刈り上げが際立ちすぎて、お客様に「コボちゃん。」といじられています。。。
さて、白ワインの世界最高峰を語る時、常に候補に挙がる生産者といえば?
ワインに詳しい方ならば、コシュ・デュリ、コント・ラフォン、ソゼ、ラヴノー、ボノー・デュ・マルトレなどの声が聞こえてきそうです。
そして今回紹介するルフレーヴこそがその頂点だと感じる方が最も多いのではないでしょうか。
ワインに詳しくない方ですと、一つもわからない場合も多いのではないかと思われますが、ワインを学び始め、白ワインの有力生産者について調べていくと、最初に出会う確率が最も高い生産者ではないかと個人的にも感じますし、実際私はそうでした。
それほど知名度・品質も抜群のルフレーヴは、評論家や権威あるワイン紙などからも絶大な評価を得ており、イギリスで最も権威のあるワイン評価雑誌『デキャンター』誌(2006年7月号)では、「白ワインの世界10大生産者」の1位になるなど、輝かしい実績も有する世界随一のトップドメーヌです。
今回紹介するワインは、そんなルフレーヴが手掛ける多くのラインナップの中でも、最も手軽に購入できるワインです。
マコネ地区において、日本の一般消費者の方々に多く飲まれ、そして口コミ評価の高いワインはどれだろうと客観的視点から調べてみた結果、私がリサーチした主要な約40の生産者の中でも、ルフレーヴは最も多くの方に選ばれており、口コミ評価も高い傾向が強く感じられました。
因みに、
・ギュファン・エナン
・レ・ゼリティエール・デュ・コント・ラフォン
・コルディエ
・ドメーヌ・ド・ラ・ボングラン
・ジャン・マルク・ボワイヨ
以上の生産者も、この地区での評価は特に高い傾向です。
それでは簡単に歴史を解説します。
ワイン造りの歴史は500年、20世紀初頭ジョセフ・ルフレーヴによって、自家畑のブドウ栽培からワイン醸造まで行うドメーヌを設立。
ジョセフ氏の息子、ヴァンサン・ルフレーヴ氏とその兄ジョー氏の代で不動も名声を確立。
ジョー氏の死後、その息子オリヴィエ氏が参画。
1990年さらにヴァンサン氏の娘、アンヌ・クロード・ルフレーヴ女史の参画し、自身のネゴシアン業が多忙となったオリヴィエ氏の影響で、実質一人でドメーヌを担う事になりますが、ビオディナミ農法の導入などによりさらに品質を高める。
2005年、気軽にルフレーヴを楽しんでもらいたい思いを実現させるため、マコンに畑を購入し、マコン・ヴェルゼのリリースを開始。
2015年アンヌ氏が亡くなり、ルフレーヴファミリー35名の中から投票によってブリス・ド・ラ・モンディエール氏が4代目当主として選ばれ、偉大な歴史と品質を引き継いでいます。
以上が簡単な経緯です。
ワインや生産者の偉大さ、その味わいを言葉で表現するという事は非常に難解ですが、この記事が何かしらのヒントになり、素晴らしいワインとの出会いになれば嬉しく思います。
《ワイン名》 ドメーヌ・ルフレーヴ マコン・ヴェルゼ
《価格》
【3700~5000円】
《ブドウ品種》シャルドネ
《ボディ》 ミディアムボディ
《甘辛》 辛口
《産地》 フランス>ブルゴーニュ>マコネ
《生産者》 ドメーヌ・ルフレーヴ
《特徴》
豊潤さと上品さを持った
コスパブルゴーニュ
このワインの特徴は、熟した果実の豊潤さと程良い樽の風味に、美しい酸や芯の通ったミネラル感がバランス良く感じられる品質にあり、洗練された質感は雑味の無い透明感があるため、ボリューム感がありながら繊細さも感じられる上品さも併せ持っています。
また、そのようなクオリティーの高い品質でありながら、価格が抑えられている点も嬉しい特徴の一つと言えるでしょう。
そのような品質になる理由をいくつか挙げましょう。
■マコンのテロワール■
「シャルドネの故郷」とも呼ばれるマコンのテロワール(ブドウを取り巻く自然環境)は、以下のような個性をワインにもたらします。
・マコンには豊富な日照量がある事から、果実はよく熟し、厚みのある果実味をワインにもたらし、適度な酸も持ち合わせています。
・石灰質土壌に由来する、鉱物的なミネラル感を持ったワインが生まれます。
■ビオディナミ農法■
無農薬・有機肥料で天体の動きも考慮したビオディナミ農法の採用で、微生物の働きなどにより、マコンの個性を反映した健全で成分豊かな土壌が育ち、その成分を吸い上げたピュアなブドウが得られます。
因みに前当主のアンヌ・クロード・ルフレーヴ女史は、1997年に全ての畑でビオディナミ農法を採用した先駆的人物です。
■控えめの樽■
樽のニュアンスが反映しやすい新樽の使用比率は、他の生産者に比べると低い水準であり、ほどよい樽とブドウの持つ繊細な風味も感じられるバランスを重視しています。
【外観】
輝くレモンーゴールド
【香り】
レモンやグレープフルーツの柑橘系の爽やかさに白い花の華やかさ、ラフランスやリンゴなどのフルーティな果実香も感じられ、ほんのりハチミツや樽に由来するトーストのニュアンスも複雑性を高めます。
熟成するほど熟した果実や蜜の甘やかなニュアンスが強まり、円熟した穏やかさがが感じられます。
【味わい】
ふくらみのある果実味が広がり、豊富で美しい酸は味わい引き締めバランスを整えます。
塩っぽい旨味や鉱物的なニュアンスを感じさせるミネラル感は、上品なブルゴーニュらしい味わいを表現しつつ、ほのかな蜜のニュアンスや樽の風味を伴った余韻へと導いてくれます。
熟成するほど成分は溶け合いなめらかさが増し、旨味を伴った熟した果実や蜜の甘やかさが感じられる品質に成長していきます。
