ガルガーネガの中で最も満足度の高い銘柄。
スッキリ軽快なソアーヴェと同列にされたくないとの事で、DOCソアーヴェから脱退してしまいましたが、その品質は確か。
ソアーヴェを含めたヴェネト州のガルガーネガから造られる白ワインの中で、最も口コミ満足度が高いと感じたひとつがカピテル クローチェでした。
※客観的で個人的な解釈です。
優れたガルガーネガを選ぶ時、リッチかつエレガントなワンランク上の白ワインを選ぶ時は必ず候補に入れておきたい銘柄です。
この記事を最後まで読み進めていただき、知識と共に深まるワインの味わいを楽しんでいただければ幸いです。
《ワイン名》アンセルミ カピテル クローチェ
《価格》
【3700前後】
《ブドウ品種》ガルガーネガ
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 やや辛口
《産地》 イタリア>ヴェネト州
《生産者》 アンセルミ
アンセルミはヴェネト州のソアーヴェ地区にある非常に有名なワイナリー。 1945年に設立されており、特に飛躍したのは2021年現在当主であるロベルト アンセルミ氏が、1975年に父からワイナリーを継承してから。
ブドウの栽培が最重要と考えたロベルト氏は、低収量を実践したりソアーヴェでは初フランス産の小樽を導入するなどして品質を向上。革新的生産者として高く評価されるようになります。 そんなロベルト氏は、高収量が認められ平凡なワインが造られることも多いソアーヴェの名は、自身のワインには使いたくないことから1999年にDOCソアーヴェを脱退。あえて法的には格下にあたるIGTワインを名乗る事を選びました。 そのような経緯もありソアーヴェは名乗っていませんが、まぎれもなくソアーヴェの実力を示し同地区を救った英雄がアンセルミ。
その具体的評価の一例は以下の通りです。
・イタリアソムリエ協会主催の「オスカー デル ヴィーノ」で、ヴェネト州NO.1生産者に選出。
・イタリアの権威あるガイドブック「ガンベロ ロッソ」で8年連続最高賞「トレ ビッキエーリ」を獲得。
今回紹介しているカピテル クローチェは、アンセルミにおけるトップカテゴリーかつフラッグシップの2銘柄の内のひとつで、最高のソアーヴェを造るために1980年代に誕生しました。
平均的なソアーヴェには無いボリューム感やエレガンスで多くの飲み手を魅了しています。
《味わいの特徴》
リッチかつ上品
バランス感覚に優れる
このワインの特徴は、スッキリ軽快な味わいを生む平均的なガルガーネガとは違った、凝縮感あるリッチな味わいであること。
そして、リッチではありますが綺麗な酸や凛としたミネラル感は味わいをスマートにまとめており、飲み応えがありつつクドさのない上品さもあり非常にバランス感覚に優れているところです。
【外観】
濃いめのイエローゴールド
【香り】
パイナップル、杏子、マンゴーなど完熟果実に華やかな花の香りも加わった豊かな芳香。
レモンのやグレープフルーツの爽やかさや、樽の風味もほのかに加わり複雑さがあります。
【味わい】
南国果実を思わせるピュアで豊潤な果実味は、心地よい甘味とコクを伴ったボリューム感ある味わい。上品な酸や凛としたミネラル感があることで、リッチでありながらクドさのないエレガントな飲み口を表現しており、スマートな余韻があります。
それでは、そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■土壌■
このワインに使用されるブドウの畑は昔海であったことで、アンモナイトや魚の化石などが入り混じった石灰質土壌になっています。
鉱物的なミネラル分を多く含んだこの土壌は、凛とした鉱物的なニュアンスを反映した気品ある味わいを表現します。
■ビオロジック農法■
農薬や化学肥料を使用しないビオロジック農法を行っており、土地の天然酵母など様々な微生物の働きが加わった土壌は健全で成分豊かな土壌を育みます。
その成分を吸い上げたブドウはピュアで充実感ある味わいを生みます。
■収量制限■
1haあたり140hlまで認められているソアーヴェにおいて、45hlまでブドウの収穫量を制限しています。
剪定などで優れたブドウだけを残し、残されたブドウにはより成分が集まることで、並のソアーヴェとは一線を画す充実感ある味わいを生みます。
■樽発酵と樽熟成■
厳しい選果をクリアしたブドウは優しく潰されると、フランス産の樽で発酵し、その後8ヶ月樽熟成されます。
使用するのは樽の風味が反映されやすい新樽ではなく、2~3年使用した古樽。
