ブルゴーニュ屈指のネゴシアンとして名高いルシアン・ル・モワンヌが手掛けるシャトー・ヌフ・デユ・パプ。
他の生産者とは一線を画すエレガンスを持った味わいはブルゴーニュを彷彿させるものであり、評論家やワイン誌はもちろん、日本の一般消費者の方々を楽しませています。
優れたシャトー・ヌフ・デユ・パプを選ぶのであれば、
シャトー・ラヤス(品質は頂点)
シャトー・ド・ボーカステル(代表的生産者)
E. ギガル(バランス良くコスパ抜群)
ドメーヌ・ド・フェラン(濃くてコスパ抜群)
以上の生産者達も外せませんが、一味違った魅力を発揮するロテム エ ムニール サウマも外せない生産者であると感じています。
《ワイン名》 ロテム エ ムニール サウマ シャトー ヌフ デュ パプ オムニア
リンク先ではいろんなラインナップが出てきますが、ここで紹介しているのは【オムニア】です。
《価格》
【10000~14000円】
《ブドウ品種》
・グルナッシュ主体
・シラー
・ムールヴェードル
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>コート・デュ・ローヌ地方>シャトー・ヌフ・デュ・パプ
《生産者》 ロテム エ ムニール サウマ(ルシアン ル モワンヌ)
【ここで簡単にプロフィール】
ロテム エ ムニール サウマは、1999年に設立されブルゴーニュのトップネゴシアンとして名高いルシアン・ル・モワンヌの当主、ムニール・サウマ氏が2009に妻のロテム夫人とともにシャトー・ヌフ・デユ・パプに設立したワイナリー。
ルシアン・ル・モワンヌはワインを仕入れて醸造するネゴシアンスタイルだが、ロテム・エ・ムニール サウマは全てのブドウを自社で栽培、そして醸造までを一貫して行うドメーヌスタイル。
歴史は浅いもののリリース直後からパーカーポイント90点以上獲得をはじめ、様々なワイン誌がこのワインを高く評価し注目を集めている。
《味わいの特徴》
豊潤で複雑かつ繊細で上品
バランスの良いエレガントさは
ブルゴーニュを彷彿させる
このワインの特徴は、華やかで複雑な芳香性に豊潤で厚みのある味わいにありますが、透明感や純粋さを感じさせる味わいは繊細なエレガントさも兼ね備えており、どこかブルゴーニュワインを思わせる複雑さや上品さが垣間見えます。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■自然環境■
シャトーヌフ・デュ・パプは温暖な産地であり、そのためブドウはよく熟し、豊潤な果実味を持ったブドウが得られます。
そしてこのオムニアに使用されるブドウは、シャトーヌフ・デュ・パプの中でも異なる個性を持った区画の畑のブドウによるもので、それらがブレンドされることで複雑性は高まります。
■低温マセラシオン■
果実の種や皮などの部分を果汁と共に漬け込み、香りや色の要素を抽出する工程をマセラシオンと呼びますが、通常より低い温度で行う低温マセラシオンという方法を行うことで、ブドウの純度やフレッシュ感を保つことを可能にしています。
この手法はブルゴーニュの生産者の一部が採用しているもので、力強くもエレガントさを表現したい生産者の意図が感じられます。
■土壌とブドウのありのままを表現■
サウマ氏がグルナッシュ主体のワインを造ろうと思ったのは、グルナッシュにはピノノワール同様に土壌の特性を素直に反映する性質があるからであり、土壌特性やその性質を素直に反映したブドウのピュアな味わいを表現したいと考えています。
・ワインの熟成期間における澱引きは行わない
・殺菌効果のある亜硫酸を添加しない
などは、そのような品質を目指すための取り組みの一部と言えます。
【外観】
透明感のある赤紫色
【香り】
ラズベリーやチェリーの果実香に、クローヴや樽に土っぽいニュアンスも加わった香りが豊かに広がります。
【味わい】
豊潤な果実味は厚みがあるものの純粋で透明感があり、樽の風味やスパイスに革製品などのニュアンスが心地よいコクと共に複雑な味わいを表現します。
キメの細かなタンニンはしなやかな飲み口で、適度な酸味が味わいをまとめ、エレガントな風味を残した余韻へと導かれます。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
少し低めの温度にすれば酸が際立ち、エレガントな飲み口になります。
温度を上げるほど果実感や複雑な風味が広がり、ボリューム感のある優雅な味わいが楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から約5~30年
【当たり年】
一般的にコート・デュ・ローヌ南部のヴィンテージチャートは以下の通りです。
評価の高い年ほど成分が充実し、若いうちはやや硬さがありますが長期熟成に耐える傾向。
評価が低い年ほど成分はやや控えめで、若いうちから親しみやすいですが長期熟成にはやや不向きな傾向があります。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 2
1992年 2
1993年 3
1994年 3
1995年 4
1996年 3
1997年 3
1998年 5
1999年 3
2000年 5
2001年 5
2002年 1
2003年 4
2004年 4
2005年 5
2006年 4
2007年 5
2008年 3
2009年 4
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 3
2015年 4
2016年 5
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
