アマローネの頂点。
ジュゼッペ クインタレッリと並んで価格も別格ですが、その味わいも然り。
口コミ量こそ少ない銘柄でしたが、分析能力に長けた方々のコメントの熱量からは、ダル フォルノ ロマーノが最も優れたアマローネを造っていると感じました。
※あくまで個人的解釈で、クインタレッリも比肩するくらい素晴らしいと感じました。
アマローネに限らず、イタリアを代表する上級ワインを楽しむ時の候補に持っておきたい特別な銘柄と言えるでしょう。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》ダル フォルノ ロマーノ アマローネ
《価格》
【3,8~5万】
《ブドウ品種》
・コルヴィーナ
・ロンディネッラ
・クロアティーナ
《ボディ》 フルボディ
《甘辛》 やや甘口
《産地》 イタリア>ヴェネト州
《生産者》 ダル フォルノ ロマーノ
アマローネの頂点でありイタリアを代表する生産者のひとつがダル フォルノ ロマーノ。 農業を家業とする家に1957年に生まれたダルフォルノロマーノ氏は、小さい頃から農業を手伝い基礎を学び、農業専門学校を卒業します。
ロマーノ氏は当時の農業を状況を見て「なぜ自分のスタイル、品質向上の努力、改革、実験、リサーチなどを行わないのか? また自分の生き様を表現しないのか?」との疑問を持ったと言います。 そんなロマーノ氏は1980年代初頭に、アマローネの偉大な生産者であるジュゼッペ クインタレッリ氏と出会い「これが自分の進むべき道」と直感。同氏と頻繁に会うようになり、親子のような関係となります。 こうしてロマーノ氏は農業の経験と、クインタレッリ氏の助言を武器に低収量を試みるなど、良いワインを造るための新たな試みを次々実施。
苦難や忍耐も多かったと言いますが、1983年にアマローネをリリース開始し品質は向上。
「アマローネの最高傑作」「アマローネの神様」
と呼ばれるほどに成長し、2021年現在は3人の息子達もワイナリーに参画し世代交代もしっかりと出来ています。 ※詳しくはモトックス様のページで。
《味わいの特徴》
アマローネの頂点
パワフルで甘美かつ上品
このワインの特徴は、凝縮された果実味や高いアルコール度数に由来する類い稀なパワフルさや甘美がありつつ、非常に洗練されたピュアな味わいは雑味なく、透明感や軽やかさも同時に感じられるところ。
アマローネの頂点にふさわしい別格の味わいがあります。
【外観】
中心部が黒に近い赤紫
【香り】
非常にパワフルかつ清潔感のある芳香。プルーン、煮詰めたジャム、ドライフルーツなどの円熟した果実香を主体に、ブラックペッパーやクローヴなどのスパイス香。樽に由来するエスプレッソやチョコレートなどのニュアンスに、革製品のような熟成香も加わり、それらが一体となった複雑で魅惑的な芳香に包まれます。
【味わい】
凝縮感溢れる果実味は、高いアルコール度数による甘味と共にパワフルかつ甘美な味わい。豊富なタンニンはキメが細かく、骨格を与えつつマイルドな飲み口を表現しており、上質な酸味は上品に味わいをまとめます。非常に洗練された果実だとわかる雑味の無い味わいは、非常にパワフルながら透明感や軽やかさすら感じるもので、複雑な風味や深いコクを伴った魅惑的な余韻が続きます。
それでは、そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■収量制限■
剪定等で収穫量をあえて少なくすることで、残されたブドウに成分が集中。
凝縮感溢れるワインを生む要因の一つになっています。
■徹底的な選果■
非常に緻密で厳格な選果をすることで知られるダルフォルノ ロマーノ。
栽培の段階では、不健全な実や日当たりや風通しの妨げとなる葉や枝をどんどん剪定し、収穫時でも少しでも傷があるなど不健全なブドウは徹底的に排除します。
そうして選び抜かれた、ブドウは充実感がありつつ洗練された雑味の無い味わいを生みます。
■陰干ブドウ■
アマローネには収穫してから3ヶ月程度陰干され、水分が30~40%抜けた干しブドウ状態のものが使用されます。
水分が抜け糖分やポリフェノールが凝縮されたブドウは濃厚な味わいを生み、アルコール発酵は酵母の働きで糖分がアルコールに変化する現象のため、必然的にアルコール度数も高くなり(17%程度)パワフルな飲み口を表現します。
15~15.5%あたりがアマローネの平均的アルコール度数で、17%にもなることはブドウの成分の充実ぶりが窺い知れます。
■画期的なアパッシメント設備■
近年導入したアパッシメント(ブドウの陰干し)設備は画期的。
コンピュータ管理による均等な送風や湿度調節機能があり、ムラがが出てしまう事も多いアパッシメントにおいても完璧な状態を維持。
また、酸化ニュアンスを出したくないロマーノ氏は、発酵においてもできる限り空気接触をさせないように、特別に設計された設備を整えています。
■長期樽熟成■
醸造を終えたワインは、新樽の小樽(バリック)で3年熟成させます。
樽のニュアンスが反映しやすいのは古樽よりも新樽、大樽よりも小樽。
したがって、コーヒーやチョコレートなどの樽のニュアンスが豊かに反映されますが、凝縮感溢れる果実味とのバランス感覚にも優れています。
また、酸やタンニンをマイルドにするのも小樽の特徴で、3年間熟成されたワインは角の取れたまとまりある味わいを表現します。
《飲む時の適正温度》
【14℃~20℃】
少し低めの温度にすれば酸が際立ち引き締まった印象。上品な飲み口が楽しめます。
温度を上げるほど果実感や複雑な風味が広がり、ボリューム感のある優雅な味わいが楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から7~35年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
参考までに、アマローネのヴィンテージチャートと評価誌の得点も載せておきます。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1996年 ?WA99
