白ワインの世界最高峰を語る時、常に候補に挙がる生産者といえば?
ワインに詳しい方ならば、コシュ・デュリ、コント・ラフォン、ソゼ、ラヴノー、ボノー・デュ・マルトレなどの声が聞こえてきそうです。
そして今回紹介するルフレーヴこそがその頂点だと感じる方が最も多いのではないでしょうか。
ワインに詳しくない方ですと、一つもわからない場合も多いのではないかと思われますが、ワインを学び始め、白ワインの有力生産者について調べていくと、最初に出会う確率が最も高い生産者ではないかと個人的にも感じますし、実際私はそうでした。
それほど知名度・品質も抜群のルフレーヴは、評論家や権威あるワイン紙などからも絶大な評価を得ており、イギリスで最も権威のあるワイン評価雑誌『デキャンター』誌(2006年7月号)では、「白ワインの世界10大生産者」の1位になるなど、輝かしい実績も有する世界随一のトップドメーヌです。
そして、評論家達の評価もさることながら、5つあるモンラッシェ系のグランクリュの中で、日本の一般消費者の方々に多く飲まれ(口コミされ)、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうという客観的視点から調べてみた結果、どれも秀逸な評価を得ているワインばかりでしたが、やはりルフレーヴは他の多くの生産者とは別格の存在感を放ち、もう一つの異質の存在であるソゼを凌いでいると思われるほどであり、特にビアンヴニュ・バタール・モンラッシェとシュヴァリエ・モンラッシェにおいて、他の生産者を圧倒するポテンシャルを感じ、今回はその一つシュヴァリエ・モンラッシェの紹介というわけです。
※因みに2020年現在ルフレーヴのモンラッシェは、その希少性と品質の高さ故にほとんど手にする事ができず、DRCのモンラッシェよりも高額取引される世界最高の白ワインである事をお伝えしておきます。
そしてその1991年にモンラッシェを手に入れるまでは、シュヴァリエ・モンラッシェこそがルフレーヴの最高峰と評されていた経緯があり、実質入手不可能にも近いモンラッシェの希少性を考慮すれば、手に入れられるルフレーヴの最高峰はこのシュヴァリエ・モンラッシェとも言えるのです。
それでは簡単に経緯を解説します。
ワイン造りの歴史は500年、20世紀初頭ジョセフ・ルフレーヴによって、自家畑のブドウ栽培からワイン醸造まで行うドメーヌを設立。
ジョセフ氏の息子、ヴァンサン・ルフレーヴ氏とその兄ジョー氏の代で不動も名声を確立。
ジョー氏の死後、その息子オリヴィエ氏が参画。
1990年さらにヴァンサン氏の娘、アンヌ・クロード・ルフレーヴ女史の参画し、自身のネゴシアン業が多忙となったオリヴィエ氏の影響で、実質一人でドメーヌを担う事になりますが、ビオディナミ農法の導入などによりさらに品質を高める。
2015年アンヌ氏が亡くなり、ルフレーヴファミリー35名の中から投票によってブリス・ド・ラ・モンディエール氏が4代目当主として選ばれ、偉大な歴史と品質を引き継いでいます。
以上が簡単な経緯です。
ワインや生産者の偉大さ、その味わいを言葉で表現するという事は非常に難解ですが、この記事が何かしらのヒントになり、素晴らしいワインとの出会いになれば嬉しく思います。
《ワイン名》 ルフレーヴ シュヴァリエ・モンラッシェ
※リンク先ではオリヴィエルフレーヴも出てきますので、間違えないようにしてください。
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《価格》
【9万~15万円】
※ヴィンテージによって価格は変動します。
《ブドウ品種》シャルドネ
《ボディ》 ミディアム~フルボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>ピュリニー・モンラッシェ> シュヴァリエ・モンラッシェ
《生産者》 ドメーヌ・ルフレーヴ
《特徴》
冴えわたるミネラル
気品と優雅さを併せ持つ
白ワインの最高峰
このワインの特徴は、類い稀に豊富なミネラル感を持っている点にあり、石や金属を感じさせる冴えわたる質感は背筋が通ったような気品に満ち、それを包み込むような果実感によってバランスが保たれ、世界でも最高峰の味わいを表現しています。