《飲む時の適正温度》
【8℃~14℃】
冷やし気味にすれば酸やミネラルが際立ち、エレガントな飲み口になります。
温度を上げるほど穏やかな風味の広がる優雅な味わいを楽しめるでしょう。
※ワインを飲む時の適正温度については、
第11回【ワインの適正温度】
でも確認できます。
《飲み頃と当たり年》
飲み頃はブドウ収穫年から
【およそ2年~12年】
一般的傾向や飲んだ方の評価傾向から推測すると、これくらいではないかという個人的見解です。
良いヴィンテージのワインほど、飲み頃になるのが遅く長期熟成にも向き、
難しいヴィンテージほど、比較的早くから楽しめ飲み頃の期間は短くなる傾向です。
ヴィンテージによって飲み頃にも差がありますから、ヴィンテージチャートも載せておきます。
5点 秀逸な年
4点 良い年
3点 平均的な年
2点 やや難しかった年
1点 難しかった年
0点 悪い年
2009年 3
2010年 5
2011年 4
2012年 3
2013年 4
2014年 5
2015年 3
2016年 4
2017年 5
《適正グラス》
【ふくらみのあるシャルドネグラス】
少し温度を上げることで広がる風味を楽しめますから、香りが取りやすく温度も少しずつ上がるように設計された、ふくらみのあるグラスを選ぶことをおすすめします。
※ワイングラスの選び方の知識は、
第13回【ワイングラスの特徴・選び方】
でも確認できます。
《相性のいい料理》
ボンゴレビアンコ
アワビバター
など、ほどよくコクのある料理などと合わせることで、やさしい風味の広がりある優美なマリアージュを楽しめるでしょう。
※もう少し相性について知りたい方は、
第15回【ワインと料理との相性・マリアージュ】
でも確認できます。
《こんな場合におすすめ》
ブルゴーニュの白ワインが好きという方は、ブルーゴーニュあるいは世界を代表する白ワイン生産者と呼べる、ルフレーヴを飲まないわけにもいかないでしょう。
ハイクラスのルフレーヴはもちろん素晴らしいですが、高額でもあります。
そんな時はそんなワイン達のエッセンスが楽しめるこのワインを選択肢に入れるべきでしょう。
ワイン単体でも料理に合わせても楽しめる、優れたコスパブルゴーニュです。
《こんな場合には不適切!?》
比較的手頃で気軽に楽しめるワインではありますが、少しの熟成でもさらに円熟した味わいを楽しめます。
ただしそれは適切な熟成を経た場合という事で、直射日光や高温環境では品質はすぐに劣化します。
このワインに限った事ではありませんが、適切な保存を意識しないのはデリケートなワインにとって不適切と言えるでしょう。
《飲んだ人の口コミ》
【悪い口コミ】
「多くの方が褒めてるから期待しすぎたのかな。4年熟成の2016は引き締める酸を感じましたが、特に印象に残るようなものではありません。普通。」
【良い口コミ】
「10年の時を経た09。このクラスのワインでも10年耐えるとは。円熟した果実感はカリンのニュアンス。ナッツの風味にミネラルの厚みも感じられ、素晴らしい熟成を感じられた。」
「超一流生産者が手掛けるお手軽ワイン。それでも4000円するけど(笑)。2015という事で、果実の凝縮感があるトロピカルな風味が印象的。大きめのグラスにする事でよりふくよかさが際立ち、とってもご機嫌な気分で味わえますね~。」
「3年熟成の2016は輝くレモンイエロー。柑橘類に砂糖をまぶしたような香りり、温度が低めの時は刺すような酸と苦味のアクセントが印象的でしたが、時間経過で温度も上がり、果実の甘味が広がりだし酸と苦味の調和が取れてきました。おいし~。そして驚いたのは2日後。飲み残したワインは球体を思わせる滑らかさがあり、熟した果実に蜜を持った花や樽にミネラルが一体となって、旨味たっぷりの味わいに。初日と同じワインとは思えない素敵な品質に昇華。おもしろいですね~。」
「4年目の2015は並のマコンとは一線を画す芯の通った気品を感じる。ルフレーヴ入門としても飲んでみるべきワイン。」
という皆様の声でした。
その他にもたくさんの口コミがありましたが、集計してみると
感動的!! 0%
美味しい 63%
普通 37%
良くない 0%
というニュアンスが伝わってくる結果でした。
比較的手頃な価格という事で、ハイクラスのルフレーヴのような感動するほどの味わいではなく、悪いとは言わないまでも、普通あるいは好みではないと評価される方も少し見受けられました。
とは言っても、さすがルフレーヴが手掛けるとあって、凝縮感と透明感を持ち合わせた品の良い味わいがあり、その完成度の高い品質に納得の評価を与える方が最も多い傾向でした。
ルフレーヴの中では最も安いワインですが、しっかりと仕上げてくるなと感じる結果となりました。
以上です。
私自身もこのワインは何度もお店で使用しており、ボリューム感とエレガントさを両立したバランスの良さで、多くのお客様に好評をいただきました。
DRCにコント・ラフォンもそうですが、頂点に君臨する生産者は何かが突出した品質というよりは、全ての洗練された成分達が互いに支え合うようなバランスで、味わいを表現していると感じます。
世界最高の白ワイン生産者が生み出す最安値。
選択肢の一つにこのワインが加われば嬉しく思います。
あなたにとって善きワインとの出会いが多くなる事をお祈りしております。
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