こんにちは。
二十歳の大学生アルバイトに田中邦衛を知らないと言われ、ジェネレーションギャップを感じる加藤です。
さて、今回は「上品な花」とも形容されるサンヴェランのワインの紹介です。
豊潤で親しみやすく手頃な価格帯のワインを生むサン・ヴェランは、高級ワインを生むブルゴーニュ北部ではなく、南部側のマコネ地区の中心に位置する村名ワイン。
そんなサン・ヴェランにおいて、日本の一般消費者の方々に多く飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうと客観的視点から調べてみた結果、購入可能で口コミもそこそこある約20の生産者のワインの中でも、ダニエル・エ・ジュリアン・バローは際立つ存在感を放っていました。
大手の【ルイ・ジャド】や【ジョセフ・ドルーアン】に【ドメーヌ ド ラ クルーズ】などのワインも悪くはなかったのですが、バローほどではありませんでした。
※しかしルイジャドのサンヴェランはとても上品な蜜感もあり個人的にはおすすめです。
というわけで、サンヴェランにおいては、唯一ダニエル・エ・ジュリアン・バローだけを紹介させていただく事になりました。
ここで簡単に歴史です。
1890年、マコネ地区のヴェルジッソン村に創業した歴史あるドメーヌ。
1995年、4代目のダニエルは畑を相続する13年前(1982)に、妻マルティーヌともドメーヌを立ち上げる。
2006年、5代目のジュリアン氏がドメーヌ入りし現在に至る。
※このような経緯もありラベルには、ダニエル・エ・ジュリアン・バローやダニエル・エ・マルティーヌ・バローが混在するようですが、実質は同じで、2017以降はドメーヌ・バローになっているという事です。
テロワールを表現した完成度の高いワインは、評論家はもちろん日本の一般消費者の方々にも非常に高い評価を獲得している生産者で、マコネ地区を代表する生産者の一つと言えます。
《ワイン名》 ダニエル・エ・ジュリアン・バロー サン・ヴェラン アン・クレシェ
《価格》
【3300~3600円】
《ブドウ品種》シャルドネ
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>マコネ>サン・ヴェラン
《生産者》 ダニエル・エ・ジュリアン・バロー
《特徴》
豊潤さと上品さを併せ持つ
コスパブルゴーニュ
このワインの特徴は、豊潤な果実の風味を美しい酸味がまとめる味わいにありますが、クオリティーの高い果実味は雑味無く、豊富なミネラル感や程良い樽の風味が感じられる質感は上品さも併せ持っているところです。
また、価格以上の品質の高さも嬉しい特徴の一つと言えるでしょう。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■サンヴェランのテロワール■
豊富な日照に由来する穏やかで豊潤な果実味と美しい酸、またウミユリ石灰岩と呼ばれるミネラル豊富な土壌に由来する、凛とした鉱物的なミネラル感があるワインが誕生します。
■ビオロジック農法■
化学肥料や農薬を使用しないビオロジック農法の実践で、微生物の働きなどが活発になり、健全で成分豊かな土壌が育ち、その豊かなミネラルなどの成分を吸い上げ土壌の特徴を反映した、ピュアなワインを生むブドウが得られます。
■丁寧な手摘み収穫■
コストのかからない機械収穫が主流のマコネ地区において、丁寧な手摘み収穫を実施しており、果実は傷付かず、状態の良いブドウを得る事ができます。
■ほどよい樽■
樽のニュアンスを反映されやすい新樽の使用比率はおよそ25~30%。
豊潤な果実味を優しく包むような、心地よい樽の風味が感じられます。
【外観】
輝くレモンゴールド
【香り】
リンゴやラフランスなどのフルーティな果実の香りに蜂蜜の甘やかさ、柑橘フルーツやハーブの爽やかなニュアンスに、ナッツ類の風味も複雑性を高めます。
【味わい】
清潔感のあるフルーティな果実味は厚みがあり、ほんのり甘い上品な蜜のニュアンスが広がり、上品な酸は心地よくバランスを整ます。
ナッツの風味や、凛としたクリアーな印象を与えるミネラル感も味わいに幅を持たせ、心地よい旨味も伴った余韻が長く続きます。
《飲む時の適正温度》
【8℃~14℃】
冷やし気味にすれば酸が際立ち、エレガントさのある飲み口になります。
温度を上げるほど豊かな風味の広がるリッチな味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
飲み頃はブドウ収穫年から
【およそ2年~8年】
一般的傾向や飲んだ方の評価傾向から推測すると、これくらいではないかという個人的見解です。