アンセルミは香りを豊かにすることよりも、バランスを重視しており、ほどよく樽の風味を加えることで深みのある味わいを表現しています。
※アンセルミはソアーヴェで初めて発酵にフレンチオークの小樽を導入した事で知られています。
《飲む時の適正温度》
【6℃~12℃】
よく冷やせば酸味や凛としたミネラルが際立ち軽快な飲み口が楽しめます。
温度を上げるほど穏やかな印象になり、ふくらみのある飲み口が楽しめます。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃》
ブドウ収穫年から2~10年
※一般的傾向や口コミから推測
《適正グラス》
【小ぶりor膨らみのあるグラス】
温度が上がりにくい小ぶりのグラスで飲めば、軽快で上品な味わいが楽しめます。
温度が上がりやすく香りも取りやすい膨らみのあるグラスで飲めば、広がりある味わいが楽しめます。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
地鶏のタタキをレモンと塩で
豚肉のハーブグリル
アワビバター
厚みのある果実味や上質な酸とミネラル感のあるワインの味わいは、適度にコクのある料理との相性が良く、ミネラル豊富な魚貝類ともよく合います。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【ネガティブな口コミ】
もう少し安かったらな~~。でも旨いから仕方ないか。。。
【良い口コミ】
ミネラリーで海鮮系の料理とバッチリ!!3年熟成の2015は南国果実に樽が溶け込んだ芳香。凝縮感ある味わいをキレの良い酸と凛としたミネラルがまとめるので、重いのにクドさが無くてとてもいい感じです♪
2年熟成の2016はアンズ、白桃、マンゴーなどのトロピカルフルーツに蜜や樽のニュアンスが加わった香り。少々トロミのある質感でマンゴーのような熟した果実味は、軽やかな酸とミネラルによって上品にまとめられている。樽感も適度で非常に心地よいワインですね♪
ジーニが好きならアンセルミも好きなはずって聞いたので。確かに似てるかも。2年熟成の2015。旨いです♪
とても評判が良いので試したら、なるほど素晴らしい銘柄でした!!2年熟成の2015は、味わいと価格を考えても非の打ち所がなく一番好きなソアーヴェになりました!!(ソアーヴェ名乗ってないけど。)
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると、
感動的!! 7%
美味しい 66%
普通 27%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
稀に見る満足度の高いワインだと感じました。
感動レベルの評価こそ少ないもののネガティブなコメントもほぼゼロ、大半の方がボリューム感と上品さを両立した味わいに満足している事がわかりました。
熟成酒に対するコメントが無い事が残念でしたが、円熟した甘美な味わいになる事も期待できると感じました。
客観的で個人的な解釈ではありますが、価格と味わいを考慮すると、数あるソアーヴェ(ソアーヴェは名乗ってませんが)の中でも最も満足度の高い銘柄と感じる結果となりました。
まとめ
それでは最後に情報整理です。
アンセルミ カピテル クローチェは
【価格】
3700前後
【味】
スッキリ軽快な味わいを生む平均的なガルガーネガとは違った、凝縮感あるリッチな味わい。
そして、リッチではあるが綺麗な酸や凛としたミネラル感は味わいをスマートにまとめており、飲み応えがありつつクドさのない上品さは非常にバランス感覚に優れている。
【飲み頃】
ブドウ収穫年から2~10年
※一般的傾向や口コミから推測
【口コミ】
数あるソアーヴェ(ソアーヴェは名乗っていないが)の中でも最も満足度の高い銘柄だと感じた。
感動レベルの評価こそ少ないもののネガティブなコメントもほぼゼロ、大半の方がボリューム感と上品さを両立した味わいに満足している。
以上です。
私自身が執筆を終えて興味深々になったので、早速注文してしまいました。(笑)
あなたはどのように感じましたでしょうか。
なお、もう少し手軽なサン ヴィンチェンツォも味わいの傾向は似ており、多くの方の高評を集めておりかなりおすすめです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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