ(混ぜて)造られる「テット・ド・クリュ」が特に目を引く評価を獲得していると感じたわけです。
1604年からの長い歴史を持つ由緒ある生産者であり、現在はアントワーヌ・ヴァンサン氏が社長として醸造を担当しており、緻密な管理と、区画ごとの特性を最大限に引き出す造りは多くの人々を魅了しており、プイィ・フュイッセにおけるトップ生産者の地位を守り続けています。
《ワイン名》 シャトー・ド・フュイッセ プイイ・フュイッセ テート・ド・クリュ
《価格》
【およそ4500円前後】
《ブドウ品種》シャルドネ
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>マコネ>プイィ・フュイッセ
《生産者》 シャトー・ド・フュイッセ
《特徴》
溢れる果実味
質の高い酸とミネラルを持つ
芳醇な品質
このワインの特徴は、凝縮感のある豊かな果実の風味と、優しい樽の風味が加わった芳醇な品質にありますが、ブルゴーニュらしい美しく適度な酸や、鉱物的なニュアンスを感じるミネラル感は、上品な質感も感じられる点にあり、ほどよい熟成を経ることで、より円熟味の増したワインにも成長していきます。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■プイィ・フュイッセのテロワール■
プイィ・フュイッセの豊富な日照量に由来する豊潤な果実味に適度な美しい酸、そして石灰粘土質土壌に由来する豊富なミネラルも特徴的で、石や金属に塩気を感じるようなミネラル感は、味わいに気品と深みを与えてくれます。
■リュット・レゾネ■
化学肥料や農薬を極力使用しない減農薬農法(リュット・レゾネ)を実践することで、微生物の働きなどにより健全で成分豊かな土壌が育ち、その土地の成分を吸い上げた上質なブドウが実ります。
■緻密な醸造■
最良の区画を選び抜きアッサンブラージュ(混ぜて)造られるのが、この「テット・ド・クリュ」であり、区画の特性を最大限に引き出すために、土壌や日照などを科学的に分析し、それぞれの区画に適した醸造を実施しています。
そうすることで、より成分が充実し複雑かつクリアーな品質のワインが誕生します。
■心地よい樽■
樽の風味が反映されやすい新樽の使用比率はおよそ20%。
樽が主張しすぎることはありませんが、心地よく広がる樽の風味が感じられるワインを生んでいます。
【外観】
輝くレモンゴールド
【香り】
リンゴに白桃にグレープフルーツなどの豊潤な果実の香りに、白い花の華やかさや樽の芳ばしいニュアンスが広がりを見せます。
【味わい】
ふくよかでボリューム感のある果実味が広がりを見せ、ほんのり甘い上品な蜜のニュアンスが伴います。
適度で美しい酸や、旨味を伴ったミネラル分からは上品さが感じられ、豊潤な果実感に程よい樽の風味を伴った余韻へと導いてくれます。
《飲む時の適正温度》
【8℃~14℃】
冷やし気味にすれば軽快さが増し、エレガントさのある飲み口になります。
温度を上げるほど穏やかな風味の広がる優雅な味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
飲み頃はブドウ収穫年から
【およそ3年~12年】
一般的傾向や飲んだ方の評価傾向から推測すると、これくらいではないかという個人的見解です。
良いヴィンテージのワインほど、飲み頃になるのが遅く長期熟成にも向き、
難しいヴィンテージほど、比較的早くから楽しめ飲み頃の期間は短くなる傾向です。
ヴィンテージによって飲み頃にも差がありますから、ヴィンテージチャートも載せておきます。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2010年 5
2011年 4
2012年 3
2013年 4
2014年 5
2015年 3
2016年 4
2017年 5
※ワインの飲み頃についての知識は、
第10回【品種・タイプ別 赤ワイン・白ワインの飲み頃】
でも確認できます。
《適正グラス》
【ふくらみのあるシャルドネグラス】
少し温度を上げることで広がる風味を楽しめますから、香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、ふくらみのあるグラスを選ぶことをおすすめします。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
キノコのリゾット
ホタテバター
など、ほどよくコクのある料理などと合わせることで、やさしい風味とコクの広がりある優美なマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
シャブリやサンセールほどスッキリしたのも嫌!!
かと言ってニューワールド系の果実味満載も嫌!!
そんな方に、中間程度のふくよかさと上品さを兼ね備えたこのワインをおすすめします。
価格も品質も程良いワインであり、ちょっとしたプレゼント、あるいはちょっと贅沢を楽しみたい時など、様々な場面で活躍が期待できる優れ者と言えるでしょう。
《こんな場合には不適切!?》
シャブリやサンセールのようなスッキリしたのが好き!!
あるいはニューワールド系の果実味満載が好き!!
そんな方は、それを選びましょう(笑)
このワインは中間程度のボリューム感と上品さを持ったバランス型と言えます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「樽も効いていて普通に美味しいシャルドネ。特に特筆すべき感動もありませんが・・。」
「6年熟成の2013はクリアーな味わいでありつつ樽感が豊か。悪くありませんが、私には少しくどく感じます。」
【良い口コミ】
「マコネ地区のカジュアルなワインは酸に透明感が足りない傾向がありますが、このワインは違いますね。流石この地区を代表するだけの品質で、透明感ある6年熟成の2012でした。」
「10年の熟成を経た06は輝くゴールドで、まるで貴腐ワインのような佇まい。最高の時間をありがとう。」
「しっかりコクが感じられマッタリ系のワインだけど、スッキリとした部分も垣間見せる。6年熟成の2011はクリーム系料理との相性も良く、コスパも良いと感じました。」
「5年熟成の2012は凝縮された果実感と、ミネラルのバランスがとっても素敵ですぅ~。また飲みたい💛」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 7%
美味しい 56%
普通 33%
良くない 4%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
プイィ・フュイッセらしいボリューム感ある果実味と、ほどよい酸にミネラルや樽の効いた造りに好感を持った方が多いですが、スッキリと繊細なワインが好みの方には少しくどいと感じさせる場合もあるようです。
とは言うものの、全体的印象としては果実味や樽感は豊富ながら、ブルゴーニュらしさも持ったリッチな味わいへの評価は高く、10年程度の熟成物の円熟した味わいに、非常に高い評価があったことも印象に残りました
以上です。
いかがでしょうか。
人生は楽しむためにあると言いますが、ワインはそれを叶えるための最高の選択肢の一つだと感じるこの頃です。
追求すればするほど奥が深く、掴みきれないところがまた魅力的でもあり、最高の大人の嗜みと呼ばれる所以がそこにあるのだとも感じます。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
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