参考のために、ヴィンテージチャートも載せておきます。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2010年 5
2011年 4
2012年 3
2013年 4
2014年 5
2015年 3
2016年 4
2017年 5
《適正グラス》
【ふくらみのあるシャルドネグラス】
少し温度を上げることで広がる風味を楽しめますから、香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、ふくらみのあるグラスを選ぶことをおすすめします。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
チキンのグリル
真鯛のカルパッチョ
など、ほどよくコクのある料理などと合わせることで、豊かな風味とコクの広がりあるマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
サンヴェランで美味しいワインをお探しでしたら、このワインを必ず候補に入れるべきでしょう。
多くの消費者の口コミを拝見する限り、サンヴェランにおいて際立つ高評価を得ていたのがこのワインで、口当たり優しく上品なコスパワインです。
親しみやすい味わいで万人受けしやすい品質ですから、ちょっとしたプレゼントや手土産にも重宝しそうな万能型ワインです。
《こんな場合には不適切!?》
特徴的で個性的なワインをお探しでしたら、このワインは向かないでしょう。
そのような方は、ブルゴーニュでしたらシャソルネイ、イタリアでしたらラディコンなどが個性的で面白いでしょう。
このワインはバランスが良く、ボリューム感のある果実味に、ほんのり蜜のニュアンスが感じられる親しみやすさが魅力的なワインです。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「3年熟成2014。蜂蜜のニュアンスが印象的な美味しいワイン。時間経過でぬるくなったので冷やしたら、冷やし過ぎて閉じた。それでまたドライヤーで瓶を温めたけど、最初のような広がりはありませんでした。ワインはデリケートな飲み物ですね。」
【良い口コミ】
「マコネ地区ナンバーワンとも言われるバロー。流石のコスパです。アカシアの香りを軸に、蜂蜜やリンゴにレモンも遅れてやってきます。ボリューム感のある味わいは穏やかでありバランスも良く、長めの余韻に包まれます。」
「黄桃のようなフルーティな果実感に上品な蜜。凛としたミネラルもあり、ボリューム感のある味わい。6年熟成の2012はとても素敵です。」
「蜜の風味を伴った果実味は厚みがあり、ワイン経験の浅い女性にも好まれそうなコスパワイン。3年熟成の2014は樽やミネラル感も加わりバランスも良く仕上がっています。」
「軽やかだけど果実味はしっかりで蜜の感じもいい。3年熟成2016は雑味も無くミネラルが芯を持たせていて、いい意味で瑞々しいワインですね。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 3%
美味しい 47%
普通 50%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
温暖なサンヴェランらしい豊潤な果実味と、心地よい酸味に程よい深さも感じられる品質への好感は高く、ちょっと扱いを間違えて本来の味わいを損なった方もおられましたが、品質自体を悪く評価するコメントは見当たりませんでした。
というわけで、価格に対する品質の高さへの満足度は非常に高いものがあり、ちょっとリッチなコスパワインだという事が伝わってきました。
以上です。
マコネ地区はこのワインに限った事ではありませんが、スケールを感じるような味わいこそ無いものの、非常にコスパに優れた上質ワインがたくさん存在します。
その中でも特に評価が高く、口コミも上々なこのワインは必ず知っておきたいワインと言えるのではないでしょうか。
星の数ほど存在するワインから、好みの銘柄を選ぶのはなかなかの難しさがありますが、そんなワイン選びの一助になれば嬉しく思います。
とは言え、本物を見極める力を持ちつつ、どんなワインに出会っても、良かれ悪かれ楽しんでしまえる人こそ素敵とも思いますが。。。
なかなかワインも人格の成長も奥が深いですね。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
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