ミュジニー。
シャンボール・ミュジニーのグランクリュであり知名度も抜群の畑です。
今回紹介するのはミュジニ。
ミュジニ(musigni)であり
ミュジニー(musigny)ではありません!!
クロ・ヴージョの中の区画名の一つがミュジニという事なんですね。
これ絶対ややこしいから書かない方が良いのでは!?
と思うのは私だけでしょうか。(笑)
さて、このワインそうは言っても非常に評判が良く、クロ・ヴージョで多くの方に飲まれ評価の高いワインはどれだろう、という事で調べてみた結果、このワインはクロ・ヴージョの中で最も多くの口コミがあり(つまり多く飲まれている)、その評判も非常に高かったので、紹介すべきワインだと感じました。
グロと聞いて既にわかる方もおられると思いますが、ミシェル・グロやアンヌ・フランソワーズ・グロとは兄弟なんですね。
兄ミシェル・グロも妹アンヌ・フランソワーズ・グロも素晴らしいワインを生んでおり、そんな次男であるベルナール・グロ氏の造り出すワインとはどのようなものでしょうか。
因みにそんなグロ・フレール・エ・スールも2016年以降はベルナール氏も一線を退き、息子のヴァンサン・グロ氏がドメーヌを担うようになり、新たな時代の幕開けをしています。
《ワイン名》 ドメーヌ グロ フレール エ スール クロ ヴージョ
《価格》
【15000~7万円】
2万円前後がほとんどです。
《ブドウ品種》ピノノワール
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ヴージョ>クロ・ヴージョ
《生産者》 ドメーヌ グロ フレール エ スール
《特徴》
凝縮感溢れる豊かさ
熟成で現れるエレガンス
ベルナール・グロ氏はボルドー・ワインが好きという事もあり、兄ミシェルの造るエレガントなスタイルは異なり、力強く凝縮感溢れるワインを生み出しています。
もちろんピノノワールのグランクリュという事で、力強さだけでなく繊細さも併せ持っており、長期熟成を経る事でその豊かな成分は見事に溶け合い、なめらかで奥深い妖艶な風味や旨味をを持った、エレガンスを感じさせる品質に成長していきます。
そして2016以降は息子の代に変わり、全房発酵のブドウを使用するようになり、その比率はヴィンテージによって異なりますが、土地の特性を最大限に表現したワインを生もうとしています。
■全房発酵とは■
一般的にはブドウの粒のみを発酵させるのが主流ですが、粒の付いた枝のような部分を梗(こう)と呼び、その部分も含めて全て発酵させることも特徴的です。
それによって、滑らかなタンニンが得られ長期熟成に耐える事や、梗由来の独特の苦味や風味が加わり、複雑な味わいになります。
※この全房発酵は非常に難易度の高い手法としても知られ、適切に行わないと青臭さ・酸味・ギスギスしたタンニンが出てしまいます。
そのためには、梗の部分までしっかりと熟している状態にさせなくてはならず、菌の付きやすい梗を無農薬で健全に保つには非常に管理が緻密でなければなりません。
そのためこの手法を実践しているのは、DRCなどの極一部のトップ生産者のみというわけです。
【外観】
深いルビーレッド。
熟成が進むほどレンガ色に近づいていきます。
【香り】
ラズベリーやブラックベリーにイチゴジャムなどの果実香は濃密で、スミレの華やかさにスパイス、コーヒーを思わせる樽のニュアンスも心地よく感じられます。
熟成するほど果実香は円熟を感じさせる落ち着いた甘やかさが現れ、腐葉土や獣といった熟成香も加わり複雑で妖艶なニュアンスも感じられます。
【味わい】
凝縮感ある果実の豊かな甘味を伴った旨味が口の中いっぱいに広がり、豊かなタンニンは骨格ある質感を表現すのものシルキーな舌触り。
洗練された美しい酸味は味わいをまとめ、複雑で優雅な風味を残した余韻が長く続きます。
熟成するほど豊かな成分は溶け合い、力強さよりもなめらかでエレガントな印象になり、複雑で妖艶な風味を伴った長い余韻は優雅なひと時を演出します。
《飲む時の適正温度》
【14℃~18℃】
そのジューシーで心地よい香りと味わいを感じるには、このくらいの温度帯が最も広がりある風味を楽しめるでしょう。
少し冷やし気味にすれば酸味が際立ち軽快さのある飲み口になりますし、温度を上げるほど酸は穏やかに感じられ、甘味や風味の広がりある味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~30年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ赤のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1990年 5
1991年 3
1992年 2
1993年 4
1994年 2
1995年 4
1996年 5
1997年 3
1998年 3
1999年 4
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 3
2004年 2
2005年 5
2006年 3
2007年 2
2008年 3
2009年 5
2010年 5
2011年 3
2012年 4
2013年 3
2014年 4
2015年 5
2016年 4
2017年 4
《適正グラス》
【バルーン型ブルゴーニュグラス】
豊かな香りと、ジューシーで優雅な味わいを持った上質なワインです。