熟成により豊富なミネラルはワインに溶け込むことで、旨味を伴った深遠な味わいに変化していき、世界中のワインラバー達を魅了し続けています。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■最上のテロワール■
世界で最高峰の白ワインを生む畑であり、気候や土壌などシャルドネにとって最高のテロワール(ブドウを取り巻く自然環境の全て)が整っています。
5つのモンラッシェ系グランクリュの中でも、モンラッシェに次いで2番目に評価の高いシュヴァリエ・モンラッシェにおいては、豊富な石灰質由来のミネラルを多く含んだ質感にあり、凛として気品溢れるワインが生まれます。
■ビオディナミ農法■
無農薬・有機肥料で天体の動きも考慮したビオディナミ農法の採用で、微生物の働きなどにより、シュヴァリエ・モンラッシェの気品に満ちた秀逸な個性を反映した健全で成分豊かな土壌が育ち、その成分を吸い上げた複雑で洗練されたピュアなブドウが得られます。
因みに前当主のアンヌ・クロード・ルフレーヴ女史は、1997年に全ての畑でビオディナミ農法を採用した先駆的人物です。
■控えめの樽■
樽のニュアンスが反映しやすい新樽の使用比率は25%。
これは他の生産者に比べると非常に低い水準であり、ブドウの持つ繊細な風味を樽によって感じにくくさせないためです。
【外観】
輝くレモンゴールド。
熟成が進むほど濃いゴールドに近づいています。
【香り】
グレープフルーツなどの柑橘類に白桃や白い花などの爽やかかつ豊潤な香に、豊富なミネラルを予感させる金属や鉱物的な香りが冴えわたり、ナッツ類や樽に由来するバニラのニュアンスもほんのり加わります。
熟成するほど円熟を思わせる黄桃やバターにキャラメルといった甘露で魅惑的なニュアンスが強まっていきます。
【味わい】
柑橘類やラフランスにパイナップルなどの厚みのある果実味に、冴えわたるような気品を感じさせるミネラルと美しい酸味があり、心地よい樽のやわらかな風味も加わった味わいは優雅さと品格が感じられます。
そして、いつまでも続くような美しい余韻は至福のひとときを飲み手に与えます。
熟成するほど果実感は熟した黄桃、そしてハチミツあるいはブランデーのニュアンスが強まり、ミネラルや酸もワインに溶け込む事で深いコクを持った深遠な味わいが現れ、魅惑的な余韻はいつまでも飲み手を包み込むような力を持っています。
《飲む時の適正温度》
【8℃~14℃】
冷やし気味にすれば酸味やミネラルが際立ちエレガンスと気品に満ちた飲み口になります。
温度を上げるほどボリューム感ある優雅な風味の広がりを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
【飲み頃】
ブドウ収穫年から5~25年
※一般的傾向や口コミから推測
【当たり年】
良いヴィンテージのワインほど飲み頃になるのが遅く、長期熟成にも向きます。
難しいヴィンテージほど比較的早くから楽しめ、飲み頃の期間は短くなる傾向です。
一般的にブルゴーニュ白のヴィンテージチャートは以下の通り。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
1989年 5
1990年 4
1991年 2
1992年 4
1993年 2
1994年 2
1995年 4
1996年 5
1997年 3
1998年 2
1999年 3
2000年 3
2001年 3
2002年 4
2003年 2
2004年 4
2005年 4
2006年 3
2007年 4
2008年 4
2009年 3
2010年 5
2011年 4
2012年 3
2013年 4
2014年 5
2015年 3
2016年 4
2017年 5
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《適正グラス》
【ふくらみのあるシャルドネグラス】
少し温度を上げることで広がる風味を楽しめますから、香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、ふくらみのあるグラスを選ぶことをおすすめします。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
