「幸せな気持ちになるワインを造りたい」
これは5代目当主であるエティエンヌ・グリヴォ氏の言葉。
ヴォーヌ・ロマネの名門老舗ドメーヌで、イギリスで最も権威のあるワイン評価雑誌『デカンター』誌にて、「時代を通じて活躍するブルゴーニュの10大ドメーヌ」に選ばれるなど、知名度・実力共に高い生産者です。
ヴォーヌ・ロマネのワインを造る生産者は多く存在しますが、多くの方に飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうと客観的視点から調べてみた結果、この銘柄は紹介すべきだと感じました。
「とりあえずヴォーヌ・ロマネをの選びたいけど、誰のワインを選べばいいかわからない。」
という方に提案したいバランスの良いワインで、ヴォーヌ・ロマネらしさを比較的手頃な価格で楽しめる優れたワインです。
《ワイン名》 ドメーヌ ジャン グリヴォ ヴォーヌ ロマネ
《価格》
【9000~12000円】
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ヴォーヌ・ロマネ
《生産者》 ドメーヌ ジャン グリヴォ
《特徴》
官能的アロマ
滑らかでバランス感覚に優れる
このワインの特徴は、ヴォーヌ・ロマネらしい華やかで気品あふれる優雅で官能的な香りを持っており、どの成分が主張しすぎる事のないバランス感覚に優れた心地よい味わいにあります。
そのバランスの良さで比較的若いうちから楽しめる傾向で、熟成させても成分が馴染み合い妖艶な品質に成長していきます。
そのような品質になる理由を2つ挙げましょう。
【1】
農薬を極力使用しないリュット・レゾネ(減農薬農法)の実践により、微生物の働きなどが加わった健全で成分豊かな土壌が育ち、その豊かな土地の特性を吸収したブドウの果実が実ります。
【2】
1980年代まではマセラシオン(成分抽出)をしっかり行い、ブドウの凝縮感溢れるワインを生産していましたが、土地の繊細な風味も感じやすくするためマセラシオン期間は以前よりも短くし、土地とブドウのピュアな成分をバランスよく表現したエレガントなワインを生んでいます。
【外観】
美しいルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
ラズベリーやカシスにバラの華やかさが加わったの豊かで優雅な香りに、スパイスやバニラのニュアンスも心地よく感じられます。
熟成するほど果実香は円熟を感じさせる熟した果実や、ドライフルーツの甘やかさが現れ、腐葉土や紅茶といった妖艶なアロマも感じさせます。
【味わい】
若いうちは洗練された果実味が豊かに広がり、やさしいタンニンはなめらかな質感を表現し、美しい酸味は味わいをまとめバランスの良い味わいで、心地よい風味を伴った余韻があります。
熟成するほど成分は溶け合う事でさらになめらかな質感になり、果実味も落ち着きある上質な旨味を伴った甘美さが現れ、優雅な風味を伴った余韻が長く続きます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
その華やかで美しい香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
少し冷やし気味にすれば酸味が際立ち軽快さのある飲み口になりますし、温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、甘味や風味の広がりある味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から4~30年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 3
1992年 2
1993年 4
1994年 2
1995年 4
1996年 5
1997年 3
1998年 3
1999年 4
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
華やかな香りと、エレガントで優雅な味わいを持った良質なワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
天然真鯛のカルパッチョ
地鶏のグリルをベリーソースで
など、上質な素材を使用しほどよくコクのある味わいの料理に合わせる事で、華やかで優雅な風味の広がる上質なマリアージュが楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
とりあえずヴォーヌ・ロマネとはどのような品質かを感じたい方にはおすすめしたいワインです。
ヴォーヌ・ロマネの老舗ドメーヌで評判も良いこのワインを口にすることで、ヴォーヌ・ロマネとはこのような品質だという基準が感じられるのではないでしょうか。
その美しく華やかな品質は、場面を盛り上げる効果も十分い持っていますから、贈り物や記念日に飲むワインの候補にしてもいいと思います。
《こんな場合には不適切!?》
美しくアロマティックなヴォーヌ・ロマネは女性的な美しさを持った品質です。
男性的で果実味・タンニン・酸味などがしっかりと感じられるようなワインを求める場合は、イメージと異なってしまうかもしれません。
とは言っても、ワインはお酒であり楽しむ事が一番大切だと思いますので、男性的ワインが好みの方も、このようなワインが提供されても違う魅力を楽しんでいただければ幸いです。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「まだ早いかなと思って開けた5年目の2014は、エレガントで口当たり優しく万人受けするような良質なワインの印象。悪く言うとすれば、優等生すぎて少しの物足りなさを感じるところかな。でも、やっぱり美味しいけどね。」
「9年目の2010はすばらしい香りでよかったのだが、果実味がやや薄く感じた。その割にタンニンが主張しすぎな印象で、悪いわけではないが香りが良かっただけに少し期待外れかな。」
【良い口コミ】
「綺麗なルビーレッド。果実香は豊かでシナモンやブラックペッパーもあり、時間経過でウスターソースのような複雑さも出てくる。果実味は生き生きとしており豊かで滑らかな質感。余韻も複雑でいいね。4年目の2013は今飲んでも旨いが、もう少し寝かせても良くなりそうだ。」
「5年熟成の2012を飲んでいます。突出した部分こそありませんが、なめらかでエレガントなワイン。素直に美味しいなって思えるような品質で、ゆっくり楽しめますね。」
「10年熟成の08だぜ。お~オレンジがかったガーネット。美しいじゃね~か。香水のように華やかな香りで、バラにベリー系果実に土、それから紅茶も追ってくるね。酸は穏やかで繊細、やさしい印象でエレガントだ。旨いじゃないか!!どんどん飲めてしまうような、そんなワインだね。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 10%
美味しい 60%
普通 30%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
感動するほど美味しいと評価する方は少ないものの、バランスの良い味わいは飲み心地の良いもので、ヴォーヌロマネらしく美しく華やかなワインである傾向が感じられました。
比較的若いうちから硬さは少なく楽しめる傾向で、熟成させても落ち着いた妖艶さが現れ満足度は高くなる印象もありました。
以上です。
ジャン・グリヴォのヴォーヌ・ロマネのイメージは広がりましたでしょうか。
この造り手に限った話ではありませんが、ヴォーヌ・ロマネは私の知る限りではやはり世界一美しいワインを生みだす産地だと感じており、外観からその美しさは際立ち、その優雅さが人々を魅了している事も納得できます。
あなたの優雅なひと時を演出するアイテムのひとつに、ヴォーヌ・ロマネは必ず選択肢に入れておくべきワインと言えるのではないでしょうか。
「幸せな気持ちになるワインを造りたい」
そんな生産者の想いを感じつつ楽しんでみてはどうでしょうか。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなることを願っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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