豊かな香りと力強くもエレガントな味わいを持ったワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で複雑な味わいを感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
アワビバター
鴨鍋
など、豊かなコクを持った料理や野性味を感じさせる料理などに合わせる事で、豊かなワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、複雑でエレガントな風味の広がるマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
旨いことは認めるが、価格がちょっと高いと感じる。白の方が勝っている印象だ。
【良い口コミ】
いろんな人が美味いって言うからね。8年熟成という事でちょっと若めのヌフだが、タンニンは綺麗に溶け込みなめらかな質感。味わいも透明感があり非常にエレガントで、他の生産者には無い素晴らしさがある。2011は残念ながらもう売り切れのようだから、もっと買わなかったことを悔やむばかりだ。
香りと味わいのギャップに驚かされたワイン。グルナッシュはピノと類似性があり、ブドウそのものの個性というよりも、テロワール(ブドウを取り巻く環境の全て)を忠実に反映させるからシャトー・ヌフを造るって言うのがサウマ氏の考え。4年熟成の2013はグルナッシュらしいボリューム感のある香りですが、それに反して味わいは非常にフレッシュで繊細な上品さが感じられます。良いと思いますよ。
8年熟成の2012。ローヌっぽくないエレガントさがあり、純粋で可愛らしい感じが初日の印象で、特にインパクトもありません。しかし2日目に素晴らしく変貌。マスカットを煮詰めたような香りが広がり、私が求める要素がしっかりと現れてきました!!3日目には円熟し始めたボルドーのような落ち着いたニュアンスが現れ、奥深いスミレの香りも充実しています。デキャンタすべきと書いてあることがよく理解できる品質で、2日目以降に真価を発揮する素晴らしいワインでした。
ラテン語で「全て」を意味するオムニア。さて、5年熟成の2011はローヌのエレガンスを体感できる素晴らしいワインだ。グルナッシュに由来する熟した果実やレーズンに、フルーツリキュールのような甘やかで妖艶な香り、味わいも香り同様ほどよい甘味があり、豊富なタンニンと酸は味わいに輪郭を形成。豊富なミネラルがしっかり土台となってエレガントさが前面に出ている。いいワインだね。
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 4%
美味しい 69%
普通 27%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
ブルゴーニュの有力生産者という事で、他の生産者のシャトー・ヌフ・デュ・パプとは一味違った個性を持っている事が印象的なワインでした。
力強さというよりはブルゴーニュにも通ずる上品さや繊細さを感じさせる味わいがあり、感動するほどのスケールや奥深さを感じた方は少ないようですが、否定的なコメントもほぼ無く、エレガントで複雑な味わいに高い好感を持った方が最も多い傾向です。
2009から始まるワインで、10年以上の長期熟成物に対する評価が無かったことが残念でしたが、抜栓してから時間が経過するほど開いてくるというニュアンスのコメントもチラホラでしたから、熟成を待つ選択肢は持っておくべきでしょうし、若い場合は早めのデキャンタージュも考えておくべきワインだと感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
ロテム エ ムニール サウマ シャトー ヌフ デュ パプ オムニアは
【価格】
10000~14000円
【味】
豊潤で複雑かつ繊細で上品、バランスの良いエレガントさはブルゴーニュを彷彿させる。
【飲み頃と当たり年】
・飲み頃
ブドウ収穫年から約5~30年
当たり年
一般的にコート・デュ・ローヌ南部のヴィンテージチャートは以下の通り。
評価の高い年ほど成分が充実し、若いうちはやや硬さがあるが長期熟成に耐える傾向。
評価が低い年ほど成分はやや控えめで、若いうちから親しみやすいが長期熟成にはやや不向きな傾向がある。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 2
1992年 2
1993年 3
1994年 3
1995年 4
1996年 3
1997年 3
1998年 5
1999年 3
2000年 5
2001年 5
2002年 1
2003年 4
2004年 4
2005年 5
2006年 4
2007年 5
2008年 3
2009年 4
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 3
2015年 4
2016年 5
2017年 4
【口コミ】
他の生産者のシャトー・ヌフ・デュ・パプとは一味違った個性を持っている事がよくわかる口コミの数々。
力強さというよりはブルゴーニュにも通ずる上品さや繊細さを感じさせる味わいがあり、感動するほどのスケールや奥深さを感じた方は少ないが、否定的なコメントもほぼ無く、エレガントで複雑な味わいに高い好感を持った方が最も多い傾向。
ブルゴーニュを彷彿させるシャトー・ヌフ・デュ・パプは非常に興味深いものがありました。
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