ほんのり甘味のあるワインを生むアルザスの代表生産者は?
知名度もあり、口コミ満足度もとても高いマルセルダイスやマルクテンペを筆頭に挙げる方が多い事でしょう。
今回紹介するポール ジャングランジェは、知名度はそれほど高くなく、口コミ量(vinica)こそ少ないワインでしたが、上品で甘美な味わいは非常に好評。品質に対する価格の手頃感でも満足している方が多く、紹介すべきワインだと感じました。
規模が小さいドメーヌで生産量が少ないため、下のリンク先に在庫が無い場合もありますが、エレガントな甘口ワインを選ぶ時の候補にすべき優れたグランクリュです。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》ポール ジャングランジェ ゲヴェルツトラミネール ペルシベルグ
《価格》
【3000~3500円】
《ブドウ品種》ゲヴェルツトラミネール
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 甘口
《産地》 フランス>アルザス地方>アルザス グランクリュ
《生産者》 ドメーヌ ポール ジャングランジェ
ポール ジャングランジェは、「フランスの最も美しい村」のひとつと呼ばれるアルザスのエギスハイムにある小さなドメーヌ。
1636年に設立された由緒ある生産者で、2020年現在13代目のミッシェル氏と妻ロレットさんを中心にドメーヌを運営。ミッシェル氏はランス大学で醸造学を修め、フランスのブルゴーニュ(アルマンルソー)など世界各地で醸造に携わっており、知識と経験豊富な彼の生み出すワインは評価を高めます。今回紹介しているゲヴェルツトラミネール ペルシベルグは
・ワインアドフォケイト91点獲得
・レヴュ デュ ヴァン ド フランス誌で最高評価を獲得
など、数々の評価誌や評論家に高い評価をされています。
《味わいの特徴》
甘美さと上品さを両立した
コスパグランクリュ
このワインはライチや花をを思わせるアロマティックな芳香性と、雑味の無い甘美な果実味とコクを持った味わいがありますが、キレイな酸味や凛としたミネラルがある事で、上品さや気品を感じさせるバランスの良さがあります。
また、そのようなクオリティの高いグランクリュのブドウを使用したワインが、比較的手頃であるところも嬉しい特徴と言えるでしょう。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■ゲヴェルツトラミネールらしさ■
熟したライチのような非常にアロマティックな香りがこの品種の特徴です。
■優れた土地■
アルザス格付け最高位であるグランクリュのひとつ「ペルシベルグ」のブドウを使用しています。
豊富な日照はブドウの糖度を高め、降水量の少なさは果実の成分を凝縮させます。
また、豊富なミネラル分を含んだ石灰質土壌は、凛とした鉱物的なミネラル感をワインに反映させ、味わいに気品や奥深さを与えます。
■リュット レゾネ■
農薬や化学肥料を極力使用しない減農薬農法(リュット レゾネ)を実践。
土地の酵母など様々な生物の働きが加わる事で、健全で成分豊かな土壌が育まれ、土地の個性を反映したピュアで成分豊かなワインが生まれます。
■丁寧な圧搾■
ブドウの液体と固体の部分を分ける工程を圧搾(あっさく)と呼び、ブドウをプレスし果汁を搾ります。
ポール ジャングランジェでは、ゆっくりと時間をかけて圧搾。それを実践できる圧搾機は小さなドメーヌにとっては大きな投資ですが、雑味の無い果汁を抽出しピュアなワインを生むことを可能にしています。
その他にも様々な取り組みがされていますが、その根底にはミッシェル氏の「テロワール(ブドウを取り巻く自然環境)の個性をしっかりと表現したワインを生む」という目標があります。
【外観】
輝くレモンゴールド
熟成させるほど濃いゴールド→琥珀色へと変化していきます
【香り】
ライチやリンゴに白い花の華やかさも加わった香りは香水のようにアロマティック。上品な蜜のニュアンスや柑橘系の爽やかさも加わり、甘美で複雑な香りは繊細さも感じられます。
【味わい】
上質な甘味と旨味を伴った果実味は、トロミのある質感と相まってリッチな飲み口。凛とした硬質なミネラル感や適度な酸味がある事で、甘さだけではない上品さや気品を表現します。後口にほんのり感じる苦味をアクセントにしつつ、リッチかつエレガントな風味を残した余韻が長く続きます。
《飲む時の適正温度》
【8℃~14℃】
冷やし気味にすれば酸が際立ち引き締まった印象になり、軽快な飲み口が楽しめます。
温度を上げるほど酸は穏やかな印象になりますが、アロマティックな香りや甘美な果実感が広がり、優雅な飲み口が楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から1~15年
※一般的傾向から推測
若いほどフレッシュな印象。熟成するほど円熟し、落ち着きある印象になるでしょう。
【当たり年】
