パーカー100点満点を40回以上も獲得する偉業。
その主な銘柄はエルミタージュの単一畑から生まれる「セレクション・パーセレール」の銘柄の数々でした。
もちろんパーセレールは素晴らしく一般消費者の評価も高いのですが、今回紹介するのはそんなパーセレールには及ばないまでも非常に高い満足感を飲み手に与えています。
そのようなたくさんの口コミと価格も考慮した場合、シャプティエにおいては「モニエ・ド・ラ・シズランヌ」を紹介すべきだと個人的には感じたというわけです。
エルミタージュの上質なワインを選ぶのであれば、必ず候補に入れるべき銘酒と言えるでしょう。
《ワイン名》 シャプティエ エルミタージュ モニエ ド ラ シズランヌ
《価格》
【10000~13000円】
《ブドウ品種》シラー
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>コート・デュ・ローヌ地方>エルミタージュ
《生産者》 シャプティエ
【ここで簡単にプロフィール】
M.シャプティエ社は、1808年エルミタージュの丘の麓にあるタン・エルミタージュに設立されたワイナリーで、同産地においては最大の畑所有者であり、ローヌ地方を代表する生産者。
創業から7代目の現社長ミッシェル・シャプティエに至るまで、一貫した家族経営を貫く生産者であり、世界で最も影響力あるワイン評論家のロバート・パーカー氏に40回以上100点満点を獲得する偉業は類を見ないほど。
そんな100点満点を獲得する最高級クラスのワインから、日常消費向けのカジュアルなワインまで幅広いラインナップを持っているところも魅力的。
どのクラスにおいても土地の特性を表現する事を目指しており、世界中のワインラバー達を楽しませている。
《味わいの特徴》
力強くも繊細で
複雑でバランス感覚に優れ
熟成で妖艶さが現れる
このワインの特徴は、凝縮感のある果実味にシラーらしいスパイシーなニュアンスが感じられ、豊富ながらシルキーなタンニンや上質な酸味は力強くも繊細な味わいを表現している点にあり、それらの成分がバランス良く融合することで複雑かつ心地よい飲み口があるところです。
また、熟成を経るほどに成分は溶け合い滑らかさは増し、力強さよりもむしろ上品で繊細な味わいに変わっていき、革製品や土っぽいニュアンスが円熟した果実味と溶け合った風味は、上級ブルゴーニュを思わせる妖艶さが感じられます。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■シラーの特性■
豊かな果実味にタンニンや酸、そしてブラックペッパーを思わせるスパイシーな風味を持つなど、充実感のある味わいを生むのがシラーの特性です。
また、長期熟成を経る事で若い段階での充実感は解きほぐれ、土や革製品のニュアンスが現れたエレガントな味わいに変化するところも特徴的で、上級ブルゴーニュワインを彷彿させる妖艶さが感じられます。
■3つの畑のブドウ■
異なる土壌を持つ3つの畑のシラーによる、違った個性を持ったワインをブレンドすることで、味わいの複雑性が高まります。
■ビオディナミ農法■
ローヌにおけるビオディナミ農法の先駆者としても知られるシャプティエ。
無農薬・有機肥料で天体の動きも考慮したビオディナミ農法の採用で、その土地の酵母など微生物の働きにより健全で成分豊かな土壌が育まれ、その豊かな成分を吸い上げた上質なブドウが得られます。
【外観】
深みのあるルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
カシスやブラックチェリーといった豊潤な果実香に、ブラックペッパーやシナモンのスパイシーさに土っぽさや樽のニュアンスも複雑性を高めます。
熟成するほど円熟した果実の甘やかさに、紅茶や革製品に腐葉土を思わせる熟成香も加わり、複雑で魅惑的な香りに包み込まれます。
【味わい】
凝縮された果実味は豊富なタンニンと質の高い酸も相まって、力強くスパイシーな味わいがありますが、洗練された質感は粗さが無く繊細さも感じられ、バランスの良さが際立ちます。
熟成するほど成分は溶け合う事でしなやかさが増し、円熟した果実の奥深い旨味や、紅茶や革製品に腐葉土の風味も溶け合た味わいは上級ブルゴーニュを思わせる優雅さがあり、妖艶な風味を残した余韻が長く続きます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
少し低めの温度にすれば酸が際立ち、エレガントな飲み口になります。
温度を上げるほど果実感や複雑な風味が広がり、優雅な味わいが楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から約5~30年
若い段階では力強くもしなやかでバランスの良い味わいが楽しめる傾向。
熟成するほど成分は溶け合い円熟し、力強さよりもエレガントさが際立った複雑な味わいに成長していきます。
【当たり年】
一般的にコート・デュ・ローヌ北部のヴィンテージチャートは以下の通りです。
評価の高い年ほど成分が充実し、若いうちは硬いですが長期熟成に耐える傾向。
評価が低い年ほど成分はやや控えめで、若いうちから親しみやすいですが長期熟成にはやや不向きな傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 4
1992年 2
1993年 2
1994年 3
1995年 4
1996年 4
1997年 4
1998年 5
1999年 4
2000年 4
2001年 4
2002年 2
2003年 5
2004年 3
2005年 4
2006年 4
2007年 4
2008年 2
2009年 5
2010年 5
2011年 4
2012年 4
2013年 3
2014年 3
2015年 5
2016年 4
2017年 5
《適正グラス》
【チューリップ型ボルドーグラス】
香りが取りやすく温度が少しずつ上がるように設計されたボルドーグラスを選ぶことで、バランス良く味わいを感じ取れる事でしょう。
熟成酒は複雑でエレガントな風味が現れるため、香を感じやすいバルーン型ブルゴーニュグラスを選んでも良いですね。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
アワビバター
鴨鍋
など、豊かなコクを持った料理や野性味を感じさせる料理などに合わせる事で、豊かなワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、複雑で優雅な風味が広がるマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
このワインの良くない点を表現する、具体的口コミは見当たりませんでした。
【良い口コミ】
噛みしめたくなるような旨味がたまらないぜ!!20年熟成の95は良い熟成を経たね。古酒の魅力を存分に発揮した銘酒と言えるだろう。
この香りの広がり方が飲み頃である事を教えてくれる。8年熟成の2012はたくさんの果実にスパイス香が広がり、絹のように滑らかなタンニンで酸のバランスも絶妙。エレガントで大人っぽい味わいは、またいつか飲みたいなって思える素敵なワインでした。
2010の4年熟成では早すぎるって!?でも旨いんだから、今飲んで正解だったってことで良いんだろ?
強くて奥深くて緻密。あぁ~なんとも言えない妖艶さ・・エロスだぁ・・。27年熟成の90は私に官能体験を与えてくれました。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 7%
美味しい 73%
普通 20%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
驚くほどのスケールや味わい深さを感じた方は少ない印象ですが、力強さと繊細さを兼ね備えた上質な味わいに高い評価を与える方がほとんどで、特に妖艶な熟成物に対する評価は目を見張るものがありました。
たまたまかもしれませんが、マイナスイメージの口コミは見当たらないという事で、安定感とバランス感覚に優れた品質傾向は読み取れます。
ジャン・ルイ・シャーヴやポール・ジャブレ・エネと比較してしまえば、若干劣る傾向は否めませんが、価格も考慮すれば十分に満足できる品質である事は、たくさんの口コミが証明しているようにも感じられました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
シャプティエ エルミタージュ モニエ ド ラ シズランヌは
【価格】
10000~13000円
【味】
力強くも繊細で複雑でバランス感覚に優れ、熟成で上級ブルゴーニュを思わせる妖艶さが現れる。
【飲み頃と当たり年】
・飲み頃
ブドウ収穫年から約5~30年
若い段階では力強くもしなやかでバランスの良い味わいが楽しめる傾向。
熟成するほど成分は溶け合い円熟し、力強さよりもエレガントさが際立った複雑な味わいに成長する。
【当たり年】
一般的にコート・デュ・ローヌ北部のヴィンテージチャートは以下の通り。
評価の高い年ほど成分が充実し、若いうちは硬いですが長期熟成に耐える傾向。
評価が低い年ほど成分はやや控えめで、若いうちから親しみやすいが長期熟成にはやや不向きな傾向がある。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 4
1992年 2
1993年 2
1994年 3
1995年 4
1996年 4
1997年 4
1998年 5
1999年 4
2000年 4
2001年 4
2002年 2
2003年 5
2004年 3
2005年 4
2006年 4
2007年 4
2008年 2
2009年 5
2010年 5
2011年 4
2012年 4
2013年 3
2014年 3
2015年 5
2016年 4
2017年 5
【口コミ】
驚くほどのスケールや味わい深さを感じた方は少ないが、力強さと繊細さを兼ね備えた上質な味わいに高い評価を与える方がほとんどで、特に妖艶な熟成物に対する評価は目を見張るものがある。
ジャン・ルイ・シャーヴやポール・ジャブレ・エネと比較すれば、若干劣る傾向は否めないが、価格も考慮すれば十分に満足できる品質である事は、たくさんの口コミが証明しているようにも感じられた。
いかがでしたでしょうか。
エルミタージュ最大の生産者であり、同産地のワインを選ぶのであれば候補に入れておくべき銘柄であると考えています。
ローヌの熟成酒は体験してみるだけの価値があるという事です。
それではあなたにとって善きワインとの出会いが多くなることをお祈りしております。
ちなみに、もっと手頃なシャプティエのエルミタージュを試したい場合は、シズランヌよりは軽快ですが割と評判も良いクローズ・エルミタージュを試しても良いかもしれませんね。
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