白身魚のソテーをバタークリームソースで
ラムチョップをレモンバターソースで
など、コクのある料理などと合わせることで、気品に満ちた風味とコクの広がる優雅なマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「06~10まで飲み比べする機会に恵まれた。6年熟成の最も若い10は、やはりこの中では最も硬い印象でポテンシャルは感じるけど、08や05の方が開いており素晴らしい品質だった。」
「旨い?そりゃ旨いよ。硬い?そりゃ硬いよ。5年熟成の2014は基本的には硬いけど予想以上ではある。飲み頃のシュヴァリエを飲まなければ正確な評価はできないのかも。」
「バランス、ボリューム感共に素晴らしくわかりやすい美味しさがある。17年熟成の02は秀逸である事は認めるが、突き抜けた要素は感じにくく、近年の高騰ぶりには疑問が残る。」
【良い口コミ】
「これは凄いワインだ。16年熟成の01は香り味わい共に次元が違う。柑橘類にリンゴ、バターにヨーグルトやミネラリーな鉱物や金属類のニュアンス。洗練された果実味に包み込まれた鋼のようなミネラルがやみつきになる。緻密に整えられた端正な造りには圧巻であり、バタールを凌いでいると言っても過言ではないだろう。」
「11年熟成の07は香りのスケールが素晴らしく、幾層にも折り重なった香りにはラフランスに白桃、クリームにパイ、それからブランデーの熟成感などがあります。余韻にはキャラメルに甘いヨーグルトにチーズなどがあり至福のひとときでした。」
「ん?こいつぁ~スゲーなぁ!!砂利を入れて鉄棒でかき混ぜたのかい!?5年目の2012は、過去に類を見ないミネラル感。そして香りがなんとも素晴らしく、唾液がじわじわ出るような旨味もたまらないぜ!!時間が経てば温度も上がり、カラメルやカスタードにバタークリームを思わせる魅惑的な風味に変化。それでいて一貫して美しい酸と密度の濃いミネラルが芯のある味わいを形成するんだ。これはシュヴァリエ史上最高だ!!」
「7年熟成の2011はまるでむき出しのクリスタルのようです。それほど鉱物感に満ちたシュヴァリエ。初めは硬く閉じた印象で、ホワイトペッパーのスパイスにハーブ類の爽やかさがあり、クリスタルを連想させる品質。時間経過で現れるバターやマロングラッセにモカのような甘やかさや濃厚な風味も加わり、ミネラルを包み込むようです。現時点でも素晴らしいのですが、これから先どうなってしまうのだろうというポテンシャルエネルギーを感じるシュヴァリエです。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 50%
美味しい 43%
普通 7%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
やはりこのクラスのワインを口にし、口コミをされるのは経験豊富で分析能力の高いワインラバーの方々ばかりでした。
品質としては、非常に豊富なミネラルを軸に包み込むような優しい果実味や、洗練された酸が存在し、それらが融合することで気品に満ちたエレガンスと優雅さを表現している傾向で、若い段階ではその鉱物や金属を思わせるほどのミネラル感は、やや硬さを感じさせる傾向があるようですが、それでも秀逸。
10年以上の熟成を経たものは、それらの成分は溶け合い、円熟を思わせる優雅な品質に格別な感動を覚える方が多数見受けられました。
予想通りルフレーヴの最高峰は世界でも最高峰と呼べる品質であることを確認する結果となりました。
以上です。
シュヴァリエ=騎士
鋼の鎧をイメージさせるほど類い稀なミネラル分を持ったワイン。
といったところでしょうか。
バタール・モンラッシェがバターだけにコッテリ系であったかのように・・。
あまりこのような例えをすると高貴なワインが安っぽく聞こえるのでやめましょう。(苦笑)
ミネラル感とは何か。
世界最高のミネラルを体感したい。
シュヴァリエ・モンラッシェを選べば、そのすべてが解決される事でしょう。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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