世代交代による進化著しいヴォーヌ・ロマネの名門ドメーヌ。
ヴォーヌ・ロマネで多くの方に飲まれ、評判の高いワインはどれだろうと客観的視点から調べてみた結果、口コミ評価も高いことに加え、近年の成長も著しく注目も高いということで、紹介すべきワインだと感じました。
1900年代初頭に始まるドメーヌで、1985年にはワイン名にもなっているフランソワ・ラマルシュ氏が相読。
そして、近年の成長を生み出しているのがフランソワ氏の娘、ニコラ・ラマルシュ。
彼女はビオロジック農法の実践、手摘み収穫100%、選果の精度を高める、その他の醸造方法など様々な改革を行い、2006年以降は父の手を借りずに栽培から醸造までを管理しワインを生むようになりました。
2013年には不慮の事故でフランソワ氏は亡くなってしましますが、悲しみを乗り越え進化を続けるドメーヌはみるみる評価を高めており、その正確で精緻さのあるワインは以前の粗削りな部分の一切ない洗練されたワインを生んでいます。
今回選んだラ・グランド・リュは、フランソワ・ラマルシュのモノポール(単独所有畑)のグランクリュ。
あのロマネ・コンティとラターシュに挟まれたグランクリュです。
高額ワインではありますが、ロマネ・コンティとラターシュに比べれば1/5から1/20程度ですから、安い?のかもしれません。(笑)
《ワイン名》 フランソワ ラマルシュ ヴォーヌ ロマネ ラ グランド リュ
《価格》
【5万~8万円】
※ヴィンテージによって価格は変動します。
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ヴォーヌ・ロマネ>ラ・グランド・リュ
《生産者》 フランソワ ラマルシュ
《特徴》
力強くも繊細であり
熟成で真価を発揮する
このワインの特徴は、さすがグランクリュと感じさせる成分の充実感がありますが、非常に洗練された雑味の無い味わいは繊細さも感じさせてくれることです。
そのように充実した品質は粗さが無く、比較的若いうちから楽しむこともできますが、熟成によって成分が溶け合う事で、より滑らかで優雅な風味の広がる妖艶さが楽しめるようになります。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
・世界最高のテロワール(ブドウを取り巻く環境)を持つ、ロマネ・コンティとラ・ターシュの間にある畑という事で、絶好の立地条件を持ったグランクリュであり、秀逸なブドウが実ります。
・農薬や化学肥料を使用しないビオロジック農法の実践により、様々な微生物の働きなども加わり、健全で成分豊かな土壌が育ち、その成分を存分に吸い上げたブドウによる充実感溢れるワインが生まれます。
・手摘み収穫や選果をしっかりと行い、優れたブドウだけを醸造することで、雑味の無い洗練された果実による美しいワインが生まれます。
・醸造においては、粗さが出ないよう無破砕にすることや、やさしく液循環させるルモンタージュを主にするなどの方法で、雑味や粗さの無いエレガントさを持ったワインを造っています。
【外観】
深みのあるルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
ラズベリーにブラックチェリーやカシスなどの豊潤な果実香、バラの華やかさは優雅で、土や革製品のニュアンスもほどよく加わり、非常にアロマティックな印象の香りが広がります
熟成するほど果実香は熟した果実の甘やかさやドライフルーツ、ドライフラワーのような落ち着いた印象の香りになり、腐葉土に紅茶といった熟成香の広がりも見せ、複雑で円熟を感じさせる妖艶な香りが豊かに感じられます。
【味わい】
洗練された果実味は凝縮感があるものの繊細さも感じ、上質なタンニンはしなやかに構造を形成し、美しく伸びやかな酸は味わいまとめた後、優雅な風味を伴った長い余韻があります。
熟成が進むほど果実味は落ち着きある旨味を伴った甘やかさが現れ、タンニンや酸などの成分は溶け合う事で絹のようにしなやかな質感になります。
そして紅茶や腐葉土などの熟成による妖艶な風味を伴った長い余韻が訪れます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
その豊かで心地よい香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
少し冷やし気味にすれば酸味が際立ちエレガンス溢れる飲み口になりますし、温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、妖艶な甘味や複雑な風味の広がりある味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~35年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1985年 5
1986年 4
1987年 4
1988年 5
1989年 4
1990年 5
1991年 3
1992年 2
1993年 4
1994年 2
1995年 4
1996年 5
1997年 3
1998年 3
1999年 4
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
芳醇な香りと、エレガントで優雅な味わいを持った秀逸なワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
アワビバター
和牛ヒレステーキを赤ワインソースで
など、豊かなコクのある味わいの料理に合わせる事で、エレガントで深いワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、複雑で優雅な風味の広がる極上のマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「5年熟成では早すぎるのかな~、と思いつつ我慢できず抜栓。過去に飲んだラマルシュとは全然違う印象で凄いポテンシャル。2012はやはり早すぎたのである。果実味の凝縮感や荘厳なタンニンはさすがグランクリュで、最低でも10年は待たないといけないかと感じました。」
「7年熟成の2011でもまだちょっと早いかな。ただそのポテンシャルは芸術の域に達している。」
【良い口コミ】
「ヴォーヌロマネの4大モノポールの中でも最も価格的に近づきやすいワイン。(他が高額すぎますが)11年の熟成を経た06も流石の味わいで、ヴォーヌロマネらしさ満載のエレガンス。秀逸です。」
「15年熟成の02は赤い果実にスミレ、血液に落ち着いた土のニュアンスもある。甘味は控えめで非常に複雑な味わいは成分の充実ぶりが凄いね。長い余韻もあり、さすがグランクリュという風格を感じるよ。」
「5年目の2013は非常に華やかな香りに少しの土っぽさがある。ふんわりとやさしい口当たりは心地よく長い余韻も素晴らしい。荘厳なグランクリュというよりはフレンドリーなグランクリュといった印象で、私には最適です。早すぎるのかとも心配でしたが、2013の飲み頃は早いようです。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 37%
美味しい 55%
普通 8%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
さすがヴォーヌ・ロマネのグランクリュだけあって、素晴らしいポテンシャルを持っている事が皆様の口コミから伝わってきました。
ただしそのポテンシャルは熟成を経てこそ開くものであり、ヴィンテージによっては(13や15)若いうちから楽しめる傾向もあるようですが、多くの方が閉じ気味でもう少し待つべきというような評価もされているので、10年は待った方がベターなのだろうと推測できます。
いずれにせよ、スケール感溢れるグランクリュの風格を持つワインである事は揺るぎないようです。
以上です。
さすがにこのクラスのワインになると高額にはなりますが、その味わいのスケールも比例して高くなる印象です。
様々な特別な場面で、この特別感溢れるグランクリュは力を発揮することでしょう。
ヴォーヌ・ロマネのグランクリュのモノポールの中で最も手軽に購入できるラ・グラン・リュを選択肢に入れる事は、賢者の選択と言えるのかもしれません。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなることを願っています。
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