香りが取りやすく、温度が少しずつ上がる事で甘味を感じやすいように設計された、ふくらみのあるバルーン型ブルゴーニュグラスを選ぶと良いでしょう。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
地鶏のソテーをベリーソースで
和牛すき焼き
など、豊かなコクを持った料理に合わせる事で、ジューシーで優雅なワインの味わいが料理を引き立て、また、料理がワインを引き立て、複雑で優雅な風味の広がる上質なマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
繊細で淡いブルゴーニュではなく、凝縮感があり優雅なピノノワールを求める方におすすめしたいワインです。
そしてブルゴーニュのグランクリュという事で品格も抜群ですから、接待や贈り物などにも適していると思います。
ちょっとワインにくわしい方であれば、「ヴージョなのにミュジニー?」
となりそうです。
そんな時は、「ミュジニであって、ミュジニーじゃないんですね。ヴージョの中にそのような区画名があるというややこしい意味なんです。」
と言ったら一目置かれるかもしれません。
《こんな場合には不適切!?》
繊細でエレガントなブルゴーニュ・ピノを求める方にはちょっとパワフルすぎるかもしれませんね。
そんな方にはぺロ・ミノなどがいいと思いますし、熟成させればこのワインも非常にエレガントに成長していきます。
とは言ってもワインはお酒であり楽しむ事が一番大切。
どんなワインも楽しめるようになれれば、不適切な場面というのは実は存在しないのかもしれません。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「7年目の2010は素晴らしいワインだが、まだ開けるには早かったようだ。5時間前に抜栓して、ようやく飲み終わる頃開いてきたよ。」
「ハーブや植物の茎を思わせる香りが先行し、スパイシーな果実香は時間が経つにつれ甘やかさが現れ複雑になっていく。味わいは予想以上に果実感が強くて驚いた。黄桃やパイナップルを感じさせるほどのジューシーさで、クドさはなく綺麗な後味でおいしい。でもちょっとだけ苦味があるかな。3年目の2014はまだ若いって事かな。」
「そんな悪いわけじゃないんだけど、ヴィンテージなのかな~。9年熟成の09はちょっと粗さを感じたんだよな~。」
【良い口コミ】
「いくつものヴィンテージを飲み比べるというなんとも贅沢な時間を楽しんだよ。10年熟成程度の生き生きとした果実味の優雅な味わいも素晴らしいが、20年以上の熟成を経たものは、にじみ出るような甘やかさと複雑な旨味が現れ妖艶で秀逸。03、96、90、とさかのぼるほど妖艶さは深まり、なんと言っても蔵出しの64の味わいは保存も良かったからだろう、まだ果実味は生きており最も格別な味わいだった。」
「4年熟成の2014は抜栓してすぐに美味しいです。花にスパイスに土、インクににマニキュアなどの複雑で妖艶な香りで、とろけるような美味しいワインでした。」
「今日はちょっと奮発しちまったぜ。果実感は厚みがあるが非常になめらかで繊細な舌触りだぁ。11年目の2005の奥行きを感じさせる深い味わいは、まだまだ熟成にも耐え、美しい成長を遂げるだろう。そん時はまた会いたいね~(笑)」
「8年目の08だ。鮮やかなルビーレッド。バラの華やかさにフランボワーズに梅も感じるアロマ。ラズベリーなどの赤い果実の豊かな果実味にスパイスもある。厚みのある質感ではあるがシルクのような滑らかさでエレガンスを感じさせ、華やかで美しい余韻が心地よい。うまく表現できないが、秀逸なワインである事は間違いない。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 20%
美味しい 60%
普通 20%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
とても多くの方に飲まれ、そして非常に満足度の高い傾向がありました。
若いうちは既に開いていて素晴らしいという意見と、やや閉じ気味で悪くはないがもう少し待つべきだったという意見もちらほらありましたので、熟成させる事や早めの抜栓あるいはデキャンタージュを考えておいた方が良さそうです。
そして20年以上の熟成物は非常に妖艶で、感動レベルの評価を出す方も多かったので、長期熟成を選択肢に入れておくのも良いのではないでしょうか。
以上です。
ミシェル・グロ(兄)
グロ・フレール・エ・スール
アンヌ・グロ(従兄弟)
アンヌ・フランソワーズ・グロ(妹)
グロ系はどのドメーヌも評価が高く人気です。
どこか一つくらい低評価があってもおかしくないのですが、どのドメーヌも努力し高評価なんですね。
何か一つくらい欠点があっても良いものですが。
足が臭いとか、お母さんが出べそとか、超音痴とか、走り方が変とか・・・・
あ・・我が子達の主催する、子供だらけの小学校の祭りを見学した影響です(笑)
とにかくグロ系は隙が無く優れているという事でしょう。
グロ系?これもグロ注意とかで子供に遊ばれそうです(笑)
グロ一族と言うようにします。
そんなワインの大人な世界と、子供の世界を行ったり来たりする私でした。
あなただけのの好みの一本、忘れられない一本が見つかる事をお祈りしております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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