1997年 ?WA99
2000年 3
2001年 4
2002年 3
2003年 3
2004年 4WA98+
2005年 4
2006年 4
2007年 4
2008年 4WA95
2009年 4
2010年 4WA98
2011年 3WA96
2012年 3JS97
2013年 4WA98
2014年 3
2015年 4
2016年 4
2017年 3
2018年 3
WA=ワインアドヴォケイト
JS=ジェームズサックリング
《適正グラス》
【チューリップ型ボルドーグラス】
香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計されたボルドーグラスを選ぶことで、芳醇な香りと甘美な味わいをバランス良く感じやすくなります。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
和牛ステーキをバルサミコソースで
ブルーチーズ
など、コクの深い食材や味付けの施された料理との相性が良く、充実感溢れるワインと料理が互いの味わいを引き立てあいます。
また、アマローネの甘美さは塩味の強いブルーチーズやウオッシュチーズなどとの相性も良く、チーズの塩味がワインの甘味を引き立て、またワインの甘味がチーズの旨味を引き立て合う相乗効果が楽しめます。
逆に繊細な味わいを持った和食(刺身・鮮魚の塩焼き・寿司)などに合わせてしまうと、ワインの味わいが強すぎて料理の味わいが感じにくくなるためおすすめしません。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【ネガティブな口コミ】
15年熟成の01は雑味少なく甘味と苦味のバランスが絶妙で美味しい。でもマグナムで15万は高すぎる。
【良い口コミ】
7年熟成の08は凝縮感溢れる味わい。あらゆる黒系果実とエスプレッソのニュアンスは重厚で秀逸で、さらに熟成させればどれほどのものになるのだろう。。。
Alc17%。樹1本あたりグラス1杯。7年熟成の2010のインパクトは強烈で、若いナパやボルドーもこのワインの前では霞む。
アマローネの中でもジュゼッペクインタレッリと、このダルフォルノだけは別格だってことがよくわかった!21年熟成の97は角が無く、懐の深さを感じる素晴らしい味わいでした。
オーパスワンやブルゴーニュも素晴らしいが、このアマローネの甘美さはもはやエロチック。13年熟成の01には私をクラクラさせるような妖艶な魅力がある。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 50%
美味しい 33%
普通 17%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
かなり高額で口コミ量も少ない銘柄ですが、非常に経験豊富なワインラバーの方々がこのワインを口にしている印象。
その信憑性の高い口コミ内容から、類い稀な凝縮感や甘美さを持ったワインである事がよく伝わってきました。
価格も別格ですが味わいも然りで、アマローネの頂点と呼べる銘柄と感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ダル フォルノ ロマーノ アマローネは
【価格】
3,8~5万
【味】
凝縮された果実味や高いアルコール度数に由来する類い稀なパワフルさや甘美がありつつ、非常に洗練されたピュアな味わいは雑味なく、透明感や軽やかさも同時に感じられる。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から7~35年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
アマローネのヴィンテージチャートと評価誌の得点は以下の通り。
良い年ほど成分が充実し、飲み頃になるのは遅いが長期熟成に向く。
難しい年ほど成分はやや希薄になり、早く飲み頃に達するが長期熟成には向かない傾向。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1996年 ?WA99
1997年 ?WA99
2000年 3
2001年 4
2002年 3
2003年 3
2004年 4WA98+
2005年 4
2006年 4
2007年 4
2008年 4WA95
2009年 4
2010年 4WA98
2011年 3WA96
2012年 3JS97
2013年 4WA98
2014年 3
2015年 4
2016年 4
2017年 3
2018年 3
WA=ワインアドヴォケイト
JS=ジェームズサックリング
【口コミ】
高額で口コミ量こそ少ない銘柄だが、非常に経験豊富なワインラバーの方々がこのワインを口にしている印象。
その信憑性の高い口コミ内容から、類い稀な凝縮感や甘美さを持ったワインである事がよくわかる。
価格も別格だが味わいも然りで、アマローネの頂点と呼べる銘柄と感じた。
以上です。
最高峰のアマローネの味わいのイメージは広がりましたでしょうか。
情報などの先入観無しでワインを飲むのも楽しいですが、調べ尽くしてある程度イメージを造ってから飲んでみるのも楽しいですね。
予想通りでも的中した感じがして嬉しいですし、違っても「こう来たか」と楽しめます。
さておき、高額なダルフォルノロマーノでしたがDOCヴァルポリチェッラも生産しており、こちらも非常にパワフルで好評。価格もアマローネの半額以下ですから(それでも1万越えですが。。。)選択肢に持っておいても楽しそうです。
あなたのワイン選びの一助になれれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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