アルザスのヴィンテージチャート以下の通りです。
※あくまで一般的傾向です。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2005年 3
2006年 2
2007年 4
2008年 4
2009年 3
2010年 4
2011年 3
2012年 3
2013年 3
2014年 3
2015年 3
2016年 4
2017年 5
《適正グラス》
【小ぶりのグラス】
【ふくらみのあるシャルドネグラス】
冷やし気味にして軽快さを楽しむ場合、温度も上がりにくい小ぶりのグラスを選ぶと良いでしょう。
少し温度を上げて広がる風味や味わいを楽しむ場合は、香が取りやすく温度も上昇しやすいシャルドネグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
フォアグラのバターソテー
ブルーチーズ
貴腐ワインなど極甘口のワインはフォアグラとの相性が良いことで知られており、甘美なワインの味わいが、きめ細かなフォアグラの深いコクと相まって、とろけるようなマリアージュが楽しめます。
また、上品な甘味は塩分の強いブルーチーズやウオッシュチーズなどとの相性も良く、チーズの塩味がワインの甘味を引き立て、またワインの甘味がチーズの旨味を引き立て合う相乗効果が楽しめます。
逆に繊細な味わいを持った和食(刺身・鮮魚の塩焼き・寿司)などには甘味が強すぎるので、合わせにくいと言えます。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
このワインの悪い点を指摘する具体的コメントは見当たりませんでした。
【良い口コミ】
グランクリュでコスパ抜群のゲヴェルツ発見!♪3年熟成の2013は、開けたては若干の還元的ニュアンスがありましたが、だんだんと実力発揮。華やかな芳香と複雑な味わいで、アルコール感のパンチも効いています。美味しいですね♪
ゲヴェルツらしいパワフルなライチ香。4年熟成の2012はトロけるような甘美な果実味で、甘いのだけど爽やかさを感じる余韻があり、素直に美味しいと感じた。
甘いけどスッキリ。お酒は得意ではありませんが、このワインが美味しいことはわかる♪♪
フォアグラには貴腐ワインだけど、このゲヴェルツも一つの正解。3年熟成の2016は派手なゲヴェルツではなく、バラや完熟果実の風味。厚みのある味わいにタンニンも感じられ、フォアグラのコクにワインの甘味と酸味が綺麗に溶け合います。一緒に飲んだメンバーにも大好評でしたよ。
という皆様の声でした。
その他にもいくつかの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 6%
美味しい 47%
普通 47%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
口コミの量こそ少ないワインでしたが、ゲヴェルツらしさがある甘美な味わいに十分満足している方が多く、グランクリュにしては価格が手軽である事も好感を獲得する要因になっているとも感じました。
言うまでもないかもしれませんが、甘口ワインが苦手な方や、ゲヴェルツ特有のライチ香広がる華やかなニュアンスが苦手な方には向いていないでしょう。
アルザスの甘めのゲヴェルツを選ぶなら、マルセルダイスやマルクテンペを筆頭にしつつ、ポール ジャングランジェも好捕に入れておきたいダークホース的な生産者だと感じました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ポール ジャングランジェ ゲヴェルツトラミネール ペルシベルグは
【価格】
3000~3500円
【味】
ライチや花をを思わせるアロマティックな芳香性。雑味の無い甘美な果実味とコクを持った味わいがあり、キレイな酸味や凛としたミネラルがある事で、上品さや気品を感じさせるバランスの良さがある。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から1~15年
※一般的傾向から推測
若いほどフレッシュな印象。熟成するほど円熟し、落ち着きある印象になる。
【当たり年】
アルザスのヴィンテージチャート以下の通り。
※あくまで一般的傾向。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2005年 3
2006年 2
2007年 4
2008年 4
2009年 3
2010年 4
2011年 3
2012年 3
2013年 3
2014年 3
2015年 3
2016年 4
2017年 5
【口コミ】
口コミの量こそ少ないワインだが、ゲヴェルツらしさがある甘美な味わいに十分満足している方が多く、グランクリュにしては価格が手軽である事も好感を獲得する要因になっていると